想念はその源を離れない

非二元とは何か？

というなら、「二つに非（あら）ず」ということです。

「二つに非ず」とは、分離というものがなく、すべては一なるものであるということを意味します。

「分離がない」ということは、想念がその源を離れることはないということです。

想念はその源を離れない。

それは、原因と結果は離れないということを意味します。

実際のところで言うなら、自分（主体）と世界（客体）は分離していないということです。

つまり、形而上学的なところから言うなら、自分の想念（考え）が作り出した結果としてこの世界があるだけで、自分と世界は別々なのではないということです。

ですから、非二元の観点から言えば、「自分と世界は二つに非ず（分離してはおらず）、一なるものである」ということが真理なのだということです。

コースの観点から言うならば、自分の心（考え）と外側の世界は関係なく存在しているのではないということです。

そう、自分と世界はつながっているのです。

もっといえば、この世界は、自分の考え（想念）が投影されて知覚されているだけなのです。

ただし、私たちはそのようにはまったく見ていません。

むしろ、「世界は自分の心はまったく関係なく、すべてのものは独立して別々に存在している」と信じています。

それこそが、分離の想念であるわけです。

私たちがその分離の想念（思考体系）を信じるとき、世界が敵となり、この世界が戦場のように知覚されるようになるのです。

言わずもがな、私たちはこの世界をそのように見ています。

そこから見ている世界は、戦い、争い、競争、攻撃が絶えません。

そこには、希望も光もありません。

絶望しかありません。

今や、私たちの心はそのようにして幽閉された状になっていると言うことができます。

そんな私たちにとって唯一の救いは、「自分と世界はつながっている」「自分と世界は一つ」ということを思い出すことです。

そのように見ていくことによって、世界は自分（私たち）の心が作り出している夢（幻想）であることを思い出していくようになります。

知覚しているそのすべてが投影であることに気づくようになるわけです。

それらすべてはただ投影が知覚を作り出しているにすぎないことが認識できるようになっていきます。

コースの教えである「想念はその源を離れない」という原理が思い出されていくならば、外側に見えるものは、その源を離れてはいないわけです。

つまり、世界と自分の心は別々ではなく、つながっているということが分かってきます。

そのとき、内側も外側もない、内側も外側も同じ、という知覚になっていきます。

世界と自分は一なるもの（一なる自我）である。

それが、真理をこの幻想世界に反映した見方であるということを知っておくと良いでしょう。

そして、そのように知覚していないのなら、その知覚は明らかに二元性のまやかし（虚偽／幻想）であるといえます。

想念はその源を離れない。

つまり、主体と客体は離れないのです。

それが、「非二元」というものであるといえましょう。

非二元から純粋非二元へ

ただし、「非二元」の教えを知っているだけでは何の助けにもならないと言うことができます。

その教えが体現されていないならば、まさに絵にかいた餅にすぎないということです。

ようするに、私たちは非二元を体現（マスター）していく必要があるわけです。

そして、どのようにして非二元を体現していくのか？について述べられているのが、コース（奇跡のコース／奇跡講座）であるといえましょう。

そのような意味で、コースは、まさしく非二元の霊性の道と言うことができるでしょう。

さらにいえば、コースの教えはさらに先に踏み込んだ純粋な非二元の霊性の道を提唱しているといえます。

というのも、

「世界と自分はつながっている、世界と自分は一つである」と言っているその「自分」すらも「世界」すらも実在しない、

と教えているからです。

ジブンもいなければ、セカイもないのです。

それらすべてが、非実在です。

無、です。

神との完全なる一体性（ワンネス）の前では、自分も世界も、ただ「無」に帰するだけです。

自分も世界も無に帰するとき、もともとそこに臨在していた真の自己を思い出していくことが、このコースの霊性の道だということです。

幻想を超えたところに、もともとそこに臨在しているもの。

分離の幻想を看過したその向こうにただ在るもの。

神との一なる一体性。

つまり、それが「ワンネス」「愛」と呼ばれているものです。

それを、仏教では「空（くう）」と呼んでいます。

また、コース（奇跡のコース／奇跡講座）では、それを、真理、天国、神、智識、実相などと呼んでいます。

そして、それを体現することを「目覚め」と呼んでいます。

真理の求道者たちがゴールとして目指しているのが、その「目覚め」であるわけです。

非二元を一瞥するだけでは、それを「目覚め」とは呼びません。

それは真理を垣間見ただけにすぎません。

この今も、私たちは分離してなどいないのです。

真理は、私たちはひとつであり、一なるものなのです。

ならば、この世界の中にいながらも、私たちはそのように真理を反映した知覚をしていくことができるのだということです。

もっといえば、本当に目覚めていきたいならば、その知覚を修得（マスター）していくことが必須であるということです。

コース（奇跡のコース／奇跡講座）では、その知覚の仕方を学ぶことができますし、その知覚の仕方（見方）を根付かせていくことがコース学習者の私たちに求められているものです。

ようするに、この世界で自分と他者を別ものとして見ているなら、つまり、自と他を区別して見ているのなら、私たちはまだ学ぶ必要があるということです。

いくら「非二元」を知って（悟って）いるとしても、あるいは、たとえ真理（非二元／ワンネス）を一瞥したとしても、この世界で自分と他者を区別して見ているなら、まだ目覚めてなどいないということをわきまえておかなければなりません。

コースは、その完成（達成）をゴールとしているということです。

コースが純粋な非二元のスピリチュアリティであると呼ばれる所以はそういうことです。