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情熱という摩擦熱

情熱というありふれた言葉。

情熱を持って取り組む。

情熱的に生きる。

などと表現される事が多いが、一体情熱とはどの様なものなのか?

それを深く知る人は意外と少ないのではないだろうか?

しかしながら、情熱を持ちながら何かに取り組んでいる様は美しいし、情熱を感じられれば自分自身も幸福感を感じられる事は間違いない。

それ故にこのありふれた言葉である「情熱」の理解度を深める事が有益である事は間違いない。

1.情熱のルーツ

情熱は英語でpassionと表現される。
passionの現代の語義は様々だ。

情熱、激情、激しい感情など。

しかし実際のルーツを辿ると、現代で使われている「情熱」とは異質な使われ方をしていたことが分かる。

語源はラテン語のPati(苦しみ)がルーツだ。

そしてその真の意味は、「キリストの受難」である。

イエス・キリストの裁判と処刑における精神的・肉体的な苦痛に起因する言葉である。

ここから派生して、苦難から逃れようとする有様のことを「情熱」と表現するようになった。

つまり、情熱とは「生への執着」とも取れる。

生命を脅かすほどの環境から逃れたいと沸き立つ情念とも表現される。

しかし、元々のルーツはキリストの受難が語源である事は意外と知られてないのではないだろうか?

2.情熱という熱の発生原理

情熱という「熱」はどのように発生するのだろうか?

これは、簡単な物理法則で説明してみたい。

情熱的に何かに取り組んでいる時はおよそ共通して「向かう先」がある。

人によってそれを目的と呼んだり、ゴールと呼んだり、自己実現と呼んだり、、、とまぁ様々だ。

この向かう先に対して「個体」という物質の移動を起こす際に必ず生じるものがある。

それは「摩擦熱」だ。

そして、この摩擦熱が高ければ高いほど「摩擦係数」が高くなる。

これが何を意味するか?

移動に伴う摩擦熱が少ないほど「難易度」が低いという事になる。

自分の能力の範囲内で十分達成できてしまう事に人は情熱は感じない。

一方で摩擦熱が高いと難易度(負荷量)は上がる。

つまり、達成が困難になると言う事だ。

人は往々にして、困難な道を歩んでいる時、何かを達成すべく、日々全力投球しているときに情熱を感じやすいのではないだろうか?

少なくとも、自分はそのタイプだ。

難易度の低いことをやっても情熱はあまり感じない。

ここで重要なのは、「熱は最初から発生しているわけではない」という事実だ。

非常に重要なポイントなので、後述する。

3.摩擦係数の高い所で命を燃やせ

情熱を燃やすのと近しい文脈で、「命を燃やす」という表現がある。

そう、命は消費するのでなく、燃やす方がこの世に自分が生きた証を残しやすい。

何のために生を受けたのか?

何故に生かされているのか?

と自分に問うてみるのである。

そして、摩擦係数が高い所で過ごした方が生命の着火率は上がる事は明白だ。

今日も一日、命を燃やせた。

そう振り返れたら生命を全うしたと胸を張れるのではないだろうか?

我々日本人は先進国の中で「幸福度」が低い方と評される事も多いが、その一端に、摩擦係数の高い所にポジショニングしていない人が多い事が一因としてあると考える。

旧態依然とした社風、上昇志向のない上司、人生見限っている先輩、適応という名の挑戦逃れ。

このような環境に身を置いていれば間違いなく自身が湿気った新聞紙になってしまう。

そのうちに情熱を感じることなく淡々と日々を過ごす。

安定していると言えば言葉は良いが、生命を燃やすが如く生きるといった境地からは程遠い。

生き方はそれぞれだが。

挑戦が当たり前。
前日比越えを常に意識している。

こういった環境に身を置く。

パッと見疲れそうだが、人はどんな環境にでも順応する特性を持っている。

じきにそれが当たり前になる。

人生の充実度の定義は人それぞれだが、燻っている何かを解消したい。と感じている人にとっては良い視点ではないだろうか?

4.情熱が持てる事が見つからないという人へ

先程後述すると述べたが、情熱というのはある「目指す先」があり、そこに向かう時に生じる摩擦熱であり、その係数が高ければ高いほど道は困難である。
故に情熱を感じやすい。

つまり困難な目標に向かって取り組んでいる時に人は情熱を感じるのである。

動き出してもいない状況ではそもそも熱は発生しない。

「情熱が持てる事が見つからない」というのはそもそもお門違いというやつであり、逆にいうとどんな事でも情熱は発生し得るという事だ。

つまり、達成したい事が何なのか?もさる事ながら、熱を生ませるような取り組み方をするというのが肝要であるという事だ。


誰にでも情熱体質に変わる機会はある。


命を燃やすかどうかは、あなた次第。

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