アーティストによるNFTの新しい解釈MetaFair#1 に参加してきました(後編)

【トークライブ】

Meta Fair#1の最終日、スペシャルイベントとして弊社芸術部メンバとMeta Fair#1参加アーティストによるパネルディスカッションが開催されました。アート業界のプレイヤーであるアーティストと、テクノロジー・ビジネスを専門とするコンサルタントが、互いの思考を縦横無尽に交差させた本イベントは、フィナーレにふさわしい濃密かつ刺激的な内容となりました。

後編では、特に印象に残った部分を紹介していきます。気になった方は是非YouTubeでアーカイブ動画をチェックしてみて下さい。

アクセンチュアからは佐藤守氏(芸術部)に加え、テクノロジー・コンサルティング本部で先進テクノロジーを扱う部門*をリードされているマネジング・ディレクター山根氏が登壇して下さいました。
(*Digital Deliveryやアジャイルを実施するSCRUMチーム集団や、DevOpsやCloud、AI、RPA、Testing Automation等のNEW-IT専門家集団を集めた、テクノロジーアーキテクトグループ)

オープニングの様子

 コンサルタントから見るNFTやアートに関するテクノロジーのトレンド

まず始めに、アートとテクノロジーの関係について、アクセンチュアの有志メンバーがまとめている「Technology in Art」というリサーチ資料をベースに、テクノロジーや生活者の体験の観点から近年の変化が共有・議論されました。

NFTのマーケットは物理世界とも接続を始めている

アーティストから見たNFTの世界

次は、アーティストから見たNFTについて、アーティストのお二人を中心に議論が進みました。まずは丹原氏が「NFTアートは既存アートの拡張ではなく、全く新しいアートジャンルとなる」という考え方を紹介し、続いて山根氏の「技術は錆びる、その前提でアート・NFTを考えられるか?」という問いかけを発端に、今度は「アートを如何に残すか」というとても大きなテーマに話題が広がっていきます。

個人的には終盤の丹原氏の以下の言葉にはっとさせられました。

当事者のアーティストとしては、自身の作品を「残す」ことを考えすぎるべきでない気もする。もっとも表現できる媒体を選択し、それに感銘を受けた人が残そうという意思を持つ、それも一つの残り方なのではないか

NFTアートを買う、ということ

さらに次はアーティストからコレクターに視点が移ります。NFTアートにおいては「作品がコピーされるほど(=拡散されるほど)価値がある」というコレクターにとってはまさにコペルニクス的転回のような出来事が起こる、と語られます。これを踏まえて、「では沢山のコピーを生むには?」「作品を拡散するコミュニティを作るには?」といった問に登壇者が各々の洞察を重ねていきます。

最終的には作品が持つ「ストーリー」の話題に収束していくのですが、NFTアートにおいてはアーティストのみならず、コレクターや更にはキュレーターまでもが複雑に絡み合いながら作品のストーリーを紡いでいく可能性が対談の中で示唆されます。個人的に、今回のパネルディスカッションで一番印象に残ったパートなので、是非アーカイブ動画をご覧頂きたい。

日本におけるNFT活用

パネルディスカッションの最後には、日本におけるNFT活用の現状とこれからが議論されました。版画へのNFT活用の可能性や、日本酒の先行予約を例にチケッティングへの活用が紹介された後、最後は「既存産業の利益構造を超えてNFTを活用し浸透させていくには?」という非常に大きなテーマが議論されたところで約90分のトークライブは幕を閉じました。

本当にあっという間の90分で、終始ワクワクしっぱなしでした。来年、Meta Fair#2の開催を待ち遠しく感じながら、この論考・考察の先を是非聞いてみたい。その際は、皆さんも是非会場に足を運んでください。

登壇者の皆様(左から、佐藤氏、山根氏、丹原氏、藤元氏)

(おわり)

記事作成者:芸術部 戸田貴裕