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助産師経験談 vol.8

続きです。

今日も寄って下さってありがとう。


他の日勤勤務の先輩方も彼女から
わたしを離そうと色々声かけしますが
その度に分身が出てきて
暴言を吐くんです、
みんなたじろぐ。
わたしをここから離すなら
俺(Fさんの分身)を殺せとか言う(冷汗)。
男性の力なので、そりゃ強い...

わたしは下っ端なので
その日のリーダーが決めたように
動くしかないんですが
リーダーももうお手上げ

わたしが離れようもんなら
ドクターも怒るみたいな構図(苦笑)

で、お産のサポート
(わたしの顔が見えてないと
また分身が浮かび上がるのでサポート側)
に付きFさんに声かけし続けます。

で、いきみを逃すなんて技
もちろん無理だし
陣痛を陣痛と自覚できない男性が
出てきちゃう、そんな感じだから

Fさんが出てきてくれないので
話も聞いてくれない。
だけど、抑え付けられてるFさん
陣痛の度に
「ごめんねー
ごめんねー
ごめんねー」って
謝ってる。

悔いがあるのか
懺悔しているのか
ちゃんと産めなかったと思っておられるだろう
本人の心残りがあるだろう時
謝りながらお産するのを
何度聴いたことか...
その度に胸が押しつぶされそうになったなぁ...

わたしの中では何かの扉開いた瞬間でした。


Fさん抑制帯されて分娩室来た。
ドクターが外すなと怒鳴る中
彼女はそこらじゅう
蹴飛ばしてしまう勢いだった。
なんならベッド抱えて走り出しそうな勢い。

それでもいきみ感が出始めて来たのを
助産師チームは見逃さない。

もう生まれる間近だと思ったから
わたしは腕の
抑制帯を外してあげたいと
わたしが身体張るからと
ドクターに言って外しました。

そしたらね
ぱぱぱぱっとね
ちゃんとね座位になって
つるんと赤ちゃん産んだの。
そしてちゃんと自分で受け止めて
胸に抱いたの。
裂傷ゼロ。

で、わたしの目を見て
「ありがとう」と言った。
とても優しい眼差しのFさんだった。

この時

...女性の身体で
    陣痛という生理現象が起こる時
    出産という神聖な営みがただ在る時
    あるがままの身体の反応しかできない
    って言う素晴らしさ

    この状況に周りが邪魔さえしなければ
    ちゃんと赤ちゃんはお母さんの
    身体を守りながら
    上手に出てくる

    助産師も産科医も
    黒子でしかない
    黒子になる意味

    この全てがドカンとわかった...

伝わるかな

お母さんの身体をちゃんとわかって
赤ちゃんは生まれてくるのに
助産師が
産科医が
「要らん医療」を
持ち込む事の大それた我欲

それによって
女性の身体も心も
傷つけられている。

医療と言う名のもと
医療ではないことが
大きなお世話としてまかり通っている。

この普通におかしいって思う
アンテナ

わたしは助産師として
この事を忘れてはいけない
とFさんに誓いました。

生まれた赤ちゃんは
33週にしては大きくて
発達も良かったので
35週は過ぎてそうという事になり
順調に育ち、退院しました。

そして何故だかこの記事
書き終えてから
やたらお産の
介助している夢ばかり見る不思議...(笑)

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