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助産師体験談 vol.16

なんかなーんか落ち着いて
自分の軸がさらにぶれず
太く根を張った感じです。

色んな事
思いなどなど
「あってもなくてもそれで良い」
という
手放す事に
すごく安堵している
今日この頃です。

今日もご訪問
ありがとう。
嬉しいです。

光が変わってきましたね。

で、

世界はやっぱり
自分がみたい世界を自分はみていて
誰のためにぃとか
誰かのせいなどもなく

ひたすら自分が経験したいと
思ったままが現れているなぁと
しみじみと浸ってました。

そんなわたしが経験したかった
助産師としての経験を
思い出して
そっと感謝と共に置く
この意味は
わたしにはとても大きく
わたしに経験させてくださった
皆さまに感謝しかないと
改めてしんみりと
しっとりと感じ入って
秋が深まるように
深めています。


さて前置きがながくなったけど
今日は耳が聞こえないJさんご夫婦の
お産からお産後までを思い出しました。

Jさんは後天的に聴力を失い
唇の動きとかすかに聞こえる音があって
日々無事に楽しく過ごせていました。
ご主人は先天的に聞こえませんでした。

なので
ご主人の手話のスピードはとても速く
ご主人にまずお会いして
お産のお話をするところから
大事にしたいと思いました。
Jさんはとてもしっかりされていて
お産もこうしてこうしたいという
とても主体的でしたので
わたしはサポートできる喜びを
感じていましたが
旦那さんが、心配と不安で
Jさんのご希望を
「耳が聞こえないから無理だ」と
頑なでした。

目が見えないとか耳が聞こえないとか
普通ではないと思われてしまう方々でも
もちろんちゃんと希望があって
努力があって
思いを実現したい欲望もあって
ましてや母親になるんですから
覚悟は間違いなく半端ないです。
それをわたしはJさんから
ひしひしと感じ取っていました。

わたしがリーダーのわたしのチームで
話し合いをしどうサポートするか、を
話し合った結果、

筆談係は一人必要
旦那さんサポート専門係も一人
介助する助産師は
マスクが読唇には邪魔すぎるから
筆談係は彼女の受け持ちがなる方がいい

だが、
日勤中ならまだしも
夜勤中は人が足りない...
さてどうするか

よし
医師を巻き込もう!!
って事で
介助する助産師のマスク着用は
なしにできないので

血液や羊水が口に入るのは
マスクをしていて防げますので
マスクは大事
あ、ちなみにウィルスは
防御できませんよ〜(笑)

喋る時には下ろしてもらう
協力を得ておく
異常時ではない限り
ドクターは滅菌手袋はしないで
お手伝いいただく事

で、調整を進めました。

そしてお産
やはりわたしの勤務帯でした。

もうおどろかなーい(苦笑)

で、前もって沢山のお産の時の
声かけてメモを見せつつ
希望を叶えつつのお産です。

分娩台までスムーズでした。
それは本当にJさんの
努力の賜物です。

分娩台に上がって
さあお産って時まで
弱音一つはかないで
Jさん夫婦は根気よく筆談できました。

いよいよって時
後で反省した
唯一の盲点が

痛すぎて耐えきれなくて
目を閉じたJさんの目を
どうやったら開けてもらえただろうか

でした。

それまでは肩を叩いて
もしくは足をさすって
などで目を開けてくれたけど
今赤ちゃん産まれるから見てて
って瞬間を見せてあげられなかった。

Jさんは何も問題なく
満足そうにお産を終え
安堵の表情でしたが

わたし達にとっては
とても大事なポイントになったと
今でも思います。
少なくともわたしは
大事にしたいと思ったところです。

お産のとき
周りの声かけに
冷静になれる事は
普通に起こり得る。

その声が届かない事に
こちら側の想像力が
及ばなかったこと

とても申し訳なかったと
みんなで猛省しました。

赤ちゃんの産声は
ご両親には耳からは聞こえないので
カンガルーケアをし
胸に響かせ合う形をとりました。



でもお母さんの胸に抱かれると
赤ちゃんは泣き止むから
Jさんは慌てました。

これも伝えていたけど
やっぱり驚いたお顔をされていました。
お父さんにもカンガルー。
泣いてたなぁ。

よかった。
無事で。
ご対面、良かった。

そして産後
赤ちゃんが起きるだろう時間
Jさんは目覚ましをかけ
几帳面に頑張ってたのも
気になりつつも見守りつつ
自宅に帰ったら
無理しすぎるだろうけれど
ここにわたし達は居て
連絡を待っている事を伝え

地域の支援団体や
役所との連携も済ませて
退院を迎えました。

普通は泣いた声や
むにゃむにゃ
クチュクチュ...
動いた事で聞こえる摩擦音などで
気がつけますが
彼女達はそうはいかない。

センサーで部屋のライトが反応して
気がつく事がおそらく普通だから
不安は計り知れないはず。
そのライトの光具合も
赤ちゃんにとってはどうなのかも含め
たくさん心配はあったでしょう。
だけど、それでも
家族になった彼らです。

Jさんはとても用意周到で
とても頭がよくて
周りのことを把握されてました。

1ヶ月健診で
3人に会えたとき
Jさんがお手紙をくれました。


耳が聞こえなくても
こんなに安心して
自分をさらけ出せて
赤ちゃんに会わせてもらえて
最高に今幸せです。
産んでよかった。
ありがとうございます。
耳が聞こえなくなった事に
卑屈になってたけど
皆さんの励ましに
卑屈になってる場合じゃないと
自分に喝を入れました。
今後とも何かあったら
頼りにさせて
下さい。


と。
忘れません。


そう、Jさんは実は
耳が聞こえない両親には
出産も子育ても無理と
周りに散々言われ
ご主人もとても不安が大きかった。

子を持つ親は
少なからず皆不安は
ありますが。

中絶もよぎったご夫婦でした。
産む事で赤ちゃんを不幸にしないだろうか
といつもいつも泣いて悩んでおられました。


わたしのチームは
主治医とともに
お話を聞きました。
何度も。
何度も。

だからこそ
お礼のお手紙は
忘れられない。

今は何人のお母さんになってるかなぁ〜

Jさんはきっと
肝っ玉かぁちゃんだろうな(微笑)

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