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うつのおかげで考案した時短料理

 先週、うつで料理ができなかった頃のことを書きました。

 すると、いつも読んでくださっている方から、「鬱を通して阿古さんが見つけたものを、もっと知りたいです!」とリクエストをいただきました。発見したことはたくさんあるのですが、家事に関連することで言うと、料理の時短術を見つけたことです

一汁一菜?いえ一品です。

 うつのときは、思考の幅がめちゃめちゃ狭くなります。運転免許を持っている人は、教習所で習った覚えがあるかと思いますが、車の運転をしているとき、スピードを出せば出すほど視野が狭くなる、という映像を見せられませんでしたか? 一般道を走っているときの何割かしか、高速を走っているときには見えていないんだそうです。

 うつのときは、たぶん、全力疾走しながら暮らしているような状態なんです。だから、ちょっとのことでゼイゼイ言ってすぐに疲れる。あるいは、とても狭くて暗い通路を手探りで歩いている。だから、「こういう方法もあるよ」などと選択肢を示されると、集中しなければできないことをしているのに、気が散るので大変になってしまうのです

 だから、料理をいくつも並行してはできない。一品ずつつくることでなんとか日々をこなしているうつの人は多いのではないかと思います。

 私はうつと、仕事がなくお金がない時期が重なったので、節約しながら料理をラクにする方法を見つけなければなりませんでした。それであの時期、食卓には一品だけ並ぶ。少ない素材だけで調理したものが並ぶ、という状態が続きました。

 具だくさんのみそ汁やスープは、それだけで野菜もたんぱく質も摂れるようにしました。そして、そういう料理のときは、ご飯に汁ものだけなんです。今だったら漬物を加えるかもしれませんが、それもなし。

素材一品の蒸し料理

 それでも毎日そればかりでは次第に飽きてきます。そんなときに気がついたんです。素材一つ、二つの調理は簡単だということに!

 かぼちゃの煮つけは皆さんご存知ですよね。おばあちゃんとかお母さんが並べてたっけと懐かしく思い出す人もいるでしょう。私も母がつくったかぼちゃの煮つけを食べていました。

 昔は自分でもつくったのですが、常備菜として残るようにすると、二度目に煮返したら、皮の部分がはがれてぐちゃぐちゃになってきませんか?

 うちには蒸し器があるので、私はかぼちゃを煮つけのサイズに切って、塩を振りかけ、蒸し器で蒸すだけにしたんです。すると、シンプルで甘いかぼちゃ料理が完成しました。しかも、残りは冷蔵庫にしまっておけば、翌日形を変えずに食卓に並べられる。冷えていると、スイーツみたいです。

 もちろんそれを、ひき肉のあんかけ、トマトソースがけなど、たれをかけることもできますし、他の野菜と合わせてサラダにすることや、スープに加えるなど、アレンジもできます。でも私はほとんどしなかった。翌日からは、冷蔵庫から出して並べるだけ。それで一品ふえるんです。

 かぼちゃのいいところは、丸ごと買うと長く保存できること。またそのほうが安上がりな場合があることです。とりあえず買っておいて、つくりたくなったら使う。丸ごとを割るのは大変ですが、それは夫に頼みました。それでわたを全部取ってしっかりラップで包めば冷蔵庫でしばらく保存できます。そして栄養価が高い。カロチンにビタミンCなどのビタミン分、炭水化物、カリウムもあります。すばらしい。

単品料理にハマって

 冬は白菜と大根があれば、かなりしのげます。特にあの頃ハマっていたのは、白菜蒸しです。白菜の葉を5センチ幅ぐらいにザクザク切って、蒸し器で数分蒸します。すると、柔らかく甘い白菜蒸しの完成!

 これを、醤油、酢、ラー油を入れた小皿にとって食べるんです。すると、白菜だけなのに、ギョウザ感が出てくるのです。何しろ病気で大変なので、ギョウザのように手間のかかる料理はできません。でも、白菜だけで何となくギョウザをほうふつとさせる料理になるのです。しかも意外とおなかがふくれる。なんて便利なのでしょう。安上がりでおいしい。そして、白菜も丸ごと買えばお買い得です。とても寒い時期なら、冷暗所に、なければ冷蔵庫に、新聞紙で包んでスーパーのビニール袋に入れておけばけっこう長持ちします。

 やがて、青菜だけ、青菜ときのこだけ、青菜と豚肉だけ、みたいな簡単な炒め物も作り始めました。以前は、一品でなるべくたくさんの食材を使おうとして、炒め過ぎた素材で水分が出たり、炒め足りずに堅い素材が残ったりと失敗ばかりしていました。でも、単品だったら失敗が少ないのです。しかも、素材の味が目立つのでおいしい。

 この頃見つけた小松菜と豚肉の炒め物、青菜ときのこの炒め物、白菜の豆板醤炒めなどは、今でも主菜または副菜として頻繁に食卓に上ります。そうやって、できないことから、省力化する技術を見つけ出すことができたのです。必要は発明の母って本当ですね。

 

 


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