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理想のキッチン検討会座談会第2回  IHコンロと食洗器の是非

 第2回理想のキッチン検討会・座談会は、賃貸住まい歴四半世紀で、これから新しいキッチンを欲しいと考えている阿古が、分譲マンション・一戸建てに住み台所の担い手歴20~30年選手の4人の女性たちに、キッチンのさまざまな魅力や問題点を聞く座談会です。料理に関してはプロ、プロはだしの人を含む5人の経験、悩みや課題などから、日本のキッチンが持つ課題も合わせて考えてみました。それぞれユーチューブの動画もつけています。そちらも合わせてご覧ください。

 議題は、以下の七つ。今回は1と2をご紹介します。
1.食洗機の是非
2.IHコンロとガスコンロの比較
3.生ゴミの処理問題
4.使いやすい、そしてお手入れしやすい換気扇とは?
5.システムキッチンの是非
6.ワークトップは何がいい?
7.欲しいキッチンを選ぶために。それぞれの経験

1. 食洗機の是非

阿古:まず、前回の討論で、有賀さんが食洗機の導入に賛成で、綛谷さんが反対なので、それぞれのご意見からうかがいます。
有賀:私はこの年まで食洗機を使ってこなかったので、いらない人の気持ちもすごくよくわかるんです。少人数家族ならいらないと思っていた。でも、実際にミングルの導入で食洗機をビルトインして使ってみたら、手洗いとは別の良さがあると気づきました
 例えば、私は結構めんどくさがりで、干したまま寝てしまったりする。だからグラス類がだんだん曇ってくるんです。それが食洗機を使うとなくなる。また、まな板も一緒に洗えるようにしたので、高い温度で洗う結果、衛生上いいと思います。特にコロナ禍、わが家がスタジオ替わりなので撮影のためにいろいろ人が来る中、食洗機で食器を洗えるのは安心感につながっています。意外と家のキッチンって、不衛生だと思います。
阿古:ラクだから、というわけではないのですか?
有賀:いや、ラクです。食事が終わった後にシンクが食器で山盛りになっているのを見るとうんざりするんですが、食洗機にするっとそれらが納まると「あとは鍋を洗うだけか」と気分的にもラク
阿古:ありがとうございます。では綛谷さん、反論をお願いします。
綛谷:衛生という意味では、有賀さんがおっしゃる通りです。私はスポンジに雑菌が溜まると言われていることが気になり、アルコールの消毒スプレーを業務用で持っています。熱湯で消毒できる食洗機はいいなと思います。でも、食洗機にも水垢が溜まるしお手入れが必要になりますよね。私は食器かごですら置かないんですよ。水受けのところに水垢が残って溜まるので。だから洗った食器は、吸水シートを置いた上に並べ、後でシートを絞って乾燥させます。
阿古:確か綛谷さん、食器を溜めておきたくないから食洗機は嫌だとおっしゃっていませんでしたか?
綛谷:そうなんです。家族にもこの30年教育したので、私が食器を洗っていると、必ず誰かが布巾を持って拭き上げるためにスタンバイしてくれます。
コン:私はズボラ主婦なので、27年前に結婚したとき、『主婦の友』編集部のベテラン記者の先輩が「すごく便利だから」と食洗機をお祝いにくださったんです。賃貸マンションで調理台がすごく狭くなったんですが、こっちのほうが絶対いい、と子どもが生まれる前から食洗機です。哺乳瓶やまな板も熱湯消毒できるからと喜んでいました。今のマンションを買うときも、当然オーブンではなく食洗機を選びました。
 子どもたちには、食べたものを軽く柄つきブラシで洗い食洗機に入れるまでがルールにしました。
阿古:ズボラ主婦という意味では私が一番だと思います。食器を洗ったまま洗いかごに置いておくことはもちろん、気がついたら水受けに水垢が溜まっている。最近は夫がマメに水垢が溜まらないよう洗いかごを洗ってくれます。ところで、広瀬さんはいかがですか?
広瀬:私はいらない派です。一つは食洗機が別に嫌いじゃない。あと、私が36歳で結婚する5年ほど前に実家が建て替えて食洗機を入れたんですが、ふだんまったく使わないんです。そして、私はオーブンがどうしても欲しかったので、食洗機の替わりにオーブンを入れました。
 今の家は24時間空調が効いているので、家の中で洗濯ものを乾かせるほど乾燥しているんです。食器も洗って干しておくと30分ほどで乾燥するので、気にならないところもあります。ガラスだけはきれいにできないので、そこは食洗機のいいところだと思います。
有賀:私は2年前に食洗機を導入したときに、ツイッターでフォロワーさんたちと食洗機の話をしたんです。そうしたら、「いいな」という人と「いらない」という人に意見が分かれるんです
 いらない派の理由の一つは、置く場所がない。小型のものしか置けなかった場合、家族が多いとそんなにたくさん食器を洗える食洗機が入れられないということ。二つ目は、広瀬さんのように食器洗いが苦にならない。料理は嫌いだけど皿洗いは好きという人がけっこういるんです。三つ目は、食器の問題。私も漆のお椀は別にして手で洗います。食洗機に入れると明らかにツヤが落ちる。あと、作家さんの器も入れてみたら歪んじゃったのがあります。それからは、大事な器は手洗いするようにしています。食器にこだわっている方は、あまり乱暴に扱いたくないのが、いらない理由なんです。
 新しい家電は、最初なかなか理解されず、今までの習慣とぶつかるわけですよね。でももうちょっと心を広く持って受け入れたほうがいいのではないか、と個人的には思っています。

2. IHコンロとガスコンロの比較


阿古:どちらもご意見も大変参考になりました。では、次はIHコンロの話をしましょう。使っている人は。(手を挙げたのは有賀さん1人)
有賀:私も2年前にミングルで導入したのが初めてです。それまでは、料理家としての仕事で出かけた先で、IHコンロを使う機会がありました。火ではなく数字を見て管理することに最初は戸惑ったんですが、鍋の中を見ればいいんだ、と気がついた。毎日キッチンに立っている人なら、ぷつぷつと油が立ってくる感じ、お湯がポコポコ湧いてくる感じで、弱火か中火かなど分かると思います。
 スープは放置しておいてもIHが温度管理してくれるのでラクですね。ガスコンロは仕事に夢中になって放置していると、焦がしたりすることもよくあるので。ミングルはダイニングにあって目につくので、気がつきやすいということもいいのかもしれません。
 IHの問題は、使える鍋の種類が限られること。アルミの鍋、ガラスの鍋、底が丸い土鍋は使えない。ル・クルーゼ、ストウブなどの鋳物ホーロー鍋は使える。フライパンは最近IH対応のものが増えています。
阿古:行平鍋はだめなんですね?
有賀:駄目です、アルミなので。私も愛用していた無水鍋が昔のもので使えないんです。その結果、出番が格段に少なくなりました。
阿古:IHはお手入れの簡単さがよく言われますよね。私が使っている別置きのガスコンロは、昔のものに比べてずいぶん凹凸が減ってお手入れしやすくなっています。
有賀:いや、ごとくがないのは大きいですよテーブルの上をつるっと拭けば終わりですから。
阿古:なるほど。IHは導入しない、と思っている人はいますか?
綛谷:いや、私もIHと両方あったらいいなと思っています。
有賀:両方あるといいですよね。IHはあおり炒めができないんです。そういう料理をしたいときは、元のキッチンを使っています。でも、通常の主婦のテクニックでは、IHでもそん色ないんじゃないかなと思います。プロ並みのあおり炒めができる人はそんなにいない。
阿古:もう一つ気になるのは、魚焼きと焼きナスの味が落ちるという説。「焼きナスの味が落ちるので、ガスに戻しました」という人がいるんです。
有賀:IHでどうやって作るんですか?
阿古:IHコンロにも魚焼きグリルがビルトインされています。それが傷みやすいという話を投稿していた、ユーチューバーの人もいました。
コン:わが家は魚焼きグリルをよく使うんです。肉もグリルで焼くと焦げ目がついておいしいし、今はパプリカやアスパラも焼く。でも、最近コンロに火をかけていて、他のことに夢中になって焦がしたことが2回もあって、重曹で鍋の焦げを取りました。親を見ていて感じるんですが、50代の今のうちにIHに慣れたほうがいいかもしれない。80代だと覚えられないんです。
有賀:焼きナスぐらいの頻度なら、カセットコンロで強火にして、昔ながらの焼き網を置いて焼くのが一番おいしいと思います。でも、コンさんみたいにお肉などいろいろ調理するなら、使い慣れているものがあるといいですね。シニアの火の問題って、これからいろいろ出てくると思います。
広瀬:私が20年前にこの家を建てたときは、まったくIH導入の考えはありませんでした。最近は年齢も上がって利点も分かってきているんですが。ただ、私は中華鍋をけっこう使うんです。ふったりはしませんが、パスタのトマトソース作りも便利。それが使えないこと、使える鍋が限られるということを考えたくないですね。もう一つ、私はガサツなのでガラスの表面を割ってしまわないか心配ではあります。
有賀:それは私も、ル・クルーゼの鍋をガツッと置いてしまったときとか、ヒヤッとします。
広瀬:それが怖くてごとくが全面に渡されたコンロを使っています。
阿古:どちらも長短あることが分かりました。両方置いておけると最高ですね。
綛谷:私が所属する日本ガストロノミー協会でお借りしている参宮橋のキッチンが元飲食店なので、コンロの火が二重になっている強力なもので、鍋中で判断するしかないんです。それが原点であり基本である。でも、家族が全員真剣に料理をやるわけではない、と考えると手軽さはIH、幅広く作りたければガス、どっちも欲しければ両方の三択ですね。

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