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理想のキッチン探し78都立家政

 この連載を楽しみにしてくださっている皆さん、いつもお読みくださり、ありがとうございます。
 私たちはこの1年弱の、本気の部屋探しでへとへとに疲れ果てました。実を言うと、最初の3カ月が最も消耗しました。私は買ったばかりのマフラーを、ぼんやりぶら下げて歩いてエスカレーターに巻き込んでしまい、お直し屋さんで端っこを切って修繕をしてもらいました。フラフラになって、しかし、工事が始まって不眠→うつの再発への恐怖が私を駆り立て、環境はいいけど、キッチンシンクが15センチ、と料理好きが驚愕する使いにくい部屋を選ぼうとしてしまいました。
 それをキャンセルし、工事の開始が遅れている間にも、一つ安めで間取りが良く、近所においしいお店があって友達の家からも近い、という部屋に申し込んだのですが、競合で敗れました。
 その後、成城学園駅から16分、と遠いけど広めで窓から緑が見えるステキな部屋に決めかけました。友達の家も近いし、最近仲良くなった人の家もすぐそこ、という魅力があって申し込んだのですが、なんと夫が帯状疱疹に! 不動産屋との交渉に立つ夫は、私の条件が厳しいこともあって板挟みになり、かなりのストレスが溜まっていました。身体のあちこちに不調が出てきていたところへ、とどめの帯状疱疹。賃貸住宅の引っ越しは、業者を決めて申し込みをしてなんやかんやと手続きをして超多忙になります。もちろん私も引き受けられることは引き受けますが、引っ越し自体は本人が関わらないとどうしようもない。帯状疱疹は最初にしっかり休まないと、どんなに大変な事態になるかわかりません。つい最近も、通りすがりの男性たちが「俺、この間帯状疱疹で入院しててさ」などと会話していました。それで、引っ越しはキャンセル。不動産屋さんも、「それは大変!」と理解してくれたのです。2日ほど寝たり仕事したり、という日をとってもらい、しばらく休みつつ、私は家事の引き受け量を増やし、そして夫は2,3週間で湿疹跡だけ、という状態に回復しました。
 それで今日まで物件探しは休みましたが、最近は検索だけは再開していました。すると、今まで見てきた物件が復活したりするんだなということがわかってきました。
 成城の物件は、前は1階でしたが、2万円上がって2階の部屋が出た、と不動産屋さんから連絡がありました。成城の友人たちは「あそこは転勤族が住むから、割とよく出ます」とのこと。
 また、祖師ヶ谷大蔵の部屋もまた出ました。ところが今度は1万円値上がり。前は、今の部屋より少し狭いし駅から遠いし、一つアンドン部屋があるけど、間取りがいいから全部納まるし、近所にいいお店があるし友達の家も近いし、この値段なら倉庫も借りられる、というので魅力を感じたのですが、1万円上がると倉庫代は厳しい。そしてアンドン部屋……。
 そして、小田急線沿線・中央線沿線は、魅力的だけど、小田急線沿線は1,2万円想定より高い、中央線沿線は2~4万円高い。それ以下で探せば、狭いか古いか遠いか使いづらいか、というのが一般的です。
 休みながら冷静になって考えました。この1年、今まで以上に営業をがんばったし、実際、やたらとギャラが安かった去年に比べて単価が高い仕事も多めだったし、本も2冊出たし、夏にはくらし文化研究所も立ち上げた。SNS
の発信も増やしました。がんばっています、私。でも、何かと経費は掛かります。今年は10年以上修繕しながら乗ってきた自転車も前のモノがダメになって買い替えたし、人前に出る機会が増えたので、衣装代もかかったりします。そして、夫も不調の一つで、歯医者に来年お金がかかることが決まっています。社交代もあまり制限していくと、交友関係も仕事関係も縮小しそうで怖いです。皆さんに会いたいですし。
 トレンドが分かってカフェと本屋があって憩いの場所があってアクセスが良くて、そういう場所を手に入れるために、がんばって家賃水準を上げよう!と思ったりもしましたが、やはりそうした急に出てくる大きな出費のことや、ここ数年は仕事が順調に来ていても、将来ずっとそうかと言える自信はないです。世の中の急な変化も怖い。これなら大丈夫、と言える家賃の部屋がいいですし、そうして収入が多いときなら、思い切って旅行したり大きな買い物をしたりもできます。余力は必要。

また出た!近所のアパート

 と思っていたら、なんと、今年の春、ぐずぐず迷っている間に他の人が決めた駅の反対側のアパートが、再び出ているではありませんか。祖師ヶ谷大蔵や成城の部屋は、同じマンションの別の部屋が出たのに、こちらは同じ部屋。ここは、1階に玄関で、1階と2階、3階にたくさん収納部屋があって全部で96㎡、だけど家賃は今とそれほど変わらない。築浅で2015年に建った集合住宅で、1階、2階には小さな部屋がいくつか入っています。木造ですが。
 宅配便が来たときに、3階から1階まで取りに行くのは大変とか、たまにある本を大量にやり取りする機会に持ち運ぶのが大変、とかいろいろ考えていたのと、駅から行くある道がグネグネしていて狭くてちょっと雰囲気が悪いことを夫が指摘したこと、駅と反対側なので、今まで使っていたオオゼキはかなり遠くなりそうで、このエリアはあまりいいスーパーがない、というので迷っていました。で、取り逃がした。
 ところが、どうやら借りた人が若い子育てファミリーで、ママ友を呼んで昼から夜まで大騒ぎし、ママチャリ停めまくって、階下の人たちにずいぶんと迷惑を掛けたそうです。それで追い出され、今回は、子どもがいない人限定で募集したとのこと。
 夫が「宅配便は、下の収納とか玄関の宅配ボックスに入れておいてくれれば、おれが運ぶから」と言ってくれたので、じゃあ見るだけ見よう。と今日行ってきました。冷静になって考えれば、大荷物を出し入れする機会は少ない。そして、2人で運べばいい。と思いました。それから、徒歩数分でマルエツの大きな店があります。マルエツは駅前は小さいので生鮮食品が少ないのですが、おやつはお気に入りを売っていたりするんですね。大きいなら選択肢も多いのでは? と考えて見て見れば、やはりそう。若干肉と魚は弱い印象が否めませんが、前のスーパーも自転車8分が13分とか、高円寺や阿佐ヶ谷がかなり近くなるので、いくつか使い分ければ大丈夫そうです。
 改めて物件から高円寺方面へ自転車で行くと、途中で最近お気に入りの馬橋公園がありました。近いじゃん、これなら。そして、南側にはステキなおうちが並んでいたりもします。この場所はまた、都立家政だけでなく、鷺ノ宮、野方も近い。今の家は野方は、散歩なら行けるけど最寄にするには遠い距離でしたが、今度は選べる。だいぶ土地勘もついてきました。
 何と言っても、中央線は書店がいい。阿佐谷の駅前書店は来年なくなってしまうそうですが、最近、高円寺に夜帰ってきたときに、文禄堂に電気がついている姿を頼もしく思うようになっていたこともあり、この場所が前より気に入ってきました。今の家から自転車圏内に友人ができたこともあります。というか、今後何か一緒にできそうな仕事仲間。
 で、物件の中は、スリッパによっては滑るけど、手すり付きの階段があって、収納は、1階はよくある階段下収納。2階は正方形のウォークイン・クローゼット。3階の予備収納はウォークイン・クローゼットと素抜けの、どちらも正方形に近い空間。各部屋にもクローゼット。やたらとクローゼットが多く、そのポールの下には本棚は置けない。そして、各部屋が斜め下がりの天井なので、本棚の上置きが置けない場所もありますが、木造なので梁はありません。
 各部屋が6~6.5畳の洋室の3LDK。各部屋もクローゼット。そして、LDK  は全部で12畳あまりで、扉がないので、閉め切れないけど、まあ何か衝立を入れることは可能。ベランダは細長く屋根がありませんが、テラスの傘みたいなのを買い足すことはできます。
 キッチンは対面で背面収納付きです。フラット換気扇で3口コンロ、ステンレス天板で、引き出し式。背面収納は家電置き場つき。


 無印の棚は別の場所に移動せざるをえませんが、おそらくルミナスの棚が入るので、コンロ前に冷蔵庫ではなくルミナスの棚を置けば、今まで通り、鍋はオープン棚で出し入れができます。冷蔵庫はキッチン入り口にセットできます。
 いろいろ考えて悩みましたが、最初から分かっているとおり、パーフェクトな物件はない。家賃が安くて交通が便利で、土地勘がある町で、西武線と中央線の両方が使える。中央線はふだんは自転車でも、いざとなれば歩ける距離でもある。
 もう一つ良かったのは、この部屋のオーナーがミサワホームで、古い個人不動産屋でもなく、オーナーさんがいつか亡くなったら?という心配もなく、何か大きな天変地異でもなければ、おそらく私たちが生きている間に取り壊す可能性がないだろうこと。メーカー住宅の寿命は長いですから。しかし、ミサワホームって、自分の身内に元関係者がいたりするから、変な腐れ縁を感じます。
 まあ、明日内見予定の人もいるそうですし、何があるかわかりません。年末年始のお引っ越しで助っ人が頼めるかも怪しいです。でも、申し込むことにします。
 隣の工事は今のところ、土を掘り返す段階で何かに夢中になっていれば気にならない程度。近隣説明会のとき、私を含めて数人が、在宅であると訴えたことが功を奏したのか、なるべく静かに工事すると書類に書いてあるので、それでかもしれません。しかし、予定通りなら2月中旬から12月中旬は、プロがかなりうるさい、と言うコンクリートの打設があって、今よりだいぶうるさくなります。その前に引っ越せるならいいのではないかと思います。今度は決まるでしょうか?


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