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生活保護部局の労働環境【肌感】


 皆さんこんにちは。イ キ ナ リ デ ス ガ ー(楽天カードマンの言い方)、今回は生活保護部局の労働環境について思ったことを書こうと思います。

 ちなみに、生活保護制度自体について思うことは、下記の記事でまとめています。

 なお、あくまでも私の自治体の例であることは念のため申し添えます。



1.職場環境は思ったより良好

(1)連携がしっかりしている

 働いてみて、関係各所との連携がしっかりしていると感じました。

 生活保護制度は、日本における最後のセーフティネットという位置づけのため、他に利用できる制度は利用するのが原則です。なので、他法・他施策を所掌する部署との密な連携が求められます。

 たとえば、障害者福祉の部署や介護保険の部署、高齢者の生活支援などの部署とは日常的にやり取りをしますし、ケース(被保護者)がDVや児童虐待の被害者だった場合、住民課とも連携をとることがあります。また、庁外でも社会福祉協議会や介護事業所、NPO法人などとも頻繁にやり取りします。

 あらゆる制度を活かし、全員で被保護者を支えていくという姿勢があり、日本の社会福祉制度の手厚さを日々感じます。


(2)やさしい人が多い

 部署内での連携(やり取り)も密だなと感じられます。仕事でわからないことがあれば丁寧に教えてくれますし、フォローもしてもらえます。あと、人柄が温和な方が多く、怒鳴ったりピリピリしている人はほぼいません。

 福祉業務は、内容が特殊かつ人とかかわる仕事ですから、こうした温和な人が配置されているのでしょう。あと、言い方はよくありませんが、業務中により特徴的な人(ケース)と関わっているから、同僚に対しては寛容になれるのだとも思います。

 総じて、内示のときに思っていたよりもはるかに穏やかな職場だといえるでしょう。



2.替えの利く仕事

(1)事務方は誰でもできる

 これは住民課でも感じていたことですが、それ以上に替えの利く仕事だと感じました。

 もちろん、医療制度や介護の制度、福祉行政全般に関する専門職(看護師や社会福祉士)は配置されており、その人にしか扱えないような高度な業務もあります。しかし、ほとんどの業務は誰でもできる、質よりも量の勝負なものばかりです。

 もちろんケースごとに事情が違うので、まったく同じとはいいませんが、「ケースワーク」とか「生活保護事務」という大枠で見ると、専門性が低い業務の比率は高いかなと。とくに事務系(私がもっているような業務)は、引継ぎさえちゃんと受ければ誰でもすぐにできます

 まぁ、行政の仕事なんてだいたいはそんな仕事ばかりですけど。


(2)休職者が多い

 これはある程度予想の範囲内でしたが、休職者が結構多いです。連携こそしっかりしていても、ケースワークは心身ともに負荷がかかる仕事ですし、事務方は自治体内の全ケースにかかる処理をしないといけませんから、決して楽な仕事とは言えません。

 なので、メンタルをやって休んでいる人は常にいる状態ですし、そのまま別部署へ異動…という話も聞きました。


 一方で、上記のとおり質より量の勝負ですから、業務が人につきづらく、業務の再分配もしやすい環境とも言えます。そのためか、産休や育休を取得している人が多いのも特徴的です。女性・男性問わず、積極的に取得している印象です。あと、時短勤務の方も結構おられます。人事側もそれを見越しているのか、所属する職員は20代~30代が多いです。

 人生設計という観点でいえば、福祉系の部署はわりと好待遇なのかもしれません。



3.好き嫌いがはっきりしてそう

(1)仕事内容を受け入れられるか

 総じて、福祉部局はほかの部署に比べて好き嫌いがはっきりしそうな職場環境だと思いました。

 配置されている人員からして、人間関係がギスギスすることはほぼないと思います。しかも、休職を含め、各種休暇が取りやすい環境です。そうなると仕事内容を受け入れられるかどうかが働きやすさに大きな影響を及ぼしそうです。

 ケースワークでは理不尽なことを言う(する)人でも向き合わないといけない場合がありますし、事務仕事でも幅広い制度について最低限の理解が求められます。あと、予算感は大きいのでそれなりにプレッシャーがあります。

 それに、人の生き死にが間近にある仕事で、かつ、多くのケースは死に向かいますので、しんどい人からしたらしんどいでしょう。実際、私がこれまでに見た保護の廃止理由は、ほとんどがケースの死であり、自立による廃止は稀。

 人の暗い部分に対して、受け止めつつも自分で抱え込まないようにする。事務作業に必要な法令やマニュアル等を読む。これができるかできないかが大きいと思います。


(2)他部署を経験しているか

 あと、私なりの感想ですが、生活保護を担当するまでに他部署を経験しているか否かは働きやすさに結構影響を与えると思います。現場でも事務でも内容が浅く広いので、別の部署で得たそこそこの知識や技術であっても生活保護担当では強い武器になります。

 実際、教育委員会時代に得た事務作業が実務で活きていますし、住民課で得た市民対応のアレコレやマイナンバー制度・マイナンバーカードに関すること、端末の操作やネットワークに関する知識は早くも部署で重宝され始めています。自分で言うのもなんですけど。

 逆に、生活保護担当が最初の部署の場合、そこそこ苦戦する気がします。浅く広く、量より質なので、インプットした情報が後々につながりづらそうです。


(3)私には向いているかも?

 いまのところ、今の部署は私に向いているのでは?と思っています。法令やマニュアルを読むのは苦でもありませんし、住民課時代にいろいろな人生を知って、人の生き死ににも少し免疫がありますから。

 なにより、私が一番苦戦する人間関係の構築について、福祉部署は寛容な場所な気がしています。

 これまで2部署を経験して、どちらでも休職している私ですが、今回こそは勤め上げることができるかもしれません。

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