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「低PBR改善に関する東証の取り組み」レポート紹介②

皆さまこんにちは、アクロポリスアドバイザーズです。

今回はPBR改善に関する有益なレポートの紹介です。

東京証券取引所は2024年1月より「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示を行っている企業の一覧を毎月公表することを開始しており、上場企業が本件の対応を実施する重要性が高まっています。

そこで今回は少し前に発行されたレポートになりますが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの柏原雄一郎氏が執筆した
「東証の要請を契機とした低PBR改善に向けた経営改革」というレポートをご紹介したいと思います。
皆さまのご参考となれば幸いです。

東証の要請を契機とした低PBR改善に向けた経営改革 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング (murc.jp)

レポート内容要約

本改革は経営陣主導による全社での取り組みが必要

東証が2023年3月の第9回フォローアップ会議において、プライム、スタンダード市場に上場する企業に対し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を求める通知を公表しました。

特にPBRが長期にわたって1倍を下回る企業などに、中長期の価値創造に向けて市場評価を引き上げるための具体策を開示・実行するよう、強く要請しています。
PBRは表面的な対応で、すぐ数値が上昇する指標ではありません。

自社の成長戦略や経営基盤のアップデートなど全社的な取り組みとして推進・実行していかなければ、中長期の価値創造はもとより、低PBRからの脱却を果たすことは難しいとされています。

東証からの要請は「資本コストや株価を意識した経営の促進PDCA」

東証の要請には、「資本コストや株価を意識したの経営の現状分析→計画策定・開示→実行」のサイクルのためのポイント・留意事項が挙げられています。

今回は、開示のための所定の書類やフォーマットの提供を見送り、企業独自の形式や方法によることとしました。
現状分析や検討に一定の期間が必要な企業には、検討状況や開示の見込み時期を示した上での段階的な開示も認めています。
対応時期についても、速やかな対応を求める程度でした。

これまでの取り組みにばらつきがある中で、特に遅れている企業には、迅速な対応よりも、より実効性がある取り組みが期待されています。

【出典】https://www.murc.jp/library/column/qmt_230530/

中長期の価値創造に向けた重要論点と現状分析

今回の要請では、PBRが重要指標として取り上げられています。
PBR改善や企業価値向上の成果を出すためには、自社の取り組みの現状分析と全社での経営全般にわたる実質的な取り組みが必要不可欠です。

PBRを高めるために重要な点は以下になります。

(Ⅰ)資本収益性(ROE)を高める
(Ⅱ)成長期待(PER)を高める
(Ⅲ)資本コストを最適化する

上記と相関性が高い状態としては「短中期の利益創出、中長期の成長戦略策定と実行、経営基盤のアップデート」が挙げられます。

そしてPBR改善のための具体的な論点としては、以下の7つが挙げられます。

①超過利潤の創出
②BSマネジメント
③成長期待の醸成(成長戦略&成長投資)
④株主還元
⑤ESG・サステナビリティとの連動
⑥ガバナンスの高度化
⑦ステークホルダーとのエンゲージメント(対話と情報開示)

これらをまとめたものが以下になります。

【出典】https://www.murc.jp/library/column/qmt_230530/
【出典】https://www.murc.jp/library/column/qmt_230530/

まとめ

東証の改革案提示を皮切りに、日本の上場企業は本質的な企業価値向上に向けた取り組みが重要視されていきます。

表面的な開示ではなく、社内全体で取り組むことで醸成される内容ですので、まだ取り組みが浅い企業は、抜本的な意識改革が今後は必要となってくると思われます。




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