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1日15分の免疫学(9)自然免疫②

補体について

本「補体complementは、血中や体液中に存在する可溶性分子の一群。病原体を単独もしくは抗体と協調して覆うことでファゴサイトーシスや破壊を迅速化するオプソニン化を行う」
大林「それはわかったけど、C1C2とかその辺がわからんままだ」
本「それではこれから詳しく説明するよ」
大林「うおお」

本「補体系は30以上血清蛋白質から構成される」
大林「多くは肝臓で作られてるんだっけ」
本「感染がないときは、不活性型で循環している」
大林「ということは、病原体に遭遇すると活性化するってこと?」
本「病原体もしくは病原体に結合した抗体に結合すると活性化する」

補体の活性化経路は3つ

本「補体の活性化complement activationには3つの経路がある」
大林「1つは古典的経路classical pathwayだっけ?」
本「最初に発見されたのでそう呼ばれる。抗体を出発点とする補体の活性化経路。次に発見されたのは第2経路alternative pathway、病原体が単独で存在すると活性化される。そして3つめはレクチン経路lectin pathway、病原体表面の糖鎖を認識するレクチン様分子により活性化される」
大林「はぁ…よくわからん!」

本「補体系の本質は、蛋白質の分解である」
大林「切断することで活性化するんだよね、よくわからんのだけど。切断されることで効力発揮するって感じ?分子の世界だ……わからん」

本「補体経路はパターン認識レセプターが病原体を検知し、順番に補体の前駆体が活性化される蛋白質分解経路が開始される」
大林「おぉ…わからん!補体の前駆体とは?」

MSD「補体系は,感染に対する防御に役立つ酵素カスケードである。多くの補体タンパク質が不活性の酵素前駆体(酵素原)として血清中に存在する;細胞表面に存在する補体タンパク質もある」

大林「つまりは、活性化前の補体ってことか」
MSD「補体系は以下によって自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする:
・抗体応答および免疫記憶の増強
・異種細胞の溶解
・免疫複合体およびアポトーシス細胞の除去」
大林「補体が脇役ながらも重要なのはわかった。異種細胞の溶解はなんとなく仕組みがわかるけど、他は雰囲気しかわからんな…」


本「蛋白質分解経路が開始されると、3つのエフェクター経路活性化される。炎症inflammation,ファゴサイトーシスphagocytosis,膜侵襲membrane attack」
大林「補体だけの段階でもなかなかの防衛戦ができてるってこと?すごいな…」

補体の名称について

本「補体の名称について。古典的経路に属する分子はC数字の形式」
大林「classical pathwayのCかな」
本「古典的経路の反応の順番は、C1→C2→C3→C4→C5→C6→C7→C8→C9である」
大林「おっ、意外とシンプルだな、これなら覚えられるかも!」
本「分子切断反応の産物は末尾に文字を足すC3a、C3bなど」
本「C3が切断されてできた小さな蛋白質断片はC3a、残りの大きめな断片はC3bC2を除き、大きい断片にはbがつく」
大林「bigを意識したのかな?なんでC2だけ違うんや」
本「発見者が大きい方にaつけたから」
大林「ンアー!」
本「他にも例外がある。C1q,C1r,C1s」
大林「今度はqrsか……なんで?どんな理由があるの?」

本は答えない!ググろうにも良いキーワードが思い浮かばず出てこない!

本「C1q,C1r,C1sはC1の切断でできるのではなく、そもそもC1qとC1rとC1sが組み合わさってC1ができている」

本「第2経路ではBやDで表す」
大林「大きいのはBb、小さいのはBaみたいな?」
本「そう」

本「補体適応免疫にも影響を及ぼす。補体による病原体のオプソニン化は、抗原提示細胞による病原体の取り込みを加速する」
大林「なるほど、抗原提示細胞の病原体とりこみを加速させれば、すなわちT細胞への抗原提示が加速されるってわけか」

本「B細胞補体のレセプターをもつ。また、補体の断片は抗原提示細胞のサイトカイン産生に影響を与え、これにより適応免疫に影響を与える」
大林「補体は、自然免疫にも適応免疫にも重要ってことですな」

今回はここまで!

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