見出し画像

足のアーチはいくつある?

みなさん、こんにちは。
トレーナーでもセラピストでも解剖学の勉強をしたことがある人であれば、足裏にアーチがあるのは知っていると思います。

ですが、詳しくアーチについて考察したことある人は意外と少ないんですよね。
なので、今回は施術家・トレーナー・セラピストの若手の方向けに足のアーチについて詳しく説明していきたいと思います。

それではいってみましょう。

アーチの種類

① 内側縦アーチ
② 外側縦アーチ
③ 横アーチ

結論だけ言ってしまうと足のアーチはこの3つです。
この3つの構造と役割について書いていきたいと思います。

① 内側縦アーチ

画像1

一般的にいう土踏まずがこの内側縦アーチです。
このアーチがなくなった状態が偏平足と呼ばれ、外反母趾やシンスプリントなどの弊害の原因となります。
まずは、この内側縦アーチの構造からみていきましょう。

〇内側アーチの構造

踵骨‐距骨‐内側楔状骨‐第一中足骨‐母趾基節骨

軟部組織
・足底腱膜
・バネ靭帯
・足底靭帯
・後脛骨筋
・長趾屈筋
・長母趾屈筋
・母趾外転筋
・短趾屈筋

上記の中でも特に、「足底腱膜」は静止時のアーチを保持する力が一番強く、これが切れると内側縦アーチは保つことができなくなります。
その他の、軟部組織は傷ついたり、筋力の低下・萎縮によってアーチの低下を招きます。

〇内側縦アーチが低下したときにおこる障害
・シンスプリント
・足底腱膜炎
・外脛骨
・アキレス腱炎
などがあります。

〇アーチの役割
内側縦アーチだけとは言わず3つのアーチすべての本来の役割は、以下の3つです。
・骨や筋肉にかかる負荷を緩和すること(クッション作用)
・歩行時に効率よく足を運べるようにサポートする機能(バネ作用)
・身体のぐらつきを抑える機能(バランス作用)

これらが破綻した状態が内側縦アーチの低下です。
実際に臨床ではどんな状態として評価することが出来るのでしょうか?


〇内側縦アーチ低下の評価法
一番は画像診断をもらうのが理想ですが、すぐには無理ですよね。
簡便なのは、「舟状骨の高さ」を見てみるのが良いです。

非荷重時の舟状骨の位置を確認し印1をつけてあげてください。
今度は、荷重時の舟状骨の位置をチェックして印2をつけます。
こうしたときに、印1と印2の距離が、
正常は「5~8mm」、内側縦アーチの低下は「8㎜」以上
となります。

この差は、荷重時に踵骨が回内することで発生します。
踵骨の回内は舟状骨の低下だけではなく、膝や股関節のアライメントにも影響を及ぼし、障害を起こしていきます。

もう一つ検査法として、「つま先立ち」の検査法があります。
つま先立ちしたときにも踵骨を見ていきましょう。
つま先立ちしたときの踵骨が外反したままで内反しない場合、内側縦アーチを引き上げる「後脛骨筋」の機能不全が疑われます。


〇歩行時の内側縦アーチ低下のリスク
内側縦アーチが低下している→踵骨回内→足関節外反する→歩行時の立脚初期に外反が増加する→下腿が内旋する→膝に外反ストレス→膝伸展時に下腿内旋位のまま膝が伸展しようとする→前方終末回旋運動(screw home movement)の不良が起きる→OA(変形性膝関節症)・MCL(内側側副靭帯損傷)・ML(内側半月板損傷)・ACL(前十字靭帯損傷)のリスクが上がる。

このようにただ歩いているだけでも、内側縦アーチの低下は結構なリスクを誘発します。


〇内側縦アーチを引き上げるにはどうしたらよいか
一般的にはタオルギャザーとかが有名ですよね。
もちろん有効な手段なので、実施をしてほしいのですが、一つ注意点があります。
それは「MTP関節を屈曲させること」です。

タオルギャザーを実施しても以外とMTP関節が屈曲するのが苦手な人が多いです。指の付け根からしっかり屈曲することを意識してもらうとタオルギャザーは効果を発揮してくれます。

それと合わせて「母趾外転筋のリリース」もおこなってあげるとよいでしょう。
母趾外転筋の癒着があったり硬さが強すぎる場合にも、MTP関節の屈曲を邪魔することと、踵骨の回内を誘発します。

② 外側縦アーチ

画像2

内側縦アーチに比べたら、あまり知名度はないかもしれません。
しかし、外側縦アーチも非常に重要です。
どんな機能があるのか、さっそく見ていきましょう。

〇外側縦アーチの構造

踵骨-立方骨-第五中足骨-基節骨

軟部組織
・小趾外転筋
・長腓骨筋
・短腓骨筋
・短趾屈筋
・足底腱膜

外側縦アーチを構成するのはこれらの骨と筋肉です。
このアーチが破綻したときどのような弊害があるのでしょうか?


〇外側縦アーチ低下の弊害
・体重が外側に乗る
・足関節内反する
・静止しようとしたときに不安定
・立脚初期~中期にかけて、特に外側体重になるので身体が外側に動揺する。

これらを起こします。

内側縦アーチの低下とは逆の状態になります。
つまり踵骨は回外していて、内反がデフォルトになる。
内側縦アーチはハイアーチ状態になっていき、体重分散が上手くいかなくなっていきます。

〇外側縦アーチの評価法
外側縦アーチが低下したときは、立方骨を指標にしていくのが簡単です。
立方骨を触ってみて、明らかに位置が低い、足底側から押すと痛みがある場合は外側縦アーチの低下と考えてよいでしょう。

〇外側縦アーチ低下の弊害

外側縦アーチが下がるとなにがいけないのでしょうか?
・立方骨下制、歩行時に痛み
・ハイアーチによる足底の痛みと足の甲が挙上し靴擦れを起こす
・膝関節内反するためMCL(内側側副靭帯損傷)、ML(内側半月板損傷)、PCL(後十字靭帯損傷)のリスクが上がる
・股関節内旋を併発していた場合、前方終末回旋運動が破綻する。(OA変形性膝関節症のリスク)
・立脚期に体幹が外側の動揺するため、臀部・腰部の筋肉にストレスがかかる。
上記のようなリスクがあります。

〇外側縦アーチの治療方法
・小趾外転筋のリリースと収縮
・短小趾屈筋の収縮

小趾外転筋は外側縦アーチの構成で一番力が強いです。
そのため、過剰ストレスで硬くなりまわりの組織と癒着してしまっていた場合、外側盾アーチをひきあげることが出来ず、小趾が内反していくことがあります。
この辺りの治療と屈曲をしっかり行えるようにリハビリしてあげると大分、立方骨は上げっていきます。
内反捻挫の既往があり、うまく立方骨をひきあげることが出来ない場合は、立方骨の挙上をサポートするようなインソールやセカンドスキンを靴に入れてあげても代用できます。

③ 横アーチ

横アーチはとてもシンプルです。

〇横アーチの構成

・1~5の中足骨

軟部組織
・足部内在筋全般
(特に長腓骨筋・母趾内転筋・後脛骨筋)
ちょっとずるい書き方ですが、横アーチは外側縦アーチと内側縦アーチの影響をよく受けます。
横アーチだけが低下していて他のアーチは低下していないなんてことは、ほぼありません。
ただ、長腓骨筋・母趾内転筋・後脛骨筋は特に横アーチの引き上げに重要な筋肉になるため、このあたりの筋肉には注目してみてほしいです。

〇横アーチの評価
・非荷重時にアーチがないかチェック
横アーチの低下は非荷重にも表れてしまうと、荷重時には完全に低下しっぱなしになってしまいます。

〇横アーチ低下の弊害

外反母趾・開帳足・前足部にストレスがかかるため、体重が前方に飛び出やすいような市背になります。膝の場合だと膝蓋腱炎のリスクが上がります。
膝蓋腱炎は横アーチ低下かつ、骨盤の後傾で発症しやすくなります。
このあたりも観察してあげるとよいと思います。

〇横アーチの治療法

足部全体の内在筋を緩めることが重要になります。
特定の筋肉を緩めることも重要ですが、他の二つの筋肉が低下していないかチェック、それらの緩和が出来ればおのずと横アーチも上がっていきます。

まとめ

かなりざっくり書きましたが、意外と膝と足底にはつながりがあることが伝わりましたでしょうか?
足底、膝を通して姿勢にもつながっていきますからね。
しっかりと評価、治療、トレーニング等提供できるようにしましょう。

質問等ありましたらコメント、よかったよ=という方は(・∀・)イイネ!!
よろしくお願い致します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?