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旧統一教会被害者救済法がエポックメイキングである理由

1.基本認識

本日、あの立憲民主党が、旧統一教会等に係る被害者救済法案に対する賛否を協議し、党として賛成する方針を決定しました。これで、この臨時国会の会期末に同法案が超党派の広範な賛成を得て成立する見通しとなりました。

この被害者救済法案が如何ほど被害者救済のために機能するかについては、新法であることもあり予断を許しませんし、私自身は、(政治と宗教を巡る透明化・見える化こそ本質であるとの観点から)そもそも立法万能論には否定的なのですが、あの日程闘争に拘泥し続けてきた立憲民主党が会期内に賛成を決めたことは、当にエポックメイキング(画期的)な大事件であると高く評価するとともに、関係者に心から敬意を表する次第です。

2.画期的である理由

立憲民主党と言えば、私のイメージはモリカケ桜をはじめとするスキャンダル追及に尽きます。安倍二次政権を通じて立憲民主党は、国の未来に向き合うことを一切せず、国会審議を乗っ取り、安倍政権の間は絶対に憲法を改正させないと息巻く「ならず者」でした。

だからこそ私は、「モリカケ桜の次は統一協会」と揶揄し、統一協会騒動が続くことで社会保障や安全保障といった国家の重要課題が置き去りになることを憂いてきました。

実際、この臨時国会は、統一協会一色になりました。防衛戦略三文書はじめ重要課題が山積する中で、国権の最高機関である国会が統一教会問題に席巻されることは、私が考える国会の在り方とは、到底、言えなかったのも事実です。

しかし、考えてみれば、立憲民主党は、戦後自民党の恥部ともいえる旧統一教会問題をもっともっと長く引きずり、かつての森友学園のようにダラダラと国会審議の焦点に据え続けることも出来たはずです。にもかかわらず、立憲民主党は新しい道を選んだのです。

3.新しい政治が実現した理由

立憲民主党が、党内に根強い反対意見があったにもかかわらず、政府の被害者救済法案に賛成を決めた理由の一つは、明らかに、日本維新の会との「共闘」を維持するためでした。「共闘」を巡る立憲の安住国対委員長と維新の遠藤国対委員長との深謀遠慮がなければ、旧統一教会問題への当面の対応が、これだけの短期間で決着することはなかったのではないでしょうか。

もちろん、自民党の茂木幹事長はじめ政府与党の努力も凄かったです。政調や国対任せにせず幹事長自らが手を突っ込んで強引にまとめていった、その動きは、刮目に値するものでした。本稿では、立憲と維新という野党の動きに注目していますが、創価学会を支持母体とする公明党を含めた与党内の調整が一筋縄ではいかなかったであろうことは、想像に難くありません。

4.今後の課題

野党第一党が日程闘争に拘泥せず政策実現を目指すという意味での「新しい政治」が、この臨時国会のみならず、年明けの通常国会でも継続すれば、次なる課題は、緊急事態や安全保障をはじめとする憲法改正になるでしょう。

実際、同じ構図の中で、立憲民主党は自公与党が合意した「反撃能力」についても賛成の方針を固めています。その先に、憲法への自衛隊明記や緊急事態条項があるとすれば、安倍元総理でさえ(あるいは安倍元総理だから)出来なかった憲法改正が、岸田内閣の下で実現するかもしれません。

もちろん、こうした希望的観測を本当に現実のものとしていくためには、いくつかの深刻な課題(例えば、維新が万年野党化しない仕掛けが組み込めていないことなど)があります。しかし、--- 本日よりは、「低級飛行」内閣を率いる岸田総理や「万年野党」立憲民主党を、頭から否定するのは止めておこうかな。--- そう思える、刺激的な一日でした。




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