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スイス[59] カジノ(CASINO)

202404141401 A.J. スイス [59] カジノ (CASINO)

 スイス南部,アルプスを越えた所に位置するティチーノ州にある小さな街(保養地)で,友人のQ博士と私とで自転車に乗っていた時のことです。

 私とQ博士の自転車に乗りながらの会話(英語):
私「ねぇねぇ,Q」(Q博士のファーストネームを呼び捨て)
Q 「何だ?J 」(私のファーストネームをやっぱり呼び捨て)
私「この街のことなんだけど,ここって賭博で有名なの?」
Q (一瞬,何を言っているのかわからない,という顔をした後で)
「そりゃ賭け事は全くないわけじゃないけど,ここスイスではそんなに盛んじゃないよ」
私「じゃ,なんでこの街には『カジノ(CASINO)』って書いてある建物が多いのさ?」
Q「あぁ,君が言っている事がやっとわかった。確かに英語や多分日本語もだと思うけど casino は賭博場という意味が強い。けれど,ここはイタリア語圏だ。casinoは賭博(ギャンブル)をする所という意味ではないよ」

 初夏のスイス南部の保養地を自転車に乗って走り回ると気分が良いものです(ということをこの時初めて知りました)。Qが持っていた2台の自転車のうちシマノ(日本製)の変速機をつけた高級自転車を私が借りてQの案内のもと街中でサイクリングを楽しんだのですが,典型的中高年日本人の私の足(脚)はスイス人のそれとは比べ物のならないくらい短足でサドルが高すぎました。
 それでも停車中に転けないように気をつければ二十年ぶりくらいに乗った自転車をなんとか操作できて我ながら器用であったと思います。

 旅行者として私がごく短期に滞在したティチーノ州の街は,Airolo(アイロロ,街というより村),Lugano(ルガーノ)しかなかったので,この高級保養地に三日間も滞在出来たのはラッキーでした。もっとも,そこで何をしたかというとイタリア国境に近い山村までハイキングに出かけたり,街中でジェラートとパスタを食べた程度なのですが,イタリアに近いスイスの文化に触れたことが出来たのは嬉しかったです。

 さて食べ物が美味しかったことはさておいて casino(カジノ)のことですが,私たちが街中を走っていると確かにあちこちに『CASINO』と看板がかかっている建物が見られます。建物はせいぜい二,三階建てで大きなビルではありません。で CASINO(カジノ)ですがその街に多くある建物は,英語や日本語で普通に言う場合の『賭博場』とは違うのだそうです。
 今,イタリア語辞書で調べてみると

casino 男性名詞,1 集会所,クラブ,遊戯室.(以下略)
(伊和中辞典〈第2版〉1999年,小学館)
とあり「賭博場」の意味は同じ綴りで別の欄にありました。
別の辞書には
casino ①別荘,②娯楽場,
casino ①小さな家,いなか家,②カジノ,クラブ,③音楽喫茶
(新伊和辞典(増訂版)1992年,白水社)
やはり同じ綴りの別の欄として casino が二つありました。

 と言うわけでサイクリングをしている時に私が気がついた casino は賭博場ではなく集会場や娯楽場あるいはクラブ室のような建物だったようです。ただ,なんせ自転車に乗っていたので車上からは肝心の casino の写真を撮ることを忘れていました。すみません。

#わたしの旅行記

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