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チープ&シック 3月12日~365日の香水

ファッションを馬鹿にしてファッションで成功した人
フランコモスキーノについて「彼が馬鹿にしたファッション業界で成功した人」という言い方がある。
ビニール製の目玉焼きを張り付けたジャケットやごみ袋でつくったドレス、「高価なジャケット」と刺繡を入れたカシミアのジャケット・・・。
従来のファッション業界の価値観を揶揄するようなスタンス、もの作りが話題を呼んだデザイナーでデビューは1983年のフランコ・モスキーノ。
もともと、美術が好きで画家を志していた頃、アルバイトでファッション誌のイラストを担当したことがきっかけでデザインの世界に入ったという。
だから、現代アートのようにメッセージ性が強いクリエイションが目立った。
規制概念や因習を嫌ったモスキーノのデザインには、瞬く間に「それを着たい」という人が殺到したという。
44歳で急逝した気鋭のデザイナーモスキーノのブランドは友人、弟子たちによって継承された。

表裏一体
チープといえば安い、ちゃちの他に生半可、卑劣などにも使われる。粗雑で卑しいイメージの言葉。これをファッションの世界に持ち込むことは、自虐的な攻撃であったのだと思う。
ポップアートが現代アートのコンセプチュアルアートのようなアプローチ。
どのようなものにも価値を見出そうと思えばポジティブな面が見出されてくる。
チープでシックというコンセプトにはリッチにはしないけれどセンスはいい、どのようなファクトの中にもセンスを光らせることはできる、そういう意図も感じられる。
そもそも、何がチープで何がリッチか、何がシックで何がダサいかは表裏一体なのかもしれない。

cheap&chic/moschino/1995
赤と黒と白の球体、キャップが人の頭のようにも見えるインパクトのあるデザインで、観ていて楽しい気持ちになる。ポパイとオリーブのオリーブにインスパイアされたボトルデザインだそう。
そこにはネガティブな批判や排他はなく、遊び心が溢れている。
余談だけれど、この色彩(赤と黒と白)は新生児が認識する色のようでこのセオリーで赤黒白でつくられた新生児用の玩具をつくっているブランドがあった。パキッとした色味と、ドラえもんやアンパンマンに通じるような真ん丸のコントラストもまた、粋な遊び心に映る。
香りはとても朗らかなフローラルで、芍薬やヴァイオレット、シクラメンなどが調和している。
新しいことが好き、過去に疑問を持つ、奇をてらうのではなく、根は素直。そういう人に。

香り、思い、呼吸。

3月12日がお誕生日のかた、記念日のかた、おめでとうございます。

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