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ビバリーヒルズ 4月26日〜365日の香水

香りのトレンド
車、ファッション、エンタメ、他の多くのものがそうであるように香水にも社会情勢に影響されたトレンドがある。
年代でくくると微妙なズレもあるけれど、それでも香水のトレンドは特に70年代、80年代、90年代、2000年代あたりまでは、特徴を掴みやすい。
2010年代からは多様化ニッチ化が深化する。エンタメと同様で、徒花的なヒットはあっても時代を支配するようなトレンドというのは難しくなった。
2000年代はイメージの若年齢化、kawaii(可愛い)がそのまま世界で通じて日本のアニメが圧倒的になり、ファッションもプロの発信よりもストリートに勢いがあり個性も溢れていた。
香水はフルーティフローラルが躍進。愛らしさと親しみやすさ、幼さが受けた。
90年代はマリンノートが席巻した。19世紀のアルデハイド以来の新しいノート。東西冷戦が終結して民族間や宗教的な対立が噴き出した時代。大衆の心理はエコロジーに向かった。
80年代は、日本ではバブル。ファッションは豪華でタイトでビビッドだった。男性も女性も強さ、有能さを演出した。香水はプアゾン一強と言っていいくらいプアゾンの大流行が起こる。
70年代は、何度か触れたように自然回帰、ベトナム反戦、ヒッピー文化の中でグリーンノートが支持された。

強さ
80年代は女性の自立が声高だった時代。この時代にデビューした香水は総じて「強い」。この強さに唐突に出会うと、戸惑うのだけれど気を落ち着けて鑑賞すると、処方の複雑さからくる巧妙さやきめ細かさなどが伝わってきて良作も少なくない。
さて、強さと一口に言ってもいろいろある。一点を突き抜くような強さ、粘り強さ、動かざること・・・のような強固さ。
80年代の香りの強さは「波及」だと思う。
拡散する、人を巻き込んでいくような強さ。アルデハイドとフルーティ、グリーンを合わせたトップノートのインパクトと、その後にくる重厚感があって華やかなフローラル、そしてアニマルノートやレジン、モッシーなどラストノートには各々の選択がある。
YSLのパリなどは、とてもエレガントな香りで繊細さもあるけれど80年代的な「強さ」がある代表格かもしれない。

GIORGIO/GIORGIO BEVERLY HILLS/1981
強い香りの先陣を切ったのがこのジョルジオ(GIORGIO)だったのではと私は考えている。
フローラルタイプでありつつ、オリエンタルほどの圧があり、中核をなす花々は見事なほどにスイートで重厚感がある。
当時はそれなりにインパクトをもって迎えられたのではと想像している。
ブランドは1961年にビバリーヒルズでスタートした。
明るく幸せに満ちた黄色と白のストライプのひさしがショップのアイコンだった。
そして当然、出店したビバリーヒルズという場所もブランドの核。その世界観は全てこの香水に投影された。セレブリティには影響力がある。
ビバリーヒルズで発祥した香りも同様だ。

香り、思い、呼吸。

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