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フランスジャコー 3月22日〜365日の香水

アミドパリを思う
2015年に閉店した東京銀座、交通会館にあった香水店アミドパリ。
大正生まれのマダムが昭和初期に輸入香水を扱う商いを地元の銀座で開業。
時代を考えたら女性が仕事を持つこと自体が難しい上に、輸入ビジネス、店の開業というのはかなりハードルの高い挑戦で、相当に大変だったはずと、想像している。
アミドパリの経営者だった桐生玉枝さんについて、知りたいことがたくさんあるのに、あまり資料が残っていない。
こちらには、短いインタビューが掲載されている。
私の想像とはうらはらに、戦中のことなど含めて過去をあまり”大変そう”にお話しされていない。
勝手な想像だけれど、ストレングスファインダーを桐生さんがされたとしたら、ポジティブ、未来志向などが上位にきそう。

アミドパリに学ぶ
NOTEを初めて3回目に上記を書いた。そこに出てくる「日本で初めて世界の香水を広めるために専門店を開業した女性のお店」というのがアミドパリのことだ。
インターンとして駆け出しだった頃に、先生から教えてもらい出かけて行った。
自信のない私は調香師になりたくてインターンをしているとも言えずに、香水初心者の風を装った記憶がある。
「貴方に似合いそう」と二つの香水を教えてくれた。
そのうち一つをそこで買ったのだけれど、先のNOTEに書いた通り、それはその日のことではなく、二度目の訪問の時だった。
香水には匂い立ちという時間の経過に伴う香りの変化があるから、付けてからラストノートまでをしっかり確認して、買うかどうかを決める、この鉄則は先生たちからも教えられていた。
そして、この日、桐生さんも「匂いは変わるからね、最後まで確認してからそれで良かったら買いにいらっしゃい」とそうおっしゃった。
桐生さんがいつもそうしていたかは、わからない。
勝手な思いだけれど、あの時の私にそうおっしゃったのは、この道を今も歩く私への直感に近いメッセージだったのかもしれない。

フランスジャコー/アミドパリ
桐生さんはご自身でも調香してアミドパリのオリジナルの香水を販売していた。私は、いかにもアミドパリらしい「リラ」のオードトワレと、桐生さんから「これはもう創れないのよ、いいムスクが入らなくなったから」と最後の在庫を見せていただき「フランスジャコー」のパルファンを買った。
フランスジャコーのジャコーとは麝香・ムスクのこと。
濃厚で豊潤でむせ返るような独特の匂い立ちの「フランスジャコー」には天然のムスクを思わせるような痕跡があった。
このように明確で本質的なムスクは確かに今は市場にはない。
私の大切な3ミリ。

香り、思い、呼吸。

3月22日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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