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クライマックス 4月20日〜365日の香水

地球から最も遠い
天体観測の世界では、地球から最も遠く離れたところをapogéeと言っていたという。
最も遠いから最も高い最も重要なことに対してapogéeを使うようになったそうだ。
ベクトルが遠くへ向くか、高さへ向くか、そこにもそもそも違いがありそうだ。
今は遠くへも高くへも気軽に到達できるようになった。
高いものを見たら克服したところを想像する。
遠いところを思うとき、そこまで行かなければ得られない何かを求めている。
高いところからの眺めもまた、そこに行かないと得られないけれど、やはり何かが違う。
高さは成長を、遠さは変容を求めるのかもしれない。成果か学びか、そういう違いがあるかもしれない。
先の地球から最も遠いとなると、高さも遠さも包含している。

クライマックスを創る
山頂に到達した時が高さを目指したクライマックスだし、目的の地に辿り着く時が遠さのクライマックスだから、これは共通して今がクライマックスというのはわかりやすい。
ピーク、山場、物理的な高さや距離とは別の状況としての心理としてのクライマックスは、どういう時に訪れるのだろう。
クライマックスの前提には計画があり準備があり予想外がある。
最高潮が訪れるということは、物語はそのあとは下降する、静まる、ということでもある。
登った山は降りる。
往路があれば帰路がある。
日々の中で、小さなクライマックスを計画して、時を楽しめたら。
クライマックスの創造ができたら、日々の輝きが増しそうな気がしてくる。

un air d’apogee/maison violet/2018
ナタリー・ローソンが調香した。
ミモザやイリスにレザーのアクセントで、クラシカルな香調。タバコやセージなどのハーブ、スエードノート、香りの移ろいがありながら、全体に抑制が効いた完成は調香師の完成と技の域だろうか。
クライマックスを後の余韻を味わえるようなドライダウン。ネーミングはアグレッシブだけれど、静かに落ち着いた香りの物語がここにある。
どんな風に装うかで、この香りの魅力は変幻しそうだ。
クライマックスのプランと共に、この香りを走らせたい。

香り、思い、呼吸。

4月20日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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