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ジョッキークラブ 1月25日〜365日の香水

競馬場に揺れる帽子
競馬というのが紳士淑女の社交の場だったから、若き日のココ・シャネルもその頃のパトロンだった上流階級の男と連れ立って出掛けていた。
そこで、彼女は女性の頭にきちんと収まらない大きな帽子ではなく、きちんと固定される小さな帽子を自らのデザインで身につけた。
それが瞬く間に評判になって、帽子デザイナーとして自立の一歩が始まる。
紳士にエスコートされてレース上にやってくる女性たちの帽子、もしかすると、風に煽られ飛びそうになるその帽子を女性たちは常に片手で押さえていなければいけない、そんな様子が不自由を嫌がるシャネルの目についたのかもしれない。
いずれにしても、とりどりのファッションに身を包んだ紳士淑女が鍛えられた馬の疾走を見守るさんざめきは華やかな祭りそのものだ。

gently jockey club/oriza l.legrand /2017
復刻版が出たのが2017年、オリジナルは1937年とのこと。レースの日の華やかで心踊る競馬場の光景、心地よい風が運ぶ香りを表現したものらしい。
紳士が嗜む葉巻煙草、華やかな淑女を思わせるローズ、ウッディも加わって骨太でありながら、どこか楽しげな踊るような感覚がある。躍動する馬と社交としての抑制、それらが混然となってこの香りは作られている。
オリザルイルグランの当時一店舗しかなかったショップを訪れ、これはサンプルをもらった。
復刻ブランドだけあって、今日では味わえないようなラインアップが楽しい。

1937年
1937年というとドイツではナチスが台頭し悲惨な戦争が近づいていた時期。
一方でレース場での社交を人々は謳歌していた。
オセロのように誰も本気で思いもしなかった局面が俄かに私たちを覆う。
この香りが生まれた年に思いが巡る。
世界中に産する植物を原料に、華やかで楽しいイメージの香水が世界中の誰の手にも届く。
そういう時間が増えることを願っている。

香り、思い、呼吸。

1月25日がお誕生日のかた、記念日の方、おめでとうございます。

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