日銀の政策転換と住宅市場への影響
2022年12月20日の12時頃に日銀の金利政策転換のニュースが流れましたよね。
私は仕事の合間でしたが、この報道を目にしたときは、「ヤバい!」と思いました。
今年に入ってから米欧などの先進国は歴史的な高インフレを抑制するためにこれまでのゼロ金利政策を打ち切り政策金利上昇へ舵を切りましたが、日銀だけは「超低金利政策を固持する」と独自の方向性を微塵も崩さなかったからです。
この年末に向け何が起こったのでしょうか?
今回は、この金利政策の方向転換の経緯と住宅市場におけるインパクトを私なりに予想していきたいと思います。
2022年11月からの報道に流れの変化を感じる
日銀の黒田総裁は11月10日、首相官邸を訪れて岸田文雄首相と会談しました。
この際に、これまでの日銀の金融政策に対しての意見交換がなされ「急激な円安」と「物価高」を考慮するような動きがあったのではないかと思います。
この日以降から、各メディアから日本国債の疑義を問うような報道が目立つようになってきました。
以下にそのうちの一部を時系列に抜粋しておきます。
今回の日銀の政策転換が住宅市場に与えるインパクト
住宅市場にあたえるインパクトは大まかに3つ
住宅ローン固定型金利の上昇
金利上昇圧力による住宅購入層の警戒感およびマインド低下
しかし変動金利は変わらず
私個人としては、今回の日銀の政策転換が住宅市場に与える影響はそれほど大きくないと予測しています。
その理由としては、2つ。
1つ目は、今回の長期金利の変動誘導幅は0.25%から0.5%程度に変更した程度であり、この幅が狭いという点。
2つ目は、今回の変更は長期金利の指標のみに対して影響を与える変更という点です。
つまり、住宅ローンの変動金利に短期的な影響を及ぼす短期金利政策は変更しないわけですから、変動金利の動向影響はありません。
また、現在住宅ローン利用者の全体の7~8割程度が「変動金利」を選択しており、固定金利を選択している方はごく少数です。
以上の背景を踏まえると、
固定金利上昇はするが、幅は狭い
変動金利は変わらず
という流れであるため、これからはより変動金利のニーズが増えることになるかと思います。
しかし、中長期的な問題は発生してくるのではないかと感じております。
その理由は、9年間続いていた異次元の超金融緩和政策にはそろそろ限界が来ているという課題が露呈してしまったからです。
当初の日銀の金融緩和の構想は以下のようになっていました。
しかし、9年間の実績は…
という残念な結果になってしまっているように思われます。
この後者の流れが正解だとすれば、これからの日本経済や財政を延命するためには、「お金を刷り続ける」=「日本円の価値は減少」という構図になります。
それを逆説的に捉えると、むしろ、日本円で借金をし、有形の資産に転換することが防衛策になる可能性が大きいのではないかと考えます。
ただし、注意しなければいけない展開としては、9年間続けた異次元の金融緩和の失敗が露呈されたことで海外マーケットから日本経済・財政の信頼性が失われ、日本国債の格下げなどが起こり、国債暴落などの影響により想像もできないほどの経済混乱が起きる可能性があることです。
現状の日本は、毎年の一般税収が70兆円弱であり一般国家予算が100兆円超なっているため、残りの約30兆円は赤字国債として調達し続ける状態です。
すでにここ数年は健全な財政政策の出口戦略が全く見当たりません。
このようなことから、今後は国に頼らずに個々人が自身の資産防衛策を考えるべき時代なったということだと思います。
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