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カバードアグレッション〜元友達に攻撃を受けた話

先日の話だ。夜の7時、実家の母から電話があった。

「宮本のりこ(仮名)って知ってる?」

ケータイを持つ手が震えた。5年前に縁を切った女友達だ。

「その子がどうしたの?」

「今さっき、男が二人やってきてね”宮本のりこの友達なんですけど、詩織さんいますか?”って言って来たから、その子が誰か分からないし、”詩織とは別々に住んでいるのでここにはいません”って言ったら帰っていったよ」

「どんな男?」

「んー、あまり覚えてない。なんかちょっと怖かったよ」

背中がゾクっとした。宮本のりこは元ヤンキーだ。そんなことに協力する男も良識ある人ではないだろう。


私は大人しい子供だった。大人しくて真面目だったが勉強が出来なかった。
中学に入学して二ヶ月に経った頃、突然勉強についていけなくなった。勉強が分からなくなった日をハッキリと覚えている。

数学の時間だった。みんなで問題を解いていた。楽勝だった。先生が「次は解き方が変わるぞー」と言った。次の問題も解けたと思った。3問出され全部解けたと思っていた。
「じゃあ、誰かに答えてもらおう。高木と倉野と八木原〜答えてみろ」と言われた。高木君も倉野君も正解だった。もちろん私も正解を答えたつもりだった。
「八木原・・・それは前の解き方でさっき新しいやり方を教えただろ?」と言われた。私の答えは間違えていたのだ。間違っていたと言うことに驚き、後ろの席の子に「え?どう言う事?答え違うの?」と尋ねた。

「だからさっき新しい解き方習ったじゃん」と言って丁寧に問題を解説してくれた。

教えてもらったその数式が全く頭に入ってこなかった。何度も説明してくれるが分からない。その様子を見ていた先生が私の隣に来てゆっくりと説明してくれた。

「さっきまで分かってたんだから解けるだろう?」

そう言うが結局最後まで理解することが出来なかった。すると次の社会の授業も内容までも頭に入ってこなくなっていた。
それから転がる様に成績は落ちていった。中学3年生になった時には数学のテストは一桁台にまでなっていた。私の進学出来るレベルの高校は3校ほどになっていた。ヤンキーが多数いることで有名な高校に入学した。

私はクラスにいるヤンキーを見て憧れを抱いた。父や先生に反抗することも出来ず言いなりになっていた私は、大人を恐れない強さのヤンキーに憧れた。

私は大人しくて真面目なままヤンキーと友達になった。と言うより都合よく使われていた。

大人になってもその関係が続いた。

親同様に友達たちも私を所有物の様に扱った。

友達は全てわがままで自分勝手だった。

そんな相手を自分から選んでいってしまった。彼女たちの態度は父と似ていて、私はそういう扱いをされるものなんだとどこか諦めていた。ようやく5年前に付き合っていていい事がないと離れる決意をした。

そんなのりこと縁を切って5年経った今、男を使って嫌がらせをしてきたのだ。

一瞬は怖くなって震えたがすぐに彼女が以前、同じ様なことを別の女にしていた事を思い出した。


自分はあくまで被害者で私を悪者に仕立てあげているのだろう。その話しを信じた男が私に文句を言いに来たのだろうが、実家にまで押しかけるって普通じゃない。

”大切にしてくれない人と友達になる”リスクを思い知らされた。


そしてこんな一件があったにも関わらず、母が私の心配を一切せずに

「私じゃなくてお父さんが出てたら大ごとになってたよ〜絶対!」

と、ラッキーだったね的な言い方をした。


嫌な人間関係を捨てる勇気を本領発揮しなければならないのはこれからだな〜と思うのだった。






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