『クランクイン』

相場英雄さんの作品。

広告会社に勤める営業マンの根本がベストセラー小説の映画製作を担当することになった。ただ、癖の強い原作者や予算確保など、さまざまな問題が発生することに…。仕事を進めていくうちに、小さい頃に死別した根本の母親についての情報を手に入れる。

1本の映画を製作するだけでも、キャスティングやロケハンなど大変なことが多いと感じた。個人的にはスクリプターという職業に興味を持った。スキャンダルが発生すると映画がお蔵入りになることがあるが、裏で頑張っている人からすれば「ふざけるな」と思うのはもっともだと感じた。

私の好きなタイプの終わり方だった。


印象に残っている文

アンバランスが服を着て歩いている、とっさに根本はそう思った。

「アソシエイトプロデューサーとは、具体的に何をなさるんですか」「そうねえ、撮影に関わる何でも屋さんよ。今みたいに準備段階から、現場で監督やその他スタッフ、キャストの間を走り回る役回り全般を担当するの」

以前は映画会社が自前の撮影所で自社の監督やスタッフ、俳優を使って映画を作っていた。それが観客数の激減によって、撮影所を手放すなどして製作の外注化が進んだ。その結果、映画会社は作品の配給に専念するようになった。

「映画化に厳しい条件をお出しになったという清張先生がご覧になったあと、『映画じゃなきゃ出来ない』と仰った作品です」

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