『小説王』

早見和真さんの作品。

新人賞を受賞した後、なかなか次の作品が書けない作家。その作家と同級生の編集者。2人がタッグを組んで新たな作品を書き上げる。

「作家の話をただ楽しんで読むのは2流」という言葉が印象に残った。どんなものが出てきても、物語をより良くするために指摘しなければならないのは大変だと感じた。

編集者の採用面接の様子が印象に残っている。アルバイトでホストをしていたというのは、面白いと感じた。

「エピローグ」と俊太郎の息子の書いた作品を読んでみたいと感じた。


印象に残っている文

夢にすがっているだけで、せめてそのフリをしているだけで、とりあえず「いま」を留保することはできるのだ。

「作家に未来を与えるのも、奪うのも、すべて編集者次第だと覚悟しろ。お前が駆け出しであることも、実力不足であることも言い訳にならない。一つの小説の前では対等なんだよ」

「紙の本がどうなるかとかはわからないけど、物語は存在し続けるに決まってる」「なんでそう断言できるの?」「物語がここまで人間を生き延びさせてくれたから」「そうなの?」「それはそうでしょ。物語がなかったら人間はもうとっくに滅んでるよ」

「もし読ませるのが恥ずかしいと思うなら、それはまだ読んでもらう段階じゃないってことだ。実際、小説を書くのってめちゃくちゃ恥ずかしい行為だよ。人前で裸になる方が簡単なことかもしれない。一番読まれたくないと思う人に読んでもらうくらいの気持ちがないのなら、いまはまだ書かない方がいい」

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