『奇縁七景』

乾ルカさんの作品。以下の話が収録されている。
虫が好かない、目に入れても、報いの一矢、夜の鶴、只よりも高いもの、黒い瞳の内、岡目八目

最初の3編は後味が悪かったが、後の4編の読後感はとても良かった。
「虫が好かない」を読んで、小学生がこの出来事を経験したら一生トラウマになるだろうと感じた。自分が食べる料理にすべて虫が入っていたら、もう食事が嫌になると思う。
「黒い瞳の内」が一番好きな話である。瞳に写っている人は一体誰なのだろうと思っていたが、真相を聞いて心が温かくなった。
「岡目八目」で前の話に出てきた登場人物が再登場していた。

印象に残っている文

伸びるやつは九十九パーセント、素直で柔軟なやつだ。教える人間の言葉を、そのまま受け入れて飲み込み、とりあえず実行してみる。教えられている立場ってのをわきまえて、自分の考えは横に置いておける。変にプライドあるやつは、駄目だね。

六時間以上留守にする家は、犬を飼う環境として適さないと聞いたことがある。

そうね。人の死に顔って、やっぱり独特よね。死化粧は施されているけれど、なんとなく皮膚は蝋のようになって、色も黄色くくすんでしまう。はっきり言って醜くなる。ああ、この人はとう動かないというのが、本能的にわかる。

北海道のお通夜って、本州のものとは少し違うのよね。お香典に領収書が出るのよ。


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