『明日の僕に風が吹く』

乾ルカさんの作品。
アレルギーを発症した同級生の処置に失敗したと感じ、それが原因で学校に通えなくなった有人。ある日、医師の叔父から北海道の離島の高校への転校を勧められ、北海道の離島で生活していく。

東京から北海道の高校に行くという話の展開が、『銀の匙』に似ていると感じた。
アレルギーを発症した同級生に対する有人の行動は、誰にでも真似できることではないと思う。その場では実際に行動できなかった人もいたわけで、有人は自分のことを責めないでほしいと感じた。また、他の人が有人のことを責める権利がないと思った。
離島に医師が足りないというのは、とても深刻な問題だと感じた。住民との相性もあるだろうから、医師は大変だと感じた。
4人で協力をして、ウニのパスタソースの缶詰を作る場面がとても良かった。

印象に残っている文

ーー知識や技能があっても、生かせないなら、ないのと同じだよ。次も俺は名乗り出る。これは医師の心構えとか、そういう問題じゃない。生き方の問題なんだ。

それにしても、女の子には不思議な力がある。男子に背伸びさせる力が。

「ウニは生殖巣の部分を食するが、殻から出すとすぐに形が崩れてとけてしまう。よって、形を保つためにミョウバン水につけるのが一般的だ。このミョウバンが薬臭いんだな。形を保つのみならず、保存料としてアルコールとともに添加している缶詰もある。すると、どうしても味がつく。敏感な人は嫌がる」

前に進むときに感じるのは、必ず向かい風だ。

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