『スカイツリーの花嫁花婿』

青柳碧人さんの作品。自分よりも早く結婚しないだろうと思っていた友人が結婚し始め、焦る男性。かつて個人塾で生徒と先生の関係だった男性と女性。様々な人が絡み合う。


花嫁と花婿は一体誰なのか、予想しながら読むのが楽しかった。

途中の話に出てきた人々が絡み合うのが面白かった。

スカイツリーの見える結婚式場というのは実際にあるのだろうか、気になった。


印象に残っている文

「大学の仲間二人が、俺より先に結婚した。どうせ一生結婚とは縁がないだろうと思っていたやつらがだ。やつら二人とも、東京スカイツリーの見える式場を選びやがったんだ。あの塔は常に、俺に敗北感を押し付けてくる」

「東京スカイツリーの照明だよ。江戸紫をモチーフにした『雅』と、隅田川の流れをモチーフにした水色の『粋』と、江戸の賑わいをモチーフにした橙色とゴールドの『幟』。この三種類のライトアップの日替わりなんだ」

毎年この時期になると決まって聞く「うだるような暑さ」という表現。ーーあの「うだる」というのは、いったいどういう意味なのだろう。

「そばや卵をお湯で煮ることを『茹でる』っていうだろう。その調理が完了したこと、もしくはその過程の状態を、調理されている対象を主語にして使うんだ。『卵が茹だる』……『卵がうだる』ってな」

「正直者が楽して稼げる仕事なんてねえ。人を騙して手っ取り早く稼ぐか、馬鹿みたいにまじめにゆっくり稼ぐかのどっちかだ」


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