『レジデンス』

小野寺史宜さんの作品。

引ったくりを繰り返す中学生の望。

痴漢と勘違いされ相手を追いかけていたら、交通事故に遭った大学生の根岸。


湊レジデンスには住みたくないと感じた。小野寺さんの作品に出てくる「筧ハイツ」の方に住んでみたい。

登場人物が鬱屈した思いをそれぞれ別の形で吐き出しているように感じた。

登場人物の中で根岸が一番可哀想だと感じた。就活を棒に振ってしまったのが、やりきれないと思った。


印象に残っている文

いつだってそうだ。約束事をこなすだけのこんな場面を何度もくり返すことで、教育は形を成していく。

ぼくはビートルズが嫌いだ。初めて聞かされた場所が学校の音楽室だったからにちがいない。さらに言うなら、ぼくは授業中にビートルズを聞かせるような音楽教師も嫌いだ。何よりもまず、その手の陳腐な媚の売り方が嫌いだ。

俺は酔ってるのか、酔ってないのか。まあ、そんなことを考えてる時は大抵酔ってるよな。

何か落ちつかない。他人の家で全裸になるのは、勝手に温かい飲みものを入れるよりよっぽどおかしな行為だ。

二人はまるで双子みたいだ。顔の造作こそちがうが、言うことは同じ。個性という言葉を限りなく没個性的に使うタイプ。自分らしくとか、本当の自分とか、そんなことばかり言いそうだ。

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