『モノクローム』

乾ルカさんの作品。

沖田慶吾は幼い頃から児童養護施設で育てられた。母は慶吾よりも囲碁の試合を優先したのだった。


写真部の香田が撮った慶吾の写真を見てみたいと感じた。

慶吾が人間関係を築く際にする試しの質問に対して、香田がどのように返したのかという場面が一番印象に残っている。

社会人になって頑張って通っていた大学を中退することになった慶吾が、とても可哀想だと感じた。

過去に「ヒカルの碁」を読んだことがあった。碁に関しての小説はあまり読んだことがなかったので、とても面白かった。


印象に残っている文

不安というのはおかしなもので、それをどうにかしようと考え続けていると、底なし沼に足をとられた旅人みたいに、どんどん深く沈んでいってしまう。

理解者が欲しいなんて甘ったれたことを言う人間は、僕は嫌いだ。そういう人は、自分のすべてをわかった人から否定される事態を想定していない。理解を求めるふりをして、ただ自分を無条件に肯定してほしいだけだ。

金融機関の人間にとって、印鑑は命みたいなもの。

すげー悲しいってやつは、引いていくときに、一緒に大事なものも根こそぎもぎとっていっちまうんだよ。

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