『美人薄命』

深水黎一郎さんの作品。
給食サービスを手伝う磯田総司。
磯田総司という名前が後で重要な意味を持っていることに読者は気づくことになる。

カエばあちゃんの人柄がとても素敵である。
一回真相が明らかになったと思って少し残念な気持ちになったが、最後に予想外の結末が…。
ラストの後味が良く、続きが気になるお話だった。

印象に残っている文

「僕のように初老の年齢になって初めてわかることだが、若い頃に老人を馬鹿にしていた人間は、例外なく、惨めな老後を迎えることになるんだよ。いいかい、例外なくだ」

「人間に生きる力を与えてくれるのは、いつも他の人間なんだもの…」

外廊下の障害物を、ユーチューブで見た全盛期のマラドーナの如き軽快なステップで躱しながら進み、薄い合板のドアをノックする。


↑サッカーの比喩が出てくるのは珍しいので、とても興味深かった。

これはもう、マザーテレサでもバズーカ砲を抱えて追いかけて行くくらいのレベルだ。

「語るという行為は、必然的に嘘や美化を内包しています。」

「人を笑わせるというのは、相手がどんなことで笑うのかを、見抜くということに他ならないと思うんです。俗に言うオヤジギャグが疎まれるのは、それがそういう努力を一切していない、一方的に押し付けて来るギャグだからです」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?