『クロコダイル・ティアーズ』

雫井脩介さんの作品。

貞彦と暁美は老舗の陶磁器店を経営している。ある日、2人の息子である康平が妻の想代子の元彼に殺されてしまう。暁美は康平の死を知ったときの想代子の反応を見て、想代子に対して疑いの目を持つ。


終盤で想代子が語っていることが事実であるように思えなかった。想代子にとって都合のいいことばかりになっているので、とても怪しい。

暁美が犯人の元彼と対面するシーンで、元彼には「殺害するよう想代子から頼まれた」と言う場面を期待していた。

モヤモヤしながら本を読み終えた。


印象に残っている文

「嘘泣きってね」東子は構わず話を続ける。「英語で『ワニの涙』っていうのよ。ワニは獲物を捕食するときに涙を流すからね。」

商売というのは、もちろん近隣や取引先との助け合いがなければ成り立たないものだが、店そのものは本来、独立独歩の気概をもって構えるべきものだと思っている。こうした計画の何が嫌かと言えば、その店の独立性を無視して、こうするべきだという押しつけがまかり通り、ゆくゆくはそれに縛られざるをえなくなるところである。


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