『二人の推理は夢見がち』


青柳碧人さんの作品。

寝ている間だけモノの記憶が読める司と出会った早紀。早紀は祖父の死が事故ではないと考え、真実を探る。

「いーとーまきまき」は「E棟のマキ姉ちゃん」のことだと思っていた話が面白かった。「夢見がち」は嫌なものが見えてしまうので、自分にとっては欲しくない特殊能力だと思った。

印象に残っている文

せっかくこっちが声を潜めたのに、美穂は自宅が全焼したニュースを突きつけられたような大声を出した。

胸の中に築いていた脆い壁が、アイスの棒のような粗末なものでいとも簡単に崩されていくような気がした。

「それに、人間国宝って予算の関係で定員制なのね。工芸・芸能合わせて百十六人って決まってるんだって。」

「男にとって、思春期の恋っていうのはずっと残っているもんなんだって。告白に失敗していればそれでもまあ恥ずかしい思い出の一つにできるんだけれど、告白すらせずに後悔していた場合が厄介で。そういう男っていうのはその後、誰かと付き合ってもすぐ別れちゃって、純粋だった頃の恋に縋ってしまう。それで、もう一度、昔好きだった人に想いを告げるという行動に出てしまう。恋心の回収、とか言ってたかな。私の先輩は」


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