『魔女と過ごした七日間』

東野圭吾さんの作品。

「ラプラスの魔女」シリーズ第三弾である。


AIによって監視システムが発達した日本社会。

見当たり捜査員だった父を亡くした少年。

不思議な能力を持つ円華。


冒頭のけん玉のシーンから驚かされた。

陸真と純也はお互いのことをよく信頼していて、大人になっても2人の友情は続いていくだろうと感じた。

陸真が女装して円華と闇カジノに潜入するシーンがとてもハラハラした。


印象に残っている文

「だけど親父はよくいってた。見当たり捜査員の勘はAIには再現できない、いずれまた必要だと気づく時が来るって。負け惜しみだったのかもしれないけど」

「顔写真を覚えるのにはコツがあるみたいです」「コツ? どんな?」「ただ顔を記憶するだけじゃなく、想像力を働かせるんだそうです。こいつはこれまでどんなふうに生きてきて、今はどんなふうに考えて暮らしているか。何を思い、何を大切にして、何を犠牲にして生きているか。そんなふうに懸命に想像していると、写真の顔が頭の中でどんどん変わっていくらしいです。人というのは生きていれば必ず顔が変わる。人生が滲み出てくる。それを加味して覚え込んでいく。そんなことを毎日繰り返していたら、たった一枚の顔写真で見ただけなのに、ずっと昔からよく知っている友達みたいに思えてくる。友達なら、大勢の中からでも見つけるのは難しくない。見当たり捜査ってのはそういうもので、理屈じゃないと親父はいってました」

「闇カジノはしょっちゅう場所を移す。移転先を知らされるのは関係者と会員だけだ。」

虚飾や虚言を駆使して、自分の正体を明かさずに相手の本性を探ろうとする場所ーーまさしくそうだと思った。ここは単なる娯楽の場ではない。腹に一物を抱えた者たちが駆け引きをするところなのだ。

「少年たち、よく覚えておきなさい。法律は国家にとって都合のいいように作られている。国民なんて二の次だし、ましてや正義なんてものは無関係。昨日までは無罪だったものが、ある日突然有罪になる。そんなものに振り回されちゃだめ。何が正しいかは、自分で考えなきゃいけない。わかった?」


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