『百瀬、こっちを向いて。』


中田永一さんの作品。
「百瀬、こっちを向いて。」「なみうちぎわ」「キャベツ畑に彼の声」「小梅が通る」の4作品が収録されている。

「百瀬、こっちを向いて。」では、物語の最後にタイトルのセリフが出てきて、「おー!」と感じた。
「なみうちぎわ」では、真相が明らかになって少し悲しくなった。植物状態のまま5年間を過ごすというのが、私にはとても耐えられない。本当に目を覚ましてくれて良かったと思う。小太郎くんが良い人だったのが救いである。
「キャベツ畑に彼の声」では、実際にこのような学校の先生がいたら面白いなと思った。
「小梅が通る」では、思春期の子どもらしい話だと思った。コロナ禍でマスク社会となり、似たような話が出てくるのではないか。

印象に残っている文

人間レベル。それは、外見と精神の良し悪しを総合したものである。

僕たちは恋人なのだ。こんな風に皮膚と皮膚をふれさせてあるいていても、逮捕されないのだ。

それにしても休日にあつまっている男女混合のなか良しグループなど、スプラッタ映画で殺害されるために登場する役柄でしか見たことがなかったので、殺人鬼にだけは気をつけなくてはとおもった。

だれかの体温とはこんなにも人を安堵させるものなのか。


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