『ふなふな船橋』

よしもとばななさんの作品。


感想
この本の登場人物で好きなのがイケメン君である。登場するのは数ページであるため、そこまで重要なキャラではない。しかし、彼の言葉がとても印象に残った。
「街って、その人だけの地図でできてるんだ。それぞれ違う。俺の地図はすごく現実的な地図で駐車場なんかが中心だけど、俺の彼女の地図は全部ケーキ屋とピザ屋とパン屋でできてる。きっともう君の中では君だけの船橋が地図になってる。」
自分の街の地図は何で出来ているのだろうと考えるきっかけになった。
俊介さんはずるいなと思った。


印象に残っている文

人の心の中に妖精はほんとうに生きている。私が小さいときから本を好きなのも、本の中の人たちはどんなときでもいっしょにいてくれるからだった。妖精と同じように、実際には見えないけれど確かに生きている。
いつだってそうだ。悪いことの半分はいいことでできている。見つけることができるかどうかだけだ。
そうしたら突然に同じ人を好いている人たち特有の温かい雰囲気が生まれた。スープがだんだん温まって最初の湯気が出るときのように、花子さんの面影がふわっと香りたったのだ。
「人をいやな気持ちにしないように、明るくいられるようにいつも笑っているけれど、その中にみじめさも媚びもなんにもなくって、ほんとうに人に幸せな時間をあげたいって花ちゃんは思っているでしょ。そういうところをほんとうに尊敬する。」
「小さなお金で生きている人たちが不幸になるような街だと、ほんとうに社会がしぼんでしまうんだと思います。」
「街って、その人だけの地図でできてるんだ。それぞれ違う。俺の地図はすごく現実的な地図で駐車場なんかが中心だけど、俺の彼女の地図は全部ケーキ屋とピザ屋とパン屋でできてる。きっともう君の中では君だけの船橋が地図になってる。」
いつのまにかできている模様が私の人生という織物の模様。

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