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OSINT(オープンソースインテリジェンス)のすゝめ 前編

はじめに

今、あらゆることの変化する速度が速くなっている。国際情勢を見ても、長く断交状態であったサウジアラビアとイランが中国の仲介で国交を回復し、国内もかつてない円安と原材料高騰という形でウクライナにおいて続く戦争による影響が表面化している。

もう、今までのように何となくニュースサイトをスクロールして済ませれる時代は過ぎたと見ていいだろう。

では、どうすればいいのか?私は、各個人で複数のソース・プラットフォームを使いこなし是々非々で分析と予測を立てて備える必要が2020年代以降は求められ、それぞれの形で立ち回りしていかなければ生き残ることは難しいと考えている。

意外とこのために必要なことは、普段から何の権限を有さない一般人でもアクセスできるオープンソースで済ませれ、こういった活動はオープンソースインテリジェンス(以下、OSINT)と呼ばれる。

今回のコラムを書くにあたって、前編は私と私が普段連絡を定期的に取っている外交や国際情勢の専門家らが実践している習慣・普段使っているニュースソース一覧などを。

後編ではマスターが必須もしくはマスターした方がいい第一・第二外国語、おすすめの検証プラットフォーム・有用な海外メディアなどについて書いていきたい。

必要とされる習慣①:適度な距離感

まず、OSINTは複数のメディアとプラットフォームから情報と観点を取得し、専門家らの意見を参照にしつつも自分で判断し結論付けていく必要がある。
この時気を付けて欲しいのは、一歩距離を取ることをとにかく忘れないこと。

何故なら、OSINTを行う際、様々な角度での記事や意見などを集め、判断するプロセスが問われるが、当然自分にとっては耳が痛い、感情的には気分のよくないものも多く目にし、耳にすることになる。

しかし、自分にとって聞こえのよく快適なものばかり見るのは、インテリジェンスではなくただの切り取りでしかない。

インテリジェンスは基本的に「中立」の立場から情報を収集し、分析しなければならない。

否定もしないが、肯定もしない。この絶妙な是々非々のバランスを取ることは難しいし、私自身もいつの間にか偏った見方を持ってしまっていたことは数え切れない。

しかし、普段から意識しておくだけでも違いは出てくる。読者の方々には、是非普段から頭の隅にここで述べられたことを置いて、コラムや記事を読んで吟味して欲しい。

必要とされる習慣②:安易なレッテル貼りを避ける

ここでは最初で述べたことを少し深堀りしていく。

これは特にここ最近顕著だが、安易な「○○派」「XXは△△だ」という言説をよく見かける。

私がよく参考として定期的に見ている海外在住で起業家兼ブロガーの方がいるが、全体的な論調としては是々非々であることに加え、日本国内や西側諸国の問題点に鋭くどちらにも肩入れせず切り込んでおり、一部その姿勢と論調を気に入らないネティズンらからよく出羽守(海外を極端に礼賛し、自国を貶める日本人を揶揄するネット用語。)と批判されている。インターネットに流れる言論や意見がセンセーショナルでネガティブに作用しやすく、発信者側も意図的にやる場合が珍しくないので、どうしても正面から否定したくなる見識などが目につきやすいのは理解できる。

しかし、OSINTにコミットしていく以上そのような安易なレッテル貼りによるシャットアウトは禁物だ。

無論、一線を越えたレベルのデマや偏りのある意見・明らかにフェイクニュースを流してるようなアカウントや政治家・論客は遮断した方が精神衛生上ベストだし、そもそもそれらは意見ではなくただの雑音でしかない。

大事なのは、一通り軽く読んだだけで判断するのではなく、
その記事や論評において「何故」そのように述べられ、報じられているかを類推し、背景について自分なりに調べるという過程も両立させること。

そうすれば感情的になりづらいし、何より発信側の意図を類推することにより本人がどう考え、またどのスタンスに立って物事を見ているか理解がしやすくなり、結果バランスの取れた自分独自の視点を持つことができるだろう。




必要とされる習慣③:コネクションを作る

「情報を収集して、独自に分析する。」と言うが、まずそのための土壌となる知識や経験・見聞といった土壌がないと、スタート地点に立てない。

どんなにネットが発達し、幅広いことがどこでも学びやすくなっても、調査対象となる国の国民や文化・モノに直に触れた経験と学びほど役立つものはない。

一番手っ取り早いのは、① 外資系企業に就職 ② 海外留学・就職・長期での海外旅行 ③ 日本国内の国際関係や情勢を研究する学部や院に進学 のいずれかがベストだが、欠点としてはどちらも強い資金力が前提で年齢も若い方がベストで敷居が高く、万人向けではない。

そこでおススメしたいのが、大学で定期的に行われている専門家によるセミナーだ。殆ど無料で開講されているか、有料でもお手頃な料金設定になっていることが殆どなので敷居が高くない。

調査対象となる国の留学生やジャーナリスト・教授らと繋がることも重要だ。

留学生はよく交流イベントをやっているし、ジャーナリストは時々大学の教授の講座に招かれて解説をしてくれてる。今はMicrosoft TeamsやGoogle Meatを介したWeb講演などもよく行われているので敷居は更に下がっている。

そこでFacebookやInstagram・Twitterで繋がり、疑問に思ったことを聞いてもいい。

但し、留学生などの一般人と交流する際は少し距離感にも気を付けて欲しい。

基本的にどこの国でも政治の話は敏感な上、専制的な体制を敷いている国の出身であれば基本的に避けたがる。親族や自身の安全のためだ。

そもそも初対面でいきなり政治や経済の話をしてくる人なんていたら、誰だって相手の常識を疑うだろうし、あからさまに打算的な人に近寄りたくない。外国人と言っても根底は同じ人間なのだから。

そうならないように、ある程度距離を近づけ慎重に話題を選びながら深堀りしていくべきである。それに、異文化交流は色々と学べることも多く楽しいし刺激的である。純粋に新しい人らと出会い、知識を学ぶ楽しさも忘れないで欲しい。

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