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能力主義の闇(人生は他人との競争ではない

皆さん能力主義って好きですか?
努力した人が報われる、結果を出した人が評価される、
一見すごく平等で理想的なように見える価値観ですが、
僕は能力主義を否定します。

それは、個人の能力そのものは自分の努力だけではなく、
遺伝や家庭の経済状況による質の良い教育を受けられるかなど
環境面における影響も大きいからです。
要は運によるウェイトも非常に大きいという事です。

能力主義はその運が良かったという部分を軽視しがちです。

実際、東大に合格している人は家が裕福で質のいい教育を受けられた人が
多いというデータが出ています。

「家が裕福」というガチャを成功させた時点で能力も大体決まってくる。
人生はスタートから完全な運ゲーです。

それなのに、能力主義は自分は人一倍努力したから成功できたんだという
ある種の驕りを生み出す原因にもなります。
自分はこれだけ努力したのだから、これだけの報酬、果実を受け取れるのは
当然だという感覚を生み出します。
そして、能力が無い人は努力不足であり、少ない報酬で当たり前だという
価値観も醸成します。
そして能力の無い人を見下し、差別心すら芽生えさせます。

能力至上主義者は単に自分が運が良かったという部分に関して見ようとせず人として重要な感謝と謙虚さを持ち合わせていない場合が多いです。

そもそも人生は自分との戦いであり、他人との競争ではない事を見落としている。
他人を見下したり、優遇されて当たり前という感覚は愛とは程遠い
感覚であり愛に満たされてない人は不幸です。
そして不幸な人ほど他人を叩きます。

能力主義は無駄な戦いや競争、差別を生み出すものでしかないと
僕は考えます。

能力主義はアドラー心理学でいう「縦の関係」で人と関わる価値観です。
「縦の価値観」では他人はライバル、敵になってしまい、
終わりのない戦いで苦しむことになり、永遠に心に安息は訪れません。
それが不幸の源泉となっている事に気づけないと人生は
辛いものとなるでしょう。

アドラーは「縦の関係」で対人関係を考えることを否定し、
「横の関係」で対人関係を構築することを唱えています。

つまり、能力も年齢も金銭の多寡も何も関係なく、
一人の対等な人間として相手と関わり、お互いを尊重し、
相手を競争相手としてではなく「仲間」と見る事です。
他人を仲間と思う事で無駄な争いが無くなり、心が平穏になり、
お互いに支え合う信頼関係ができると、他人に対して自発的に
貢献しようという気になり、その貢献感が幸福感をもたらします。

アドラー心理学における幸福への最終目標は人間愛の実践による
「貢献感」と「共同体感覚」です。

能力主義ではそれを達成できません。
能力主義の根幹には、能力を誇示することで承認欲求を満たしたり
果実を独占しようというエゴがあるからです。

エゴから大きな幸福は得られません。
恐らくこれは皆さん感じている事だと思います。

自分の能力を磨いて向上しようという気持ちは大事です。
しかし、それは「人の役に立つため」のものであったり
自分の理想の為でなくてはならず、他人を見下すための
ものだと自分が不幸になるだけです。
人と比較をするための努力は無意味ですし、上には上が居るものです。
そうやって他人との比較と縦の関係でものを見ている限り
戦いの無間地獄から解放されることは有りません。

故に能力主義は捨てるべき思想だと僕は考えます。
いくら仕事ができたり、歌が上手かったり、絵が上手くても、
性格が嫌な奴とはだれも真剣に付き合いたいとは思わないでしょう。
その「嫌な性格」の中には他人を見下し蔑む心が潜んでいるからです。
そういう人は能力だけ重宝されても孤独なものです。

今自分が発揮できている能力は、運が良かったのだと思いましょう。
実際運が大半を占めていますし、運が良い事を感謝し、謙虚さを
持つことでその感謝を社会に還元する気持ちが出て、結果的にそれが
貢献感や共同体感覚へつながり、自分を幸福にします。

今はびこる能力主義が如何にエゴまみれで杜撰な思想であるかを
考えてみてください。
そしてその考え方で本当に幸せになれるのか考えてみてください。

これはお金があれば幸せになれると勘違いしている事と似ています。
お金も能力も、根本的な個人の幸福感には影響がありません。

画期的な商品を生み出してもうお金なんて使いきれないほど
持っている人が、なぜ働き続けるのか?

それはお金の為ではなく、貢献感の為でしょう。
社会や人の役に立っていると思えることほど幸せな事は有りません。

人を見下すための能力主義など必要ありませんし
不幸になるだけです。
無駄な競争から降りて、平穏な日々を暮らす方が幸せでしょう。
僕はそう思います。

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