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【CROSS TALK vol.2】動画の教祖 明石ガクトさんがCC道場に登場! 激変するクリエーションの世界とこれからの動画コミュニケーションを読み解く

こんにちは、アドビ未来デジタルラボです。
アドビでは、Adobe Creative Cloudにまつわる情報を毎週YouTubeで生配信しています。今回は動画クリエイターであり、アドビ未来デジタルラボの外部アドバイザーでもある明石ガクトさんをゲストに迎え、最近の動画事情や映像との違い、そして、これからのクリエイティブについて語ってもらいました。ワクワクするデジタル社会の未来には、動画が進化していくことも間違いありません。そういった中で、明石さんの面白く、キレのある視点は見ごたえありです!その一部をご紹介します。


1)映像と動画には違いがある

はじめに明石さんが解説したのは、今の動画事情をふまえた映像と動画の違い。
映像は、映画やTV CMのためにつくられるもので、動画はスマホで視聴することを前提につくられたもの、と言います。

出演は左から明石ガクトさん、アドビ CC エバンジェリスト 仲尾毅、アドビ デジタルメディア担当 久保麻子

明石さんが動画制作をしていた2014年ごろまでさかのぼると、YouTubeは今ほど浸透していなく、YouTube用にクリエイティブをつくるという発想はほとんどなかったと続けます。
 
動画が一般に浸透してきたのはその後。「〇〇ルーティーン」や「やってみた」、「Vlog」など、今はほとんどの人が知る一定のフォーマットができてきて、それをみんなが投稿しはじめました。
「そもそも、これらは誰が最初に投稿したのか分からないし、誰が始めたかなんてみんな気にしていない。定番の型となって、個人がどんどん自分の動画を投稿し出すようになってきた。映画やTV CMとは違いますよね。」

2)スマートコンテンツの時代へ

こうした動画を取り巻く環境の変化を受けて、今は“スマートコンテンツの時代”であると言います。

アナログコンテンツ=ラジオ、新聞、テレビ
デジタルコンテンツ=radiko、Huffpost、Netflix
スマートコンテンツ=Spotify、Substack、YouTube
明石さんはこのように分類。
 
アナログコンテツと後者2つのデジタルコンテンツ、スマートコンテンツの違いは分かりやすい。では、デジタルコンテンツとスマートコンテンツの違いは?
 
「スマートコンテンツの方はインタラクティブなんですよ。Netflixは映像を視聴者が一方向で受け取りますよね。一方、YouTubeは動画を見て、感想をそこに投稿したり、自分のSNSに引用したり、自分も同じ型で投稿したり、切り抜き動画のように自身で編集して投稿したり、いろいろな方向に情報が交差しているんです。

3)情報の伝わり方が決定的に変わったのはTikTokから

TikTokが登場し、情報の伝わり方は大きく変化した。一番大きな違いは、そのバスり方。
たとえば、「#着替えていきます」という動画。1人の動画がハズったことで、二次創作が大量発生。
その結果、なんと#コーデが2.8億から19億回再生へ。
情報発信の元が、インフルエンサーという誰か一人じゃなく、みんなで流行をつくる時代になったのです。

では、何でTikTokだったか?
TikTokで動画を上げたことのあるユーザーの割合は実に55%にも昇る。
通常、YouTubeなどの動画プラットフォームでは見る側とあげる側に分かれるが、TikTokでは動画をアップすることへのハードルが低い。
 
「今まで映画やCMの映像を撮影しようと思ったら、1000万クラスのカメラとかを使っていたわけです。しかも、編集にもすごいお金がかかった。YouTubeも機材が必要。でも、TikTokはスマホが1台あればいいんです。クリエイターになるハードルがすごい低くなりますよね。
 
明石さんは続けます。「アドビでもクリエイターを定義してますよね。“クリエイターとは自らのプレゼンスを高めるために月1回以上、SNSに作品投稿する人”って。これってつまり、クリエイターは単純にモノをつくっている人ではなくて、世に広めることまでしている人ということ。すると、TikTokのクリエイターは8.7億人いるからクリエイターの裾野がものすごい広がっているってことだと思うんです。これってめちゃワクワクすることですよね。アドビのCreativity for AllのAllって、この現象のことを指しているんだと思うんです。

4)激変した世界で勝ち残るには?

「今って個人のYouTubeチャンネルの登録者数が何十万人だったり、インスタのフォロワーが何十万人だったり、もう一つのメディアですよね。個人がすごいエンパワーメントされてるわけですよ。企業と個人っていう関係を考えたとき、今は個人がめっちゃ強いと思うんです。」

個人をフィーチャーしていないと、TikTokをはじめ、これらのメディアでは情報が伝わらない。
そして、作品を出すイコール顔出しをして動画を投稿するということが多い。だから、この数年間は、顔を出すことに抵抗がない人たちが勝ってきた時代だと続けます。
 
 
ここで、明石さんは自身が踊っている動画をベースに生成AIで制作した2人の女性を映します。

「この女性2人はわたしなんです。こんなことができる今は、顔を出すのが嫌でもすごい喋りが面白かったり、ものすごい知識を持っていたり、といった人たちが、自分をベースにしてこうやってクリエイティブしていけるんです。生成AIの発展とともに、顔出ししなくてもいい動画のジャンルは広がっていくと思います。
 
更に、これからSNSの行く先はメタバースだと言います。
「メタバースに行くと、基本的にアバターが出てくるわけだなと。そのアバターの世界になったときのクリエイティブの形って、すごく変わると思うんですよ。」
 
メタバースの世界に「いいね」はない。いいねの数がたくさんあると価値が高いとか、顔出しする方が強いという世界ではなくなるのです。
おそらく会話の世界になると思うんですよ。多くの人の会話をうまく誘発するようなコンテンツづくりが大事になる時代が来るんじゃないかと。これは個人クリエイターにとって、もっと有利な時代になるってことですよね。」

これからは、自分が何らかの形で発信していく努力をしながら、スキルを磨くことが重要。スキルというのは、今話したコンテンツのこと。単なる職人的な作業は、これから間違いなくAIと競合していく。
大事なのはストーリーをつくれるか、何を伝えるかということ。そして、それを「面白いね」って思ってもらえることに価値がでてくるということです。
 
▼本配信は2023年8月3日(木)に実施されました。完全版はこちらのURLからご覧下さい。


【明石ガクト】
ワンメディア株式会社 代表取締役CEO

2014年6月に新しい動画表現を追求するべくONE MEDIAを創業。これまで1,000人以上のクリエイターと共に、YouTubeやTikTokなどSNSプラットフォーム向けのコンテンツをプロデュースしている。2023年、自身初となる著書『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』(幻冬舎)を上梓。YouTube Works Awards 2022においてはクリエイターコラボレーション部門代表審査員を務める。最新の著書『動画大全』(SBクリエイティブ)も話題に。X(Twitter):@gakuto_akashi

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