「泣く子と叩く子は嫌い」と子供に伝える

岸見一郎さんが書かれるアドラー心理学の中で、私が「面白い」と思うことの1つに、「感情は、(無意識のうちに)合理的に人間が作り出している」というのがあります。

例えば、「怒りという感情は、人を支配するという目的のために作り出された感情」であり、叱ると泣く女性社員の心理は無意識に「私はこんなに頑張っているのだから、そんなに叱ったりしないで許して」と主張している(ちなみに叱ると泣く男性社員も一緒で男女差はないと私は思っています)のだそうです。すべては目的があって、「泣く」「怒る」と言った感情を作り出しているのだそうです。

同様に、「子供が『泣きわめく』のは、目的があってやること」というのがアドラーの見立てだそうです。

通常、2歳児が泣くのは、「親を支配するため」だそうです。泣いて、親の注目を集め、二歳児は自分の要求を通す。要求が通らなければ、さらに泣いて、親をコントロールし、自分の要求を通す。目的は「要求を通す」です。

「おやつを食べたい」なら、その目的を果たすために、親を動かす必要があります。その合理的な実現方法として、泣いて、親をコントロールするんだそうです。

親が「駄目だ」と言ったことをやって泣き叫ぶのは、「親の関心を買う」ことが目的だそうです。(うちの息子ではいまのところあまりないのですが、)親が「駄目だ」と言っている”悪いこと”をやることで、「親の注目を集める」ことは、親から「チヤホヤされ褒められる」には劣りますが、親に「無視されるよりはまし」と考えて、「泣き叫ぶ」「不良な行動をする」のだそうです。

優先順位としては、

「褒められる」 > 「悪事を働き親の関心を買う」 > 「無視される」

となるようです。私も、中学生の反抗期あたりに覚えがあります。中学生にとっては、「極めて合理的な行動である」記憶が(かすかに)あります。

さて、うちの息子(3歳)です。
今朝は、パパに遊んで欲しかったようで、朝から泣きわめきました。

息子:「パパ、遊んで〜。公園いこう」
パパ:「パパは、今日はママのおつかいがあるから、公園にいけない」
息子:「だめ、やって」(えーん)
パパ:「パパは泣く子は嫌いなので、行きません。
    パパは一人で公園に行きます」
息子:(バンバンバンとパパを叩く)
パパ:「パパは叩く子も嫌い」
息子:「エーン」
   (と、パパの足をつかむ)
パパ:「何をやってほしいの?泣いていては分かりません」
息子:「じゃあ、ブロックで橋つくってください」
パパ:「いいよ」

という会話をしました。息子は、最後には泣き止んでいます。私には、お使いに行くまでに15分間ありました。その間に、ブロックで息子が希望する「橋」を作りました。息子は納得し、一人で遊んでいました。

このように子供が自らの要求の代替案を見つけると、子供はすぐに泣き止むようです。大抵の子供にとってよくあるケースは、「おかし買って」などとお店で騒ぎ、親が買った後にすぐ泣き止むことではないでしょうか(あれ、「嘘泣き」ではないんですよね)。

3歳にもなると言葉が分かる子供が多いと思います。3歳以上の子供には、「泣きわめく」という意思疎通の代替手段として、「言葉で要求を依頼する」ということを覚えさせ、それが、泣くよりも有効な手段だと分からせれば「ダダをこねてずっと泣く」ということは、なくなると思います(少なくとも、うちの息子はパパと息子の関係においては泣きわめかなくなりました。「子供の要求を受け入れる日常を作った上においては、三歳児との言葉による意思疎通は非常に有効だ」と私は思います)。

うちの息子は、「泣き叫ぶと父親は無視するけれども、言葉で依頼をすると要求が通る」ことを理解しているので、泣くのをやめ、言葉で親に依頼をするようになりました。

良くあるのは、以下のパターンです。

息子:「パパ、だっこー」
パパ:(面倒なので、無視)
息子:エーン
パパ:「パパ、泣く子は嫌いなので、泣く子はだっこしません」
息子:(泣き止む)
   「パパ、だっこしてください」
パパ:(あきらめて、だっこする)

(この場合、面倒だけれども、パパは息子をだっこするしかないのですが、)可能な限り言葉で要求された時に対応しておくと、子供は、「名詞を連呼して泣くより、言葉で依頼する方が有効な方法である」ことを理解するようです。(少し大目に見てやると、子供は言葉で依頼するようになると思います)

もう一つコツがあるとすれば、言葉遣いだと私は思います。私は、息子が私に何か要求する際に、「パパ、だっこー」ではなく「パパ、だっこしてください」と言い直させています。子供が明確な言葉を持って依頼することにより、逆に、子供は親の依頼をより受け入れてくれると私は思います。

息子は、パパへの要求を実現する手段として、

「言葉で依頼する」 >> 「泣きわめく」

と認識し、「泣くのはやめて、言葉で依頼するようになった」と、私は考えています。「言葉で依頼する」動機付けできたので、息子が泣きわめく行動をとることは、自然と減った気がします。

父親も「公園に連れて行け」と息子に命令されるより、「公園に連れて行ってください」と言われた方が気分が良いです。「泣きわめかれる」ストレスもないので、父親と息子の関係も良くなると思います。

思い出すのは、孔子様の次の言葉です。

「己の欲せざる所、人に施す事なかれ」

この”恕”の考え方だと思います。

「言い方一つを工夫して息子に接するだけで、息子とより良い関係が作れる」とつくづく思いました。「命令系ではなく依頼系」は、日常のちょっとしたコツだと思います。

「父が怒鳴り、息子を脅し、支配する」より、「父子が息子と友達の関係を築き、言葉を通じて意思疎通し、お互いに依頼しあう」方が私は快適です。

ちなみに、私は息子が2歳になるまで、息子を脅して支配しようとしていました(ママは、2歳まで息子に優しく接していたのは幸いでした。しかし、息子が3歳になると、ママは大声を使って息子を支配しようと試みて、失敗しているのは不思議です)。私は、息子が2歳を超えたぐらいから態度を改めたところ、息子との関係が良くなりました。これを、親が「いつまでに始めなければならない」という期限は特に無いと私は思います。「今日から、親の行動を変更すれば、子供との関係は徐々に変わる」と、私は思います。


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