岸見一郎さんの「保育園に送った時に泣く女児への対処」がおもしろい

前回も書きました。岸見一郎さんの子育ての本についてです。

子育てのためのアドラー心理学入門―どうすれば子どもとよい関係を築けるのか

この中で、岸見先生の第二子の娘さんを初めて保育園に連れて行く場面が秀逸だと思いました。

第二子の女児(1歳)を初めて保育園に連れて行く岸見さん。
保育園の保母さんに、岸見さんは、

「私がでていくと、この子は、おそらく30秒ぐらい泣くと思いますが、すぐ泣き止むと思います」

と言い残して、去っていく。その女児は、父親の岸見さんを掴んで泣いたそうです。岸見先生が、迎えに言った時のその保母さんの言葉は、

「言った通りでした。30秒どころか、20秒で泣き止みましたよ」

ということだそうです。

岸見さんの想像ですが、

1 岸見先生がでていく
2 女児が泣く
3 保母の先生が時計をみて秒数を計る
4 女児、泣いていれば保母さんが「かわいそう」とかまってくれると
  期待していたけど、泣いても保母さんは腕時計を見つめているだけ
  という動作を確認し「泣いても無駄」と悟る
5 女児、泣き止む
6 保母さん、20秒で泣き止んだことを確認

ということだそうです。

女児の目的は、「岸見さんにおいていかれない」、「泣けばいろいろな人がかまってくれる」という期待の二本立と予想。女児は、「泣いても無駄だ」と悟り、泣くのをやめたとのことです。

私も、長男について同じような経験があります。

1 ママが出かけていく。長男が玄関で見送る
2 長男、玄関で泣く
3 泣いても声が聞こえない遠くにママが行く
4 その瞬間に、長男が泣き止む
5 長男、ケロリとパパの方を向いて「パパ、あそぼ」と言う

と言うものです。また、同様に、「パパが出かける時に泣いていた長男が、すぐに泣き止んだ」という話もありました。

いずれのケースも、長男は、「家を出て行くパパ、ママを引き止める」目的で、「涙を浮かべて泣く」と言う手段をとったようです。目的が達せられないと理解すると、目的がなくなるので、「泣くという行動と悲しい感情を作るのを(無意識に)やめる」というアドラー心理学は正しいと思います。

しかし、岸見さんの娘さんのケースは想像すると絵が浮かびます。

必死に「父親が離れるのを阻止する」「保母さんにかまってもらう」目的を持った1歳女児が、ふと保育園の保母さんの様子を伺ったところ、「時計を凝視している」姿があったわけで、無駄と悟り、「泣くことで目的を達成することをあきらめる」子供の心理は分かるような気がします。また、絵が浮かびます。

うちも、第二子が生まれて、すっかり余裕をもって第二子に接しています。(さすがに、0歳児に対しては泣いたら素直に相手をしてやります)

まだ言葉が分からない1歳児にもアドラー心理学は有効であるようです。
「アドラー心理学の知識が多くの父親・母親に広まり、それにより少しでも子供を育てる人のストレスが軽減されることがあれば、良いのにな」と思う今日この頃です。

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