手伝いの機会作り、パパが息子に「ありがとう」と言う

岸見一郎さんの著作によると、アドラー心理学は、子供が下記の心理状態に持って行くようにするのが、ゴールです。

1:私には能力がある
2:人々は私たちの仲間である

目的としては、「共同体への貢献」に持って行くと健全であるのだそうです。私は、このシンプルなゴールにすごく共感しています。

三谷宏治さんと言う人が、『お手伝い至上主義でいこう!』という本を書いているらしい内容に「仕事場で役に立つ新人と役に立たない新人の統計をとったら、役に立つやつは家でお手伝いをいていたことが分かった。一方、受験勉強のために、手伝いをさせてもらえなかった人間は、就職して段取りが悪くてまったく役に立たない。だから三谷家では、強引に手伝いをさせている」(これが真実かどうか私は分かりません。三谷さんの本ではなく、インタビュー記事で読んで、「そうか」と私は思いました)

お手伝いは、家庭という「共同体への貢献」であると思います。乳幼児や幼児にとっては、一つの身近な共同体に「家庭」があると思います。この共同体に参加させるのが、親のつとめの一つだと私は思っています(私は、お手伝い”至上主義”ではないですが・・・)。

アドラー心理学を使った子育ての実践的なゴールとしては、「親が子供に心の底から『ありがとう』を言える環境と機会を整えることだ」と私は考えます(能書きだけだとよく分からないので、以降、実践の話をします)。

パパは、うちの息子(3歳)に、空になった水のペットボトルをつぶすように依頼しています。また、ペットボトルの純水を離れた部屋から台所に運ぶのを手伝ってもらっています。これは、主に、ママがパパに頼んでいた作業です。息子もできるので、3歳児の仕事に替えました。

ママ:「このペットボトルをつぶしてください」
息子:「はい」
(バリバリバリとペットボトルを足でつぶす)
ママ:「ありがとう」

息子は、依頼の度にペットボトルをつぶし、ママに渡してくれます。親は感謝することになります。

ママ:「水が無いからとってきてー」
パパ:「水を運ぶから、手伝ってください」
 (パパと息子が水がある部屋に行く。息子にペットボトルを渡す)
パパ:「重いけど持てる?2本持って行けるかな?おお、力持ちだね。
    じゃあ、1本を台所のママに渡し、1本を机の上に置いてください」息子:(素直に水を運ぶ)
ママ:(水を受け取る)
   「ありがとう」
パパ:「手伝ってくれて、ありがとう」

息子が仕事を肩代わりしてくれるので、パパは楽になりました(パパが運んだ方が早いんですが、あえて息子に依頼するのがコツだと思います)。

世の中で普遍的なやる気の源は「『ありがとう』と人に言われること」と私は思います。アドラー心理学にも書かれていますが、何かをして、人に「ありがとう」と言われることで、「自分や役に立つ人間だ」と思うことができ、自信が付くのだそうです。

お手伝いは、魔法のようなものだと思います。子供が家族の役に立ちます。子供にしてみれば、(ママ、パパが子供を愛してかわいがっていれば)子供はママもパパも「好き」であり、子供が好きなママ・パパに「ありがとう」と言われることは、嬉しいことだと思います。

幸いなことに、3歳にもなると、できることが日々増えて行きます。「昨日できなかったことが、今日はできるようになって行く」様を見ることが私の喜びでもあります。同時に、息子にとっても喜びであろうと思います。家族という共同体の構築につながれば、私にも息子にも嬉しいことであるように思います。

我が家では、ガンガン3歳児に働かせています。仕事における部下の扱いも同じかも知れませんが、どんどん仕事を任せて「昨日できなかったことを、今日はできるように見守る」ことをしていくと、自らの成長を感じ取れることが嬉しいこともあるかと思います。「それを横の立場で喜んで入れば良いでは」と思っております。

逆に、依頼も任せもせず、「どうせあいつに頼んでもできないからな。しょうがないから、オレがやるか。俺がやった方が早いし」という行動を取る人の多くは、重要な役職につくことはないのではないかと私などは思ってしまいます。

息子は、依頼すれば、床に落ちているものをとってくれる、ゴミをゴミ箱に捨ててくれる、など、親孝行の三歳児になりました。

一つ、私が親として気をつけていることは、

パパ:「ほら、そのゴミ、捨てて」

ではなく、

パパ:「ゴミを捨ててください」
息子:(ゴミを捨てる)
パパ:「ありがとう。助かったよ」

と言う言葉遣いです。

些細な違いで、たった少し言葉を付け加えただけですが、息子とよい人間関係を築きたい私としては、「このような小さな努力を日々続けて行く価値がある」と思う、今日この頃です。


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