長男の「王座からの転落」と入園

最近、アドラー著、岸見一郎さん訳の『個人心理学講座』『子供の教育』を読みました。私の興味に従い、「子育て」「育児」に注目して読む事になるのですが、その中で、今の我が家状況に合致するのが、長男の「王座からの転落」です。(アドラーの提唱する個人心理学では、人をステレオタイプ化することを嫌っており、その類型による人物判断を避けているのですが、あえて、分類して人を理解することも少しあります。)「王座からの転落」を要約すると、次のようになると思います。

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今まで、両親の注目の全てを受けて来た第一子が、第二子が生まれるのと同時に注目を第二子に奪われる事になる。第一子は、第二子に両親を奪われたと感じ、両親の注目を引くことを目的に、様々な行為を始める。まずは、両親の子育てを手伝う等協力を見せるが、やがてそれが注目されないことが分かると、悪い事をして、親に叱られる、怒られるなどを通じて両親の注目を引くことに成功する。その後、腹痛や頭痛等を引き起こし、両親をかかりきりにさせて『親を支配』することに成功する(ちなみに、『親を支配する』ことに完全なる存在は赤ん坊である)。」
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我が家の場合、第一子である長男(4歳)が、次男(6ヶ月)の誕生により、「王座の転落」を経験している最中だと考えています。

アドラー心理学上のゴールは、「社会への適用する子供を作る」なので、「子供が親を支配する」「子供が親の注目を100%得ようとしている」という、子供が親に依存しきった状況(赤ちゃんはしょうがありませんが)は、好ましい状況とは捉えていないようです。なぜならば、社会に出ると、だれもその子供に100%注目しないので、子供が社会に適用できなくなるからです(つまり、自立した人間ではなくなる)。

社会適用への訓練としてアドラーが重視しているのは、学校であり、幼稚園であります。アドラーは、「学校は、家庭と社会の間の存在」とも言い、教育上の存在を重視してます。教師は子供を必ず「甘やかさない」ので、「学校は、子供が社会に適用する良い訓練になる」という考えのようです。

100%注目される一人っ子家庭(王座)から、"one of them"(庶民)になる幼稚園への転落は、長男にとって王座から庶民への転落であることでしょう(うちの場合は、週3で、プレ幼稚園に出していたので、あまり衝撃は大きくなかったかもしれませんが、人員の規模が違うのでそれなりに衝撃はあると思っています)。

パパがソファーで次男をだっこしていると、長男が近くに寄ってきて邪魔をしたりします。次男の離乳食を与えていると、次男を見る振りをして、次男に触り、次男の食事の邪魔をしようとしたりします。

このような時に怒鳴っても仕方ないので、

パパ:(次男に離乳食を与えている)
長男:(次男の隣に座り、次男を触ろうとする)
パパ:「次男にご飯をあげているので、次男に触らないでください」
長男:「やだ」
パパ:「ダメです。長男がご飯を食べようとする時に、
    パパが邪魔をしたら嫌でしょう。
    人にやられて嫌なことは、人にしないでください」
長男:「やだ、やる」
パパ:「赤ちゃんのご飯を邪魔する人は、ここにはすわれません。
    椅子から降りてもらいます」
   (パパは長男を抱き上げ、違う部屋に連れ去る)
長男:(沈黙後、違う部屋で泣き出す)

このような小さな反乱が起き始めています。

パパとしても、長男に対する時間が相対的に少なくなっているのは事実なので、長男の気持ちが分からなくもないのですが、「怒鳴らない」「叱らない」を基本にしつつ、「毅然とした態度で長男に接する」ようにしています。但し、そのフォローとして、最近、再び増えて来た「パパ、だっこしてください」に対して素直に受け入れ、(ちょっと重いけど)長男をだっこし、スキンシップを計るようにしています。

入園に対しては、(園によると思いますが、長男の通う)幼稚園も心得ているようで、慎重な導入を計ってくれているようです。こちらは、「王座から庶民への転落」の対価として、「たくさんのお友達と広い園庭で遊べる」などを感じるまではなかなかに難しいと思うので、多少の行動の悪化が出てくるのはしょうがないとしてパパは許容するようにしています(週末しか接しないパパはどうにでもなりますが、毎日接するママは大変だと思います。ママ、お疲れさま)。




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