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他人に従属するのは、あなたが何者かであろうとするから。

「お前は顔に汗を流してパンを得る。土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」

聖書

30も後半に差し掛かると見えてくるのは、友人や後輩との残酷なまでの成功の差。あの人は部長になったらしい。あの人は経営者になったらしい。あの人は年収800万らしい。

30は而立と言われる。 学識や道徳観も確立して、世に立つ自信も得る年齢であるという意味で、孔子が自らの生涯を顧みて言ったことです。この辺りでつまり、30歳を超えた辺りで自分は何者でも無いと気づき出します。

あなたもそうでは無いでしょうか?一緒にやっていたバンドマンが成功している、卒業して同じ会社に入った同期が辞めて経営者になる。その時に頭をよぎるのは「なぜ私は何者にもなれていないのか?」

「なぜ私は何者にもなれていないのか?」

何者かになりたいのは誰しもそうです。ですが私たちは誰もが、犬なのかなんなのかわからない生き物に「僕と契約して魔法少女になってよ!」などとは言われません。3話でマミることもありませんし、魔女に取り憑かれることもありません。

そう。なんでも無い人が大半なのです。誰しもが知らない女性や男性と入れ替わることも無いですし、「贅沢な名前だねぇ」と言われることが無いのが当たり前なのです。

この事件、恐らくは自分の意思でやったというよりは、他人の意思から発せられた行動であると思います。指示をされたわけではなく、その雰囲気、薫りを感じて行った行為でしょう。

しかしながら、情状酌量は認められたとしても自分の責任であり、自分はその行為をやったということは変わりません。

人間は簡単に染まります。自分の意思で生きていける人というのは数が少ないのです。他人からの意見で変化といえば聞こえが良いのですが、そうではなく劣化していくことが間々あります。自分がそう望んでいようがいまいが他人に左右されます。それが人間です。

私も経験がありますが人間ある程度の不条理には耐えられます。不思議なことですし他人から見れば明らかにおかしいような不合理なことでも、私もあなたも不思議と耐えてしまえるのです。

ブラック企業というのは基本的に人を染め上げます。「これくらいなら経費で落とさず自分で払うよ。」そんな人を何人も見てきました。

なんの意味もないのに。

私やあなたが頑張って身銭を切ったところで見ていないフリをされれば終わりです。会社はあなたのお父さんでもお母さんでもありません。会社にあなたを扶養する義務は無いのです。

もちろんあなたにも会社に従属する必要はありません。

ところが《何者かであろうとすれば》従属するというのは大きな効力を持ちます。

私やあなたが簡単に何者かになりたければ、親になるのが簡単です。〜〜くんのパパや〜〜ちゃんのママになれるからです。

つまりは狭い世界では誰でも、のべつまくなく何者かになれるのです。そして何より簡単なのが社内で何者かになるなのです。

例えば、仕事を抱え込んで家に大量に持って帰り自分の時間を0円で売り渡せば「あいつはすごく仕事ができる!」そう思わせられます。

なぜならばある意味同僚と同じ時間働いて倍のアウトプットを出した。という結果が残るからです。

簡単ですね。しかし問題なのは社外では何者でも無いというところです。自分の時間を0円で売り渡すということは、その時間は無いに等しいことになります。それに家族がいれば同じ時を過ごすこともできなくなります。それで家族として認められるのでしょうか?

何者でも無いというのは精神に支障をきたします。誰もが特別なナニカになれると教育されてきたからです。No.1にならなくてもオンリーワンであると。 

確かに1人1人違う種を持っています。しかし、だからなんなのでしょうか?人よりも大量にウ◯コを出せる能力があるからといってそれはナニカになったとは自認できないでしょう。逸物が立派以外は。

逸物が立派以外は。

もちろん私も同じです。朝井リョウにはなれないし、三島由紀夫にもなれません。何者でも無いのです。

では私やあなたは何者にもなれない、何者でも無いということは許されざる者なのでしょうか?

しかしそう考えてみればおかしな話です。絶対に何者かにならなければならない(あの歌が真実であるとするならば)のであれば一体全体わたしやあなたは"なん"なのでしょうか?

衰退していく業種というものを抽象化してみましょう。  

衰退していく業種というのは同じような状態で終わっていきます。まるで東から西へと太陽が沈むかの如く決まっています。

まず小さい企業から無くなっていきます。そして大きな企業だけが少ない仕事で細々やっていきます。そして需要がなくなり飛ぶ鳥を落とす勢いのあった会社も人を採用できなくなりそこでおわるのです。平家物語の一説のように。

業種、業界というのはピラミッドのような構造をしています。大きい会社が上に存在して小さな会社が多数あることにより大きい会社の良さというものが際立つのです。

陰影のついていない絵が平面に見えるように、影である部分がちゃんと機能していなければ構造というものは成り立ちません。

YouTubeだって有象無象のチャンネルが粗製濫造に現れるからこそ、良いチャンネルが際立つ、より一層輝いて見えるのです。

つまりは沢山の下があるからこその上なのです。この辺りでわかると思いますが、兎にも角にも私がここで1番述べたいことは、あなたも私も《何者でも無い》ですが必要だということです。

誰もが煌びやかなサクセスストーリーに憧れ、別の世界の住人になってみたいと願います。しかし大半の人は私と同じ《何者でも無い》人であります。

しかし何者でも無い人がいるから何者かである人が居るのですよ、と私に慰められたところで特に心は晴れることはないでしょう。当然です。

1番になりたい、ヒーローになりたい。当然の欲求ですし人間はそのようにヒロイックなものに憧れるよう教育されてきていますから。

私やあなたのような何者でも無いと気づいた人には終わりはきません。そこから日常というものが始まります。終わることは無いのです。

「お前は顔に汗を流してパンを得る。土に返るときまで。お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」

聖書

私もあなたも塵です。1ミクロン程度の小さな砂粒です。地球からあなたを(私も)見れば砂粒程度の存在でしかありません。つまり塵なのです。

特別なナニカであると思えば思うほど生きにくくなります。私もそうだったのでそう思うだけかもしれませんが。

斜に構えて「俺はまだ認められて無いだけだ。」なんて思っていても、良いことなんて一つもありません。何者かにならなければという思いは誰かのコントロール下になるだけです。認められるということは従属することになり得るからです。ビッグモーターの社員を見ればわかりやすいでしょう。

塵であるからといって「俺なんてどうせ塵だから」とネガティブに生きろということではありません。俺は、私は特別である。と思いながらも塵であると思うというのが生きやすさに繋がります。

つまり中庸ということです。アリストテレスも徳とはメソテース(中庸)であると述べています。

勇気は蛮勇や臆病の中間的な状態である時はじめて徳として現れる。アリストテレスによれば、この両極端の中間を知る徳性が思慮(フロネシス、実践知)である。 なお、ここで言う中間とは必ずしも2つのもののちょうど真ん中という訳ではなく、どちらかに寄っている場合もある。例えば、例にあげた勇気では臆病よりも少し蛮勇の方に傾いていると考えられるのが一般的である。

Wikipedia

勇んで上司に「あなたは間違っています!」などといきなり言いにいくのは蛮勇であり、何も言えずに従うしか無いというのは臆病です。つまり、「あなたの考えはわかりますが、私の意見は会社に利益があります。あなたと私の意見として部長に言いに行きませんか?」と言えるほどの人間関係を築いて居るのが中庸、つまり知性なのです。

私もあなたも塵です。しかし塵でありながら「私は特別だ!」と思う。どちらかに寄らない。自分を拠り所にするというのが知性であり、《何者でも無い》私やあなたの良い生き方なのです。

塵でありながらまた特別でもある。そう思う中庸(メソテース)が知性なのです。

知性が無ければ人に従属しなければ生きれなくなります。人の評価に左右されます。他人に従属するということは自由ではありません。

所詮は塵なのに従属しても仕方ないですよね。他の人も塵であり、私もあなたも塵です。所詮は塵だし特別です。

デブリ円盤というものを知っていますか?

「こうしたデブリ円盤が存在する天体系を、独立したものとして扱うことはできません。星間物質との相互作用や伴星が及ぼす力といった周辺環境の効果が、長期にわたって系の進化に影響を及ぼす可能性があるからです。全体的に非対称な形をした外側の構造は、中心星の光圧以外に周囲の物質を動かす多くの力が働いていることを示しています。こうした効果は他の系で数例見たことはありますが、HR 4796Aでは、たくさんのことが一気に起こっているようです」(Schneiderさん)。

アストロアーツ

私やあなたのような塵が影響を及ぼすのです。他者に、環境に、自分に。

それでは、また、金曜日に。

あどりでした。

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