見出し画像

課題を解決するというやり方ではなくて、課題がそもそも起こってるシステム自体をちょっと考えてみよう

と、タイトルのような趣旨で作っております。茨城県かすみがうら市の主催で7月24日から開催するSDGs人材育成プログラム「多様な人材と協働する持続可能な地域と事業づくり SDGs実践講座」です。7/4に説明会とQ&A会を行ったのですが、たくさん質問してくれた参加者のTさんとのやり取り、これが結構面白いQ&Aになりました。説明会パート録画(20分程度) もあわせてどうぞ。

ちなみに学生さんはまだ枠が残っています!参加費無料。応募期限は7月18日まで。詳しくはこちら

このプログラムについて

まず、社会課題解決のためのエコシステムデザインがテーマとしてあるんですけど、この記事のタイトルにあるように、課題を解決するというやり方ではなくて、課題がそもそも起こってるシステム自体をちょっと考えてみようという内容です。

具体的には、大学生と市外の社会人が、地域(市内)の事業者さんにヒアリングをしながら、地域の実際の事例を使って学んでいくっていう感じです。もちろん座学の部分もありますが、その上で実際の地域をどういうふうに変えていけるかと、 地域の授業をどういう風にやっていけるかとかっていうところを具体的にみんなで考えていくっていうデザインになってます。さらに、様々な立場の方々が多様な視点で一緒に考える、多様な人材が関わる場で化学反応が起きるようなオープンイノベーションの要素も含んでいます。

廣水乃生(講師)のスタンス

廣水:僕は純粋に持続可能な社会ってどうやって作れるのかなということをずっと考えていて、いずれにしても僕はオタクなんで非常に複雑な難しい問題を全体像をどう整理するかということをこの4-5年ずっとやってるんですよね。そのうえで絶対やらなきゃいけない要点は何かと、これをまあ、皆さんに押し付けたいっていうのではないんですけど、少なくともこの要件を整えないと、何をやったにしても、なんかフックしないなと思って。

その要件を、僕なりにはこう考えました。っていうのをお伝えしたくて。それをやるにしても、社会実装しなきゃいけないんですけど、もうさすがに社会実装ってなると、1人では絶対無理だし、うちの会社だけでも無理なんで、共感してくれる仲間が欲しいというのが目的の一部になってます。それぞれの立場でも、やれることをやって、まあ、お互いにそれを支え合える情報を共有し合ったりとかできるような関係がみんなできてきてほしいなと思ってます。

Q:エコシステムのレベル感は?

参加者Tさん(以下Tさん):このプログラムの趣旨としては社会課題解決のためのエコシステムをつくろうというところに関してはすごく僕も共感するところがあって、間伐材を例にとってみても、余った間伐材を使う商品作って、はい終わりだと、一発やって終わってしまう、継続性がないっていうのは、僕自身も結構いろんなところで見てるんですね。そこにエコシステムを作って、それが永続的に回るような、そういう仕掛けづくりまで目指しましょうというところはすごく共感します。で、共感する一方で、エコシステムってやっぱりレベル感があって、エコシステムでも例えば製品レベルのエコシステムというのもあれば、企業文化のエコシステムがあったりとか、もうちょっと高いレベルに行けば地域の文化とかっていうエコシステムもあったりとかして、このプログラムをどのあたりを目指しているものなんでしょうかね?

廣水:まあ、そこで言うとこのプログラム自体は、参加者の関心が大事かなと思ってるんで、その方が、こういう規模感のものを扱いたいとか、それがまず大事にしてほしい、というのがまずあります。ただ、何もない状態で好きにやってって言われても困っちゃうと思うので、一応大きくふたつお題を置いといて。

一つは、具体的な地域で事業されてる方、例えば水産業とか観光業とか農業とか、まあなんでもいいんですけど、そういう事業を2-3、具体的に提示して、それぞれについてどういう風にエコシステムデザインができるかというのを考えて頂く、というのをお題の一つとして置いてあります。

それからもう一つは、ここはもっと抽象的になっちゃうんですけど、地域全体の課題。このプログラムをつくるにあたって、ヒアリングさせて頂いた内容、そこから見えてきたこんな状況があるよみたいな情報だけ共有する感じになるんですけど。例えばなんですけど、人工林を持ってる地主さんがいる、高齢化が進んで林の手入れができない、でも今売っても二束三文、困ったねってなってます。で、それを不動産屋さんが少しでもお金にしてやろうということで太陽光発電の会社に売却するというのをやってくれてる、そうすると高齢で、先のお金とかも心配だっていうところにまとまったお金が入るし、林の手入れをもうしなくても済むねみたいなメリットがある。それが今度、同じ地域で農業やってる方が、そうやって林に住んでたイノシシが住む場所がなくなって、作ってるサツマイモが一晩で1ヘクタール食べられちゃうんだ、みたいなことが起こってて。これ、経済的にこの林を持ってる方はお金にはなったけど、一方で、売上つくろうと思ってたサツマイモはあっという間に食い荒らされてしまう、みたいな。まあこれは実際の市内の状況として、ヒアリングしてる中で聞えてきた一つの例なんですけど、こういったことが起きてるよと共有した上で、どういうことを僕らは考える必要があるのかっていうのがもう1つのお題ですね。

とはいえ、1つの事業だけで解決できないことをエコシステムで、というのが事業のほうから始まって行っても起こり得るし、地域の方から眺めて行ってもそういうふうな発想が必要になるっていうのも今回学んでもらいたいところ。

Tさん:すごくすごく共感します

廣水:まあすごく難しいんですよね、実際には、時間もかかるし。でもまず考え方身につけるには具体的なものを考える方がいい。

Tさん:そうですよね、学生さんが大人になってね、じゃあ地域でエコシステムつくってみようなんてなったときにね、いきなりぶっつけ本番やっても絶対うまくいかないからね。

廣水:何からどう考えて行ったらいいかっていうのはなかなか大変かなと思います。まあ僕もまだ稚拙なところはあるとは思うんですけども、そういうところを共有しながら一緒に考える。これだっていう答えがあって、それを引き寄せればいいんだっていうものではないんですよね。だからまあどっちかっていうと考え方とかモノの見方とか、あと、地域の方々の声をどうやって引き出すのかとか、そこが大事なスキルになるかなと。

Tさん:すごくすごく共感します。いずれにせよ、ある程度失敗が許される環境で1回ね、まあ失敗か成功かはその人の定義次第ですけど、1回安全なところで経験した上で自分の現場でやるっていうのはすごく大事だと僕は思ってるので。

廣水:なんかすごく地域の事業者さんにもご協力いただくんですけど、その方々もガチでなんとか解決してくれなきゃ困るみたいな感じじゃなくて。いったん、僕らもここまでは頑張ってるけど頑張ってるけど難しいところはあるよねみたいなスタンスで話題提供者として協力頂けてる方々なので、すごくいい環境かなと思います。

Q:さらに深掘りしたいとき、どう進めるのか?

Tさん:今みたいに課題を抱えている当事者にヒアリングしていくっていうときに、課題を抱えている当事者が持ってる問題と、エコシステムをつくるにしてもそこに巻き込まなきゃいけない人たちって出てくるはずなんですよね 今言ったように地場の企業様とかっていう人たちとやっぱりちょっと協業したりとか、あとはそういうところに話を聴きにいかないとエコシステム全体としては全体像が見えなかったりとか提案には結びつかないっていう話になっちゃうと思うんですけど、例えばその地場の何か関連する企業様に対してADSさんのほうでそういったさらに深いヒアリングをしにいく企業様のご紹介とか提案みたいなものっていうのは期待していいものなんでしょうか。

廣水:そうですね、そこはすごく難しくて。まずは今回の枠組みに来て下さる企業さんというのがいま準備できてるところ。そこから発想してこういう企業さんがあるのかないのかというのを必要に応じて調べて頂いて、直接アポイント取るのか、僕らと一緒にアポイント取るのかっていうところはちょっと相談して頂いて。これ、プログラムをこなすことが目的じゃないんですよね。今回参加して下さる方々がもし熱意があって、実際にかすみがうら市に具体的な地域実装できるアイデアをやってみたいって意欲がもし十分あれば、一緒に僕らと動いて、具体的に何か作れたらいいなとも思ってるんですね。ただプログラムの範囲としてそこまでやってくださいねというものではないんですよ。あくまでも、案を考えてみましょう、こういう風な学習機会にしてくださいね、までなので、出てくるアウトプットについてはそれぞれの皆さんの満足いくところでいいかなと思っています。ただ、とことんやりたいよって感じだったら、僕はそもそもこういうことをやってる人間なんで、じゃあ一緒に行ってみようか、連絡とってみようかっていうつもりはあるんで。ただそれが、うん、いいよってなってくれるかどうかはわからない。これはもういつものことです。でもそれくらいやるぞって方がいたらむちゃくちゃ面白いですよね。

デンマークのKaos Pilot

Tさん:ちょっと個人的な話になりますけどデンマークのKaos Pilot(ケイヨスパイロット)って団体があって、そこの人たちも同じように自分たちで地域の課題見つけて、で、プロジェクトベースで自分たちでどんどんやっていくっていう。まあ大学なんですけどね、校舎のない大学。ちょっとコロナでそういう人たちがいま世界中に飛べなくて、僕と一緒にやろうとしてたことも止まっちゃってるんですけど、そこのやり方とかなり似てるなと思いました。まあそちらのほうはかなりガチですね。起業まで意識してるような人たちが集まってやってるので、それをまあ2年間でいろんな国に散ってやるっていう、そういうレベルのやつですけど。

廣水:すごいですね!面白そう。

Tさん:はい、デンマークのKaos Pilot、結構有名なので、ネットで記事とか載ってます。

廣水:ケイヨスってカオスだよね。俺たちもカオスで社会実験な会社ってフレーズにしてるけど、もうケイヨスパイロットって名前にしよっか(笑)

Tさん:そうなんですよ、僕すごいいいネーミングだなと思ったんですよ。イノベーションて絶対カオスから始まるわけですからね。カオス通らずにイノベーションなんて起こるわけがない。

廣水:めっちゃいいっすね!

その他Q&A

Q:自家用車で来る場合、駐車場の台数制限はあるか?
A:現地もある程度の台数は停められます。多い場合は、近隣の駐車場に集まってみんなで移動という方法になると思います。交通手段は事前に確認させていただきます。

Q:家族も連れて行きたい、大学3年の娘が興味がある。
A:ぜひ家族で参加してください!

Q:Peatixでチケットだけお願いすれば別途連絡が来る?
A:当日までの段取りとか、交通手段とかも聴かせて頂かないといけないので、追ってご連絡差し上げる予定です。メインの連絡手段はFacebookのメッセンジャーグループを作る予定ですが、IDをお持ちでない方はメールで個別にご連絡します。

Q:全日程の参加が条件?参加できない日もありそう。
A:基本的には全日程の参加が条件になりますが、日程によっては部分参加も可能ですので、個別の相談とさせてください。

以上がQ&A会でのやり取りでした。参考になるのかならないのか(笑)カオスで社会実験な会社のカオスな代表が真面目につくるプログラム。実施の様子もまたレポートしていきたいと思っています!

この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?