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【ホームスクールをはじめるまで】 学校に行かなくても勉強は大丈夫なのか

ホームスクーリングを検討していらっしゃる皆さま、今日の記事もホームスクーラー共同運営マガジンに投稿する前提で書きます。

この共同運営マガジンの目的の1つに、ホームスクールを検討しているお母さんやお父さんがよく抱いてしまう疑問に答えることがあります。そしてその疑問の1つが、「学校に行かなくても勉強は大丈夫なのか」と言うことです。

結論から言えば大丈夫です。

もっと言ってしまえば、統計的にホームスクーリングの方が学校よりもテストの成績が良いこともいくつもの研究で確認されています。

例えば以下の記事では、カナダでの例が紹介されています。
「学術誌Canadian Journal of Behavioral Scienceに寄稿された論文によると、カナダの学校に通う子供とホームスクーリングの子供のテストの点数を比較したところ、ホームスクーリングの子供の方が点数が高いという結果になった。」
https://amp.review/2019/05/22/homeschooling/

また、以下の論文では、Bryan D. Ray博士がアメリカの公立学校とホームスクーリングを比較しています。

Private Homeschool Education : Research and Philosophy Show Government Control Not Needed
https://www.hawaiifamilyforum.org/wp-content/uploads/2018/02/State-control-regulation-of-homeschooling-fact-sheet.pdf

この論文からいくつか興味深いところを引用してみましょう。

「Homeschool K-12 students typically score 15 to 30 percentile points above public-school students on standardized academic achievement tests.」
私訳: 幼稚園から高校生までのホームスクーリングの生徒は、客観テストで公立の学校の生徒よりも平均して15%から30%ほど成績が良い。

「Black homeschool students scored 23 to 42 percentile points above Black public school students and as well or better than white public school students in a 2015 study.」
私訳:2015年の研究では黒人のホームスクーリングの生徒は黒人の公立学校の生徒よりも23%から42%成績が高く、白人の公立学校の生徒よりも高かった。

個人的な想像ですが、黒人が特にホームスクーリングに適した特徴を持っているというよりも、逆に学校で受けてしまうダメージが他の人種よりも黒人の方が多いために、ホームスクーリングにするとそのダメージを避けることができるというメリットがより多く観察されるのかもしれません。

さて、 ホームスクーリングに関するよくある誤解の一つに、「家庭教師を雇うことができるほど収入が高い家庭か、そうでなければ親の学歴が高い家庭にしかホームスクーリングはできるはずがない」というものがあります。しかし実際にはそうでもないようです。

「Homeschool students score above average on achievement tests regardless of their parents’ level of formal education or their family’s household income.」
私訳:ホームスクーリングの生徒は、親の学歴や収入にかかわらず平均よりも達成度テストで成績がよい。

もちろんホームスクーリングの生徒の中で比較すれば親の学歴や収入によって違いはあるかもしれませんが、少なくとも学校に通わせるよりは、親の学歴や収入が低くてもホームスクーリングの方がいいということになります。

また、引きこもりとホームスクーリングの区別ができない人たちの中には、「学校に行かないと社会性が育たない」という誤解をしている人がとても多いです。しかしこれが間違いであることもいくつかの研究結果で指摘されています。ここで引用している Bryan D. Ray 博士の文章の中にも以下の部分があります。

「The home-educated are doing well, typically above average, on measures of social, emotional, and psychological development.」
私訳:社会性や情操性それに心理学的な発達においても、ホームスクーリングの子供達は平均を上回っている。

「Homeschool students are regularly engaged in social and educational activities outside their homes and with people other than their nuclear-family members. 」
私訳:ホームスクーリングの子供達は家の外で家族以外との社会的で教育的な活動に定期的に関わっている。

そしてこれらの結論の根拠として、Ray博士は以下のような論文を例として挙げています。

(a) Maranto, Robert, & Bell, Debra A. (Eds.) (2017). Homeschooling in the 21st
Century: Research and prospects, 1st Edition. London and New York, NY: Routledge, Taylor & Francis Group;
(b) Murphy, Joseph. (2012). Homeschooling in America: Capturing and assessing the movement. Thousand Oaks, CA: Corwin, a Sage Company;
(c) Ray, Brian D. (2017). A systematic review of the empirical research on selected aspects of homeschooling as a school choice.
Journal of School Choice, 11(4), 604-621. Retrieved January 26, 2018 from
https://doi.org/10.1080/15582159.2017.1395638 (peer-reviewed journal)
3 U.S. Department of Health and Human Services. (2012). Child maltreatment 20

もちろん、学校が大好きで充実した日々を送ることができているのなら、敢えて学校に通うという非効率な方法を続けるという選択もありかもしれません。しかし、統計的には、それはホームスクールより不利な選択であるということは留意しておかなければならないでしょう。

くりかえしますが、保護者の「学校に行かなくても勉強は大丈夫なのか」という疑問に関しては、「大丈夫であるどころか、むしろ学校に行くよりも有利である」という回答が、現状では妥当だと思っています。

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