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すべての行き止まりに宝箱を置こう! しかし……

主にRPGのレベル(マップ)デザインの話です。

タイトル通り、「すべての行き止まりに宝箱を置こう」(無意味な行き止まりをつくらない)という提案ですが……
そういいつつ、私自身が自作品で徹底できているとはいえません。
理由はシンプルに「置くものがない」からです。

・そもそも行き止まりに「宝箱」は必要なの?

はじめに断っておきますが、ここでいう「宝箱」は「報酬」の比喩です。
よって、必ずしも文字通りの「宝箱」である必要はありません。

さて、まず前提としてすべての行き止まりに「宝箱」は必要なのでしょうか。
現実にはすべての行き止まりに「宝箱」などありません。
なんの意味もなく通行止めになっているものです。

ただしこれはゲームの話です
「宝箱」はあるに越したことはないでしょう。
行き止まりになにもなければプレイヤーはストレスを覚えるはずです。
プレイヤーはなにかあると期待して探索しているのです。
探索欲も削がれてくるに違いありません。

とはいえ……現実的に考えてすべての行き止まりに「宝箱」を設置するのは難しいです。あくまでそれは理想といえるでしょう。
実際には8~9割くらいできていればよいかな、くらいかもしれません。

・なにを置こう?

さて、本題です。
行き止まりに「宝箱」を置いた方がよいのはいいとして、なにを置くかです。

・消費アイテム(回復薬など)
まず思いつくのがこのあたりでしょう。基本的にはあって困るものではないはずです。
ですが、ゲームによっては回復薬は手に入りすぎるとバランスが崩れてしまったり、逆に回復薬がありあまっているようなゲームでは嬉しさはほとんどありません。

・武器などの装備アイテム
やはりこれでしょう。武器が手に入って嬉しくないプレイヤーはいません。
ゲーム序盤、なにも持っていないので「とりあえずなんでもいいから装備欄を埋める」というのは気持ちがいいものです。
ですが、せっかく手に入った武器がすでに持っているものだったら?
ついさっき街で買ったはずの武器が宝箱に入っていたら?
いうほど強くない武器だったら?
逆に強すぎて(手に入らないと詰む)バランスを崩してしまったら?
なかなか考えることが多いですね。

・仲間キャラ
「宝箱」は「報酬」の比喩です。というわけで、「宝箱」には「仲間キャラ」も含まれます。
さて、これまでも何度か繰り返してきましたが、「仲間キャラ」はRPGの「報酬」としては最上ともいえるものです。
ただし、それゆえに安易に数を増やせるものでもありません。
仲間を一人増やすためにはグラフィックがあり、スキルがあり、パラメータの調整が必要だったり、とにかく大変です。
さらにいえば、ふつうのRPGだと一度に戦闘に参加できるのは4人くらいになるでしょうか。
つまりそんなに多くの仲間がいても使いこなせない場合があります。
仲間を多く増やすならその問題を解決する策も考えなければなりません。

・スキルや魔法
ゲームによりますが、いずれにせよ「新しいスキルや魔法を覚える瞬間」というのもプレイヤーにとっては嬉しい体験のはずです。
レベルアップで覚える形式でもよいですが、たとえばこれを「スキルブック」「魔術書」というような形でアイテムとする形もあります。
これもかなり報酬としては嬉しい部類になるでしょう。

・経験値
経験値が手に入るアイテムでもよいですが、そのアクションによって経験値が手に入った、という形でもよいと思います。
基本的に「いくら手に入っても困らない」「いくらでも欲しい」ものなので扱いやすい報酬です。
ただ、いうまでもなくゲームバランスに関わる「危険物」にはなります。

・素材アイテム
これは「アイテム合成」システムが存在する場合にかぎります。
素材アイテムは「報酬」を細分化したものであるため、いくらでも行き止まりに設置できる便利な代物です。
ただし、それゆえにプレイヤーからすれば「がっかり」ものです。
「また○○かよ」となりかねません。
自作品である『魔機人形』では「採掘ポイント」として鉱脈を設置し、複数回掘ることで「鉄鉱」などの素材アイテムが手に入るようにしました。
ギャンブル性も加わるのでそこそこ楽しいものになるはずです。

・レシピ
これも「アイテム合成」システムが存在する場合のものです。
要は、「新しいアイテムが合成できるようになる」というものです。
今後の戦略に変化をもたらす可能性があり、報酬としてはかなり上位のものです。
しかしそれゆえにゲームバランスに関わる「危険物」でもあります。

・お金
「アイテム合成」がなく、「お店」があるゲームならこれもまた手軽に設置できる「宝箱」です。
しかし、作者にとって手軽に設置できる報酬は、プレイヤーにとって大して嬉しいものではないものになりがちです。

・テキストやストーリー
これも何度か繰り返していますが、「テキスト」や「ストーリー」を報酬として設定すると非常に便利です。
なぜなら、いくら設置したところでゲームバランスになんら影響を及ぼさないからです。
さらに、プレイヤーにとってはそこそこ嬉しい報酬にもなります。
(テキストの魅力やプレイヤーの趣向にもよりますが)

具体的にはこんな感じです。
この例ではチュートリアルも兼ねた内容になっています。
あるいは、なにかヒントのようなものを混ぜておくのもよいでしょう。
(そうなるとゲームバランスに関わってくるものにはなりますが)
また、単なるテキストだけでなく「キャラクター同士が会話するようなイベント」「回想シーンの再生」というような形もよいでしょう。
労力はかかりますが、リスクはありません。

・収集アイテム
特に意味はないけれど、コレクション欲を煽るようなアイテムです。
たとえば『スーパーマリオワールド』では「ドラゴンコイン」などが該当します。
別にわざわざ手に入れなくてもクリアはできますが、チャレンジとして手に入れたくなるようなアイテムです。
あるいは、「小さなメダル」のように多く集めるとより強力なアイテムと交換できる、というようなシステムを導入するのもよいでしょう。

・鍵アイテム、スイッチやレバーなどの仕掛け
これも作者にとっては気が楽な設置物です。
鍵を手に入れることで開ける扉が増える、スイッチやレバーを使うことでどこか別の道が開ける、といった仕組みです。つまりは「先へ進める」という報酬です。
ただ、プレイヤーからすれば「マイナス」が「ゼロ」になるくらいの感覚なので、あまり理不尽なものだと嫌がられるだろうとは思います。
そこはそのダンジョンのフレーバーとあわせて説得力を持たせるなどのデザインが必要かもしれません。
(「危険な魔物を扱う研究所なので緊急の隔壁が降りている」など)

・景色、ヒントが見える(追記)
たとえば手の届かない向こう側に宝箱や怪しげなオブジェクトが見えたり、意味深な通路が見えたり……「どうやってあそこまで行くんだろう?」とプレイヤーに思わせる「ヒント」を見せる手法。

・ボス敵(追記)
行き止まりにボスがいるというのもよくあるやつですよね。
ここでイメージするのは道を塞ぐ「障害」としてのボスというより、倒しても倒さなくてもいいような「チャレンジ」としてのボスです。「コンテンツとしての報酬」でもありますね。
もちろん、倒した結果なんらかのアイテムが欲しいところですが、ボスそのものもある意味「報酬」にはなるかと思います。
また、「ここがダンジョンのゴールである」という指標にもなります。

・空きビン(ガラスのカケラ)
「なにそれ?」と思うかもしれません。
これは魔王物語物語というゲームに登場するアイテムです。
名前だけだと意味のなさそうなアイテムですが、本作では重要なアイテムです。

本作にはよくあるRPGよろしくいわゆる「回復の泉」があります。
さて、よくRPGをプレイされる方にはこう考えた方もいるのではないでしょうか。
「この回復の泉から水を汲んで持ち歩けばいいんじゃね?」
本作ではそれができます。
ただし、水を汲んでおくには当然空の容器が必要です。
それが「空きビン」になるわけです。
そして、「空きビン」の数に応じて回復薬を複数持てるという仕組みになっています。
つまり「あればあるだけ便利」というアイテムなのです。

さらにいうと、本作ではこれをさらに細分化して「ガラスのカケラ」を三つ集めると「空きビン」になるという「素材アイテム」の方式も取り入れています。
回復薬を100個も持ち歩けるようになってしまったらだんだん「空きビン」の価値は下がってきますからね。

とはいえ、かなりの数を欲しがらせ続けることができるアイテムです。
要は、「あればあるだけ便利」「可能なかぎりいっぱい欲しい」と思えるようなアイテムの仕組みを用意しておくとなにかと都合がよいということです。

・まとめ

【嬉しい】
・仲間キャラ
・レシピ(要合成システム)
・スキルや魔法
・装備アイテム
・テキストやストーリー
・ボス敵
・鍵アイテム、スイッチやレバー
・ヒントが見える
・空きビン(のような便利アイテム)
・収集アイテム(報酬との交換システムの有無などにもよる)
・消費アイテム(レアリティにもよる)
・素材アイテム(レアリティにもよる)
・経験値(量やゲームバランスによる)
・お金(額やゲームバランスにもよる)
【ガッカリ】

こんなところでしょうか。
正直まだ取りこぼしはありそうですね!
順位についても便宜的に並べただけなのでゲームによっては入れ替わると思います(特に下位)。
傾向としては「今後の戦略を恒久的に変えてしまう」ものほど報酬としては上位のものになるかな、と思います。

なにかあれば追加していくかもしれません。

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