饗庭淵

優しさだけを信じるよ

饗庭淵

優しさだけを信じるよ

マガジン

  • ゲーム制作論まとめ

    饗庭淵の執筆した、ゲーム制作に関すること、ゲームデザインやレベルデザインについての記事をまとめています。 主に「RPGツクール」での個人制作者向けの内容です。

最近の記事

『対怪異アンドロイド開発研究室』を書くにあたり影響を受けたかも・参考にしたかもしれない作品リスト

https://amzn.asia/d/hNxRPsW 私の作品『対怪異アンドロイド開発研究室』が書籍化し、12月22日に発売いたしました! さて。 なにか企画アイデアが浮かんだら、次はそのアイデアをどう発展させるかを練っていく必要があります。 そのため、私はさまざまな先行研究を漁ります。 本作の根幹となるアイデアは、「ホラーって主人公が怖がってるから怖いんじゃない?」「怖がらないキャラを主人公にしたらどうなる?」という思考実験にはじまり、 「だったらアンドロイドを主人

    • 自分の絵でLoRAをつくってみた

      Stable Diffusion、楽しいですよね。 なんかもう技術の進歩が早すぎて油断すると一瞬で取り残されてしまいがちです。この記事も書きながら「すぐに古くなってしまいそうだな……」と思ってます。 LoRAを使って自分の画風を学習させるまで今回は追加学習の手法であるLoRAを試してみた内容を紹介します。 LoRAとは……いえ、なにも詳しくないので下手に説明すると嘘を書いてしまいそうですが、ざっくりいうと……。 Stable DiffusionのモデルデータはだいたいG

      • アテギア9章がめちゃくちゃ面白かった話

        みなさん『アーテリーギア-機動戦姫-』知ってますか? 知らないかもしれませんね。 今回はそのメインシナリオの9章がめちゃくちゃ面白かった話をしたいと思いますが、まず長めの前置きからはじめましょう。 以下、若干ネタバレを含みますので、そのへんが気になる方は「9章が面白いらしい」という情報だけ受け取ってはじめてみてね。 プレイのきっかけ本作は2021年11月18日より配信のはじまったスマホゲーで、私はその初週くらいからプレイを始めました。 理由としては、「荒廃した未来でいろい

        • 『殺戮学園の卒業式』反省会

          殺戮学園の卒業式 完結しましたので例によってクソ長あとがきです。 需要は……なくはないと思うけど、まあ書きたいから書くくらいの精神で。 当然ながらネタバレ上等ですので、気になる方は本編を読了のち以下を読み進めてください。 ・プロトタイプ本作はもともと10年くらい前になんか漫画で描こうとしていた代物です。 当時はタイトルも『素敵な殺し合いをしよう』(略してステコロ)とかよくわかんない感じです。 要はタイトルもあやふやだったくらいで埋もれていました。 少し長いですが当時のネー

        『対怪異アンドロイド開発研究室』を書くにあたり影響を受けたかも・参考にしたかもしれない作品リスト

        マガジン

        • ゲーム制作論まとめ
          25本

        記事

          『殺戮学園の卒業式』登場人物紹介など

          カクヨムで連載中の本編はこちら 小説を読んでると誰が誰だかわからなくなることってありますよね。 そんなわけで、本作を読むうえでの資料をここにまとめておきます。 未読または読んでる途中だとどうしてもネタバレになってしまうかもしれませんが、できるだけネタバレを避ける簡素な記述に留めます。 cm表記なのは身長です。念のため。 ・学園地図 縮尺などは必ずしも正確ではないかもしれませんが、おおまかにはこんなイメージです。 学園は広大な森に覆われ、中央広場から半径2km内であれば森

          『殺戮学園の卒業式』登場人物紹介など

          ロリババア考古学を書いてみて

          『ロリババアに考古学はいらない』という小説を書きました。「当時を生きていたロリババアが考古学者にちょっかいかけてみた」という内容で、文字数は5万字ほど。短編か中編といったくらいの分量です。 (以下、当然のように本作のネタバレが語られます) 本作は『SAVE THE CATの法則』をはじめとする各種シナリオ教本をガッツリ参考に書いてみよう! という実験で書かれたものだったりします。 このへんの本はこれまでいろいろ読みつつも「ふーん」と思うだけであまり意識して参考にはしてきませ

          ロリババア考古学を書いてみて

          探索RPG『Fanastasis』――死と狂気に蝕まれ荒廃した王国を巡り、記憶と心を取り戻せ

          https://www.freem.ne.jp/win/game/21044 ※2023/10/08追記 製品版が発売されました! 長らくβ版として公開されていた『Fanastasis』ですが、ついに2020年11月10日ver1.00として正式版が公開されました。 どういうゲームなのか? フリーゲームに詳しい人には「ネフェイスト系」で伝わるでしょう。 荒廃した世界。断片的に残された手記や思念。隠された通路や部屋。繋がっていく快感。 それらの要素の完成度が極限まで高めら

          探索RPG『Fanastasis』――死と狂気に蝕まれ荒廃した王国を巡り、記憶と心を取り戻せ

          【ツクールMV・MZ】console.log()でGame_Interpreterを覗いてみよう

          RPGツクールは「プログラミング知識不要」でゲームがつくれる、とされており、実際それは事実ですが、プログラミング知識があるに越したことはありません。 「コードを書かなければできないこと」はそんなにはなさそうですが、「コードを書ければできること」は格段に増えます。 では、なにから覚えればいいのか? どこから手をつけるのか? RPGツクールでプログラミングをいじる作業は、まずもとになってるコードを「読む」作業が必要になります。 オススメがGame_Interpreterです。

          【ツクールMV・MZ】console.log()でGame_Interpreterを覗いてみよう

          「最強主人公」レギュレーション

          「最強主人公」系の作品―― 漫画でいえば『ワンパンマン』『ヘルシング』『魔人探偵脳噛ネウロ』『EAT-MAN』『ゴルゴ13』あたりを勝手にそう呼んでいます。 あまり詳しくはないですが、「なろう」系作品も多くが該当するのではないでしょうか。 私はこういった作品を、特定のレギュレーションで「いかに話を転がすか」という競技性を楽しんで読んでいるところがあります。 つまり、「最強主人公」であると話の展開に制約がかかるからです。 たとえば、「主人公は苦戦しない」。 ふつうであれば、強

          「最強主人公」レギュレーション

          【ツクールMV・MZ】段差越しに開けない宝箱をつくろう

          ツクールあるある。 段差があるのに開いてしまう宝箱! さて、これを防ぐにはどうすればいいのでしょう? 単に、イベントとプレイヤーの間が通行不能であることを判定すればOKです。 具体的に見ていきましょう。 まず、プレイヤーの位置とイベントの位置で通行可能かどうかを判定する関数を書きます。 Game_Event.prototype.checkCanTouch = function(target) { const d = this.directionTowardChara

          【ツクールMV・MZ】段差越しに開けない宝箱をつくろう

          【ツクールMV・MZ】ゲームオブジェクトを追加してみよう

          ゲームオブジェクトとは? MVならrpg_objects.js、MZならrmmz_objects.jsに入ってるクラス群のことです。 たとえばGame_Actorなら文字通りアクターに関する処理などがまとめられていますし、Game_Mapならマップ関連です。 さて、今回はこのゲームオブジェクトを新たに追加してみようという話です。 なぜ追加するのか? 私自身はこれまでではよくGame_Talkというゲームオブジェクトを追加し、利用してきました。 これはキャラクターとの会話・

          【ツクールMV・MZ】ゲームオブジェクトを追加してみよう

          【ツクールMV・MZ】「飛行」する敵シンボルイベントを実装しよう

          シンボルエンカウントのRPGにおいて、たとえばこうもりや鳥みたいな敵はプレイヤーには通過できない段差や穴などの障害物を通り抜けて近づいてくるとそれっぽいですよね。 ただ、そういったイベントを実装しようとすると……意外とややこしかったりします。 今回はそういったシンボルイベントを実装する方法です。 Game_CharacterBase.prototype.isMapPassable = function(x, y, d) { var x2 = $gameMap.roun

          【ツクールMV・MZ】「飛行」する敵シンボルイベントを実装しよう

          【ツクールMV・MZ】JSONを追加してみよう

          RPGツクールMVならびにMZにおける中・上級者向けのノウハウ記事です。 RPGツクールMV・MZは、エディタとしてはいわばJSON出力装置のGUIといって過言ではありません。 あとは基幹となるコアスクリプトと画像や音の素材がついてくるので気軽につくり始められる、そんな感じです。 いきなりなんのこっちゃ、と思われるかもしれません。 たとえばアクターのデータベース。敵キャラでもアイテムでもそうです。 さらにいえばマップ。イベントリスト。そのへんはMV以降ではぜんぶJSONの

          【ツクールMV・MZ】JSONを追加してみよう

          ツクールMZを買った勢いでゲームつくったよ

          RPGツクールMZ~? すげえ、たしかにすげえよ。 MVでの……というよりこれまでのツクールシリーズでの痒い所に手が届くよくできた改良版だと思うよ。 でもよぉ~、買ったからってすぐにつくるわけでもねぇし……買うのはまだあとでいいんじゃねえかなぁ…… 買うか(発売日前日) ↓ つくるか(購入後) ということになりました。 思えばツクールMV買ったときも同じように勢いで『幽獄』つくってました。 企画も制作もMZを買った直後からとなります。 steam版なので厳密には8月2

          ツクールMZを買った勢いでゲームつくったよ

          『魔機人形と棄てられた世界』制作録②

          一つのnoteでまとめると長くなりそうなので続きです。 せっかくなので今回は……ネタバレも交えて書きましょう。 そんなわけでネタバレ注意です。 クリアしてから読むことをオススメします(というかプレイしてないと意味の分からないだろう文章です)。 ・世界滅亡のススメ さて、一体いつごろからでしょうか。 世界を滅ぼすことを考え始めたのは……。 前回も書いたように、各ダンジョンに「人形」が眠っていて、それを再起動することで仲間に加える、という着想は早い段階からあった気がします。

          『魔機人形と棄てられた世界』制作録②

          すべての行き止まりに宝箱を置こう! しかし……

          主にRPGのレベル(マップ)デザインの話です。 タイトル通り、「すべての行き止まりに宝箱を置こう」(無意味な行き止まりをつくらない)という提案ですが…… そういいつつ、私自身が自作品で徹底できているとはいえません。 理由はシンプルに「置くものがない」からです。 ・そもそも行き止まりに「宝箱」は必要なの?はじめに断っておきますが、ここでいう「宝箱」は「報酬」の比喩です。 よって、必ずしも文字通りの「宝箱」である必要はありません。 さて、まず前提としてすべての行き止まりに「

          すべての行き止まりに宝箱を置こう! しかし……