【学会誌】ダイヤモンド膜の合成と機械的特性評価方法

こんにちは。
『表面技術』2023年2月号を読み始めました。
この号では2022年度受賞記念特集ということで、学会で受賞された方の研究概要が紹介されています。
読んだ記事について内容とポイントだと思ったことをメモしておきたいと思います。

今回読んだ記事のタイトルは「ドライプロセスによる炭素系硬質膜の合成並びに機械的諸特性の解明」で、著者は日本工業大学の竹内さんです。

内容

著者はダイヤモンドの合成を研究されている方のようで、この記事の中では、チャンバーフレーム法による合成方法や成膜されたダイヤモンド膜の機械的性質の評価方法に関して説明されています。

ポイント

  • チャンバーフレーム法を開発し、CVDなどの従来合成法に比べて高純度・低欠陥のダイヤモンドを高成膜レートで合成できる技術を実現した

  • 工具のコーティングにダイヤモンドを用いる際に要求される特性(基材との熱膨張差、密着力、耐摩耗性、疲労特性)の評価方法・装置を開発した

    • ダイヤモンドの硬さが起因して従来手法では評価が難しい

  • 開発した評価方法を用いて、ダイヤモンドコーティングした超硬合金の評価を行い有効性を示した。

膜の破断を音で評価する

記事の中で面白いと思ったのは押し込み試験機の開発についてです。
従来のロックウェル高度計などは錘式なので、膜が剥離する下限荷重を求めようとすると複数回の操作が必要になります。
破壊強度より強い力で押し込むので、ギリギリを狙うためには測定結果を見ながら錘を調整しないといけなかったんですね。

そうするとその分サンプル数が必要になりますし、サンプルの特性自体が安定していないと正確な評価が難しくなってきます。

そこで著者は、剥離(破壊)するときの破壊音をとらえることで1度の操作で評価できる装置を開発したようです。

記事に載っているデータを見ると、破壊音を検出するAEセンサーの出力が大きく変化しており、膜が変化したことがハッキリわかります。

これはダイヤモンドのような靭性が無くて硬い材料では有効な手法だと思いました。

自作の評価方法は他文献と比較が難しいというデメリットもありますが、メカニズムを理解する上ではとても重要だと思います。

もし、本質を捉えることが出来ていれば、評価方法自体が広がって標準化のようなことも起こるかもしれないですね。

今日は以上です。

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