中学の時に読んでから年に1回は読み返している山田詠美「僕は勉強ができない」。今秋も一度読み返し、いい機会だったのでなぜ好きなのかを一度文章にして振り返ります。
自分に刺さったこの本のテーマは「モテる(人間の魅力)」を一つのフックにして
自分で考える
他者を尊重する
「正解」の生き方に逃げない
について強いメッセージがあるところで、自分が大切にしている考え方や行動習慣と共通するところが、毎年読み返すほど刺さっている要因かなと考えています
本の概要(新潮社より)
「でも、おまえ、女にもてないだろ」
私の大好きなシーンの一つが、勉強のできるクラスメートが勉強のできない主人公に嫌味を言って来たところを反撃するシーン。
それは
○勉強ができる
≒高校生でやりたいと思っている人はいないけれど、大人が評価してくれる勉強
≒自分はやりたくないけれど、他者が評価してくれる能力
≒他人の価値尺度に依存
○女にもてる
≒高校生の最大の関心事だけど、大人の評価は高くない恋愛
≒自分はやりたいけれど、他者からの評価が高くない能力
≒自分の価値尺度に正直
の対比と後者に華を持たせる演出に救われた気持ちになるから。
この自分の価値尺度と他者の価値尺度について、重なる場面もあれば衝突する場面もあって、特に後者の場面にて自分の価値尺度を優先できる意思決定や人間性にかっこよさや美しさを感じます。
先日会社を辞めました。
新卒で選べる選択肢の中ではスーパーエリートな分類で、社格・給料・やりがいの観点で申し分のない職場だったと思います。同僚・上司・親からは当然「なんで?」の声が上がりました。
これは自分の人生の中で自分の価値尺度と他者の価値尺度が衝突した出来事の最たるものでした。また「でも、お前、ラウンジ嬢にモテないだろ?」の自問自答の結果でした。
良くも悪くも自分の周りには起業で一発当てたやつや親ガチャ大当てしたやつが多く、飲み会やSNSで交流する度に強い劣等感を抱かされていました。そのようなある種特殊でマイノリティな環境に身を置く中で、自分で事業をする・大金を稼ぐキャリアに対して強い憧れを持つようになり、それが自分にとってのあるべき姿や目指すべき姿に変わっていきました。そのような馬力の求められる生き方が素敵だと思うようになっていました。
サラリーマンがラウンジ嬢を口説くことはできません。口説けるのは事業家など自分の腕っぷしで勝負している生命力あふれる人だけなのでは?と限られた経験と知識から考えたゆえの結論でした。人としての魅力の測り方は種々あれど、自分が強く惹かれる魅力は「ラウンジ嬢にモテるか」で測れるものでした。たぶんそれは経済的成功と異性に対する魅力と馬力に基づく面白さがポイントのように思います。
くどくどと理由を考えましたが、そのようにいくつかの理由を考えなくてもしっくり来る説得力が「おまえ、モテないだろ」には詰まっています。その意味でこの言葉は自分を戒めたり、意思決定をする上でごちゃごちゃ考えずにまず自問自答できる一つの問いとして有用だと思います。「今からすることってモテそうかな?」は後悔しない意思決定かどうかを端的に心に問うための完璧な質問だと思います
その他好きな場面引用
主体性のある女性に強く惹かれる。その主体性の言い換えとして、待つ女性か待たない女性かは重要なシグナル。
全ては何がしかの目的や用途のためにデザインされているという前提に立って考えているタイプとそんなこと考えたこともないタイプがいる。その境は「何かを作ったことがあるか」な気がしていて、生産者側の気づきや悩みを経験した人かどうかがその壁をうんでいる気がする。
メイクの濃さは意志の強さ。だから私は乃木坂(清楚)ではなくE-GIRLS(ギャル)が好き。
セックスすることは快楽や幸せに直結する行為なので、ここから目を背けていたり言い訳をしている人を見ると信用できない気持ちになる。また一方でここにコミットしている人は、その品性ややり口の是非は置いておいて、波長があう確率が高い気がする
感想や評論を述べるよりも、尊重してただ受け止めるコミュニケーションをしたほうが一緒にいて居心地がいいし、自分もそうあれるように心がけてきた
完璧な家族=正解の価値観で、それを絶対的なものと考えているタイプとは波長が合わない。また事実と解釈を分けて話せないタイプが多い気がする。
一旦相手のことをあるがままに受け止めて、そこから会話をはじめる。その対話のスタイルってあるグループ(考えるタイプやマイノリティ)にぐう刺さる。ポイントとして、傾聴する姿勢・話してやろうと思ってもらえる信頼関係の構築力・理解力が求められて、かつ相手側も伝える力や返信を受け止める体力が前提条件になる。
冗談や必要とされている場合を除いて、○×をつけるタイプとは波長が合わない。
自分の価値観を確立し、自信をもって行動できる人はいいおとこ。日和ってるやつは何やってもだめ。
正解ではないタイプの思春期あるあるで、病むか揺るぎない自己肯定をするかの二択が問われる
考える習慣って一方で暇のシグナルでもある
その人がいないことの寂しさや虚しさ、いることで生まれる価値のある空気。そういう好き嫌いとか愛してる悲しいとかのような大味の感情で表現される価値ではなく、よりさりげなくささやかな感情で表現されるような価値を出せる人間でありたいと強く思う。
これは高校時代から心がけている「あいつ呼ぼうぜ」キャラの概念に近い
Appendix
女を抱くために大金持ちになった男
「いいおんなにモテる」をゴールにして突っ走った野崎さん。
この本が面白いのは
について、「美女を抱く」ことにコミットした人の半生を追体験する中で、教訓として伝わってくるところ。
またこの野崎さんが女性に殺される?最後なのもおもろい
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