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地道に研究を重ね、5G対応RFアンテナの可能性を開く【RFエンジニア:Henry Diawuo】

世界初の中長距離ワイヤレス給電技術AirPlug™️でグローバルトップをめざすエイターリンクには、みずからの意志で国境を超え、スキルを磨いてきた最優秀なエンジニアが次々とジョインしています。ガーナ出身のHenry Diawuoさんも、その一人。柔軟な発想で、一歩先のアンテナデザインを考案する役割を担っています。(note編集部)

低コスト高ゲインのアンテナを実現した柔軟な発想力

エンジニアである父の背中を追って、ガーナの名門クワメ・エンクルマ科学技術大学でテレコミュニケーションを専攻したHenryさん。アンテナデザインの基礎設計技術を学びながら、ビームフォーミングや放射パターンの新しい可能性を探求してきました。

2013年に大学を卒業した後は韓国ハンバッ大学校の大学院に進学し、サムスン電子との共同研究プロジェクトに参画。ヘンリーさんが教授と共に開発した5Gセルラーアプリケーション向け平面アンテナアレイは、2018年に平昌オリンピックの大舞台で披露されました。

「低価格の材質でハイゲインを実現するため、給電線を曲げず直線で配置できるデザインを考案しました。給電線のカーブポイントではどうしても電力損失が発生してしまうからです。通常は表面に銅箔が露出している給電点(給電線とアンテナとの接続点)をパッチアンテナの下に配置し、外的な影響を受けにくい構造にしました。こうすることで近接結合による電磁カップリングを引き起こし、デュアルバンドの広帯域で13.5dB超のハイゲインを実現できました」(ヘンリーさん)

導波管も、SMAコネクタより電力ロスが少なくアンテナ効率も期待できる高周波向けのRFコネクタ(マルチプル・インターロック・コネクタ)に置き換えて設計。制約の多い高周波に対応できるアンテナデザインを研究してきたヘンリーさんは、次第にワイヤレス電力伝送(WPT)への関心を深めていきましたが、当時はまだ各国の法令で高周波の商用利用が認められていなかったため、大学での研究に限界を感じ始めたと言います。そんなときエイターリンクの存在を知りました。

「当時在籍していた研究室では、5cm離れた距離からの無線給電がやっとでした。17mもの離れた距離から角度依存なく複数のアプリケーションに給電できるエイターリンクの技術には、本当に驚きましたし、将来性を感じました」と、ヘンリーさんは語ります。

本物のエキスパートとして、母国で教壇に立つのが夢。

大学で10年間築いてきた研究者としてのポジションを手放し、2022年9月にエイターリンクへの就職を決意したヘンリーさん。「実用化を前提にしたコスト意識は、売れる・売れないに関わらず潤沢な研究費が常に用意されている大学では決して身につけることができません。私は将来、母国に戻って大学の教壇に立つのが夢なので、本物のエキスパートになるためにも必要な決断でした」と前を向きます。

2022年5月、世界に先駆けてWPT専用の制度整備が行われ、920MHz帯におけるマイクロ波方式ワイヤレス給電システム(1W以下の小電力)の利用が承認された日本。エイターリンクでは、すでにAirPlug™️ Power-Tx(給電機)とAirPlug™️ Sense(センサー)の量産体制が整いつつあります。ヘンリーさんは量産・市場投入の先を見据えて、より小型で高効率なアンテナデザインの開発に取り組んでいるそうです。

「顧客企業のニーズに耳を傾けながら、人間や環境にできるだけ負荷がかからず、クオリティを担保できるマテリアルの選定を心がけたいと思っています」(ヘンリーさん)

何もかもが違う環境であっても、人を尊敬する心を忘れずに。

今年で3年目となる日本での生活について尋ねてみると、「やっぱり、ガーナとは何もかも違いますね。日本は街もオフィスもびっくりするほど静かです(笑)」と、屈託のない笑顔。ガーナのスパイシーフードが恋しくなる時もあるようですが、お寿司・ラーメン・からあげ・とんかつ……と、日本の“サラメシ”にもすっかり慣れている様子のヘンリーさんです。
 
「日本とガーナの共通点は『人を尊敬する心』。その心を大切に、エイターリンクでエンジニアとして成長していけたら」。多様なメンバーとともに、いつでも・どこでもワイヤレスにつながるAirPlug™️を世界に普及させるための挑戦は続きます。

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