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「花降る空に不滅の歌を」ディレクターメモ書き

「花降る空に不滅の歌を」このアルバムを語るにあたり、まず大きなポイントというか良い作品になるために導いてくれた道しるべのような存在になったのがLiSAさんに提供した「シャンプーソング」という楽曲だと思う。

自分の記憶が曖昧だけれども、夏くらいにオファーがあったんだような。めっちゃ嬉しかったのは憶えている。実は以前THE KEBABSのライブにLiSAさんがゲストで参加してくれた時に

「佐々木の声とLiSAさんの声って相性いい!」

と確信があったから、楽曲提供の話をもらった時に「ちょっとでもいいから佐々木の声を入れさせてもらいたいなー」って思っていたりした。(結果はLiSAさんからリクエストしてもらって入れた。佐々木本人はお邪魔しちゃう、みたいな事言ってたけど、実際音源聴けばわかるけど、めっちゃ良かったじゃん!)


という個人的な勝手なイメージもあったものの、それとは無関係にオファーをいただいた時点で佐々木本人もとても前向きだったし、話はとてもスムーズに進んでいく中で

「アレンジも演奏もa flood of circleでやる」

という形になった。その方が今回のオファーの意図的に良いのでは?という話になったからだ。

これが大きかった。佐々木の制作もLiSAさんからの依頼ということでいつもとは違うスイッチが入ってデモの時点で既に「これは良い曲だ!」ってスタッフ皆が思ってたし、なべちゃん、姐さん、テツもa flood of circleではなく、LiSAさんに提供するのだという脳みそでアレンジ&演奏をしていたので普段とは違う角度の緊張感はあったハズだけど、逆にある意味「肩の力が抜けて楽しんで」プレイをしてくれたように思う。

もっというと、ディレクター目線ではレコーディング現場にLiSAさんが来てくれた事もとても大きかった。初めはスタッフの方から「ご挨拶に伺います」と連絡があったので、「なんて律儀な人なんだ!」と思っていたんだけど、実際に来ていただいたら、挨拶どころかしばらくスタジオに居てこちらのレコーディングに付き合ってくれたのだ。

今にして思えば、とてもこちらに気を遣っていただいたのだと思うのだけど、彼女がべつに演奏するでも歌うでもないんだけど、そこにいてメンバーと何気ない話をしているだけでも、スタジオに灯りがついたようなムードになるように感じていた。

2023年の今、PCひとつあれば音楽できるってのに、わざわざ重たいドラムセットやアンプを持ち込んで生楽器を演奏するという作業効率の悪いことをやっている理由の大きなひとつとして

「生きている人間が演奏している」

ことがあると思う。言葉にできなかったり、譜面には起こせないような人間の意志を込めて良い音楽にしたいとバンドをやってる(と僕は思っている)ので、演奏する人間がどういう状態、どんな気持ちで演奏しているかは音楽に確実に宿るものだ。

なので、この日のレコーディングはLiSAさんというアーティストの存在がa flood of circleメンバーに伝播してとても良い演奏ができていた。それが結果的に良い音、良い曲になったと思っている。

この感覚を言葉にするのがとても難しいんだけど、「シャンプーソング」は佐々木がここ数年よく言っている「a flood of circleの音を軽くしたい」というイメージがとてもよく表現できた1曲になった。軽いというは低音が少ないとかそういうんじゃなくて、自分的に表現すると

「抜けがよくて、爽快感があって、かつ少しユーモアを内包している音像」

なのだ。具体的にどういうミックスで、各楽器の音をどう調整して、みたいな部分もあるものの、プレイヤーがどう演奏したか、がとても大きな部分を占めていると思う。

文章が下手なので、きちんと伝わってるか不安なのですが、要約するとLiSAさんという存在がa flood of circleにとても良い作用をもたらしてくれたんだと思う。(ちょっと話脇道にそれますが、ミックスを初めて聴いてびびったのは、LiSAさんの声が乗った時点で、ものすごい引力でLiSAさんのワールドになるということ。当初は「a flood of circle風味が強すぎたかなぁ」なんて思ったけど、歌が乗ったら一気にLiSAさんになっていた。)

ディレクターという立場で今作の制作を見ていると、この経験があってからのレコーディングはとても良いムードをしっかり保てたまま進行していったからアルバムがどんどんよい作品になって行ったように感じている。佐々木曰くの「軽い音」の音になっていったというか。

今回LiSAさんとの対談がナタリーさんでアップされましたが、ぜひ読んでもらいたいと思います。とても面白い内容になっています。


ここまで書いてきて全く「花降る空に不滅の歌を」に触れてないのにも関わらずとても長いテキストになってしまったので、アルバムについてはまた別途書かせていただきます、、、。(何がメモ書きだよという、、、、。)



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